挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
境界迷宮と異界の魔術師 作者:小野崎えいじ
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

798/1302

番外53 運動公園

 西の旅と古城探索も終わり、タームウィルズとフォレスタニアに帰ってきた。留守中は特に問題も起こらなかったということで、みんなと共にシルン伯爵領とフォレスタニアの執務を処理。するべき仕事を済ませておいて、それから明くる日。

 予定通り迷宮核まで赴いて運動公園の製作に取り掛かったのであった。フォレスタニア側では運動公園敷地内への一時立ち入り制限が成されている。迷宮核側でも生命反応等を確認できるが……予定通り規制できているようだ。

 よし。それでは作業を始めよう。
 俺自身は迷宮核内部にいるが、カドケウスとの五感リンクや通信機を介してみんなと相談しながら作業を進められる……というのはいつもと同じである。

『公園にあったら良いと思うものは?』

 と、みんなにも聞いてみる。
 移動床によるスケートリンクを作るという、その予定に変更はないが……それだけというのも味気ない。みんなの意見を聞いてみることで幅が広がるかも知れない。

「そうですね……。気軽に散歩ができると良いですね」
「シルヴァトリアの賢者の学連の周りみたいな感じでしょうか?」

 グレイスとアシュレイが言う。散歩やジョギングコースになるような小道、という感じだろうか。
 バロールに土魔法を用いさせることで大まかな敷地の模型を作ってみんなにも視覚的に分かりやすくしていく。

「散歩ができるのなら、休憩できる場所も欲しいわね」
「東屋とか、湖が見えるような展望台というのはどうかしら?」

 とはクラウディアとイルムヒルトの意見である。マルレーンも賛成なのかこくこくと頷いた。ふむ。東屋や展望台ね。

「そうね……。それじゃあ、わたくしからは少し別の視点で……。植え込みみたいに視界を遮るものは少なくした方が良いかも知れないわ。防犯上の観点の話ね」
「ん。確かに、見通しが良い方が安心」

 ローズマリーが言うとシーラも同意する。

『んー。確かに。木々も欲しいけど、できるだけ見通しは良くした方が良いかな。そうなると、小道の周りに芝生を広げていく感じになる』

 通信機で返答しながらバロールの土魔法の模型も連動して反映させていく。

「色々あると、長居してしまうわね。水飲み場や厠も必要になるんじゃないかしら」

 ステファニアがその模型を見ながら言った。確かに、それも必須だろうな。展望台や東屋の近くに噴水と水飲み場を作り、その近くにトイレを作る、と……こんな感じだろうか。
 木々はあっても植え込みなどは少なく。あまり視界を遮らない見通しの良い公園というデザインだ。

 スケートリンクは一応、日参できる程度に安価ではあるものの入場料を取る予定なので……公園内の敷地の一部をフェンスで囲い、建物を作ってそこで受付ができるようにして……同じ建物内で軽食を取ったり休憩等も可能にしておくというのが良いだろう。

 スケートリンクは2つに分ける。年齢制限付きで高速移動できるリンクと、小さな子供でも安心な低速リンクと。思い切り運動したい場合は高速リンクで滑り回れるし、小さな子供に運動の楽しさを覚えさせつつ遊ばせたいなら低速リンクで、という使い分けだ。

 んー。小さな子供を遊ばせる、か。
 大型の公園と言えば遊具かなとも思うが……スケートリンクの敷地に隣接する形で複合型の遊具を作っておく、というのはどうだろうか。

『こんなのを作るのはどうかな?』

 と、土魔法で模型を作ってみんなにも提案してみる。
 複合型というのは――滑り台、ターザンロープ等々、色々なタイプの遊具が一体型になっている代物だ。所謂、アスレチック遊具と言えば良いのだろうか。

「これは……火精温泉にある滑り台みたいなものかしら?」

 それを見たクラウディアが首を傾げる。

『似てるけど、水は使わない。滑り台の他にも幾つかの遊具をくっつけてる』

 巨木の秘密基地的なイメージの大型遊具だ。4階建てで通路は入り組んでおり、上階から幾つかの種類の滑り台を滑ってきたり、1階部分の安全な高さからターザンロープで滑走したりできる仕様である。勿論、滑り台は高さによって落下防止のフレームをつけている。
 通路がネットになっていたり、また別の通路の天井に雲梯がついていたり……これだけで色々な運動ができる。

「なんだか、見てるだけで面白そう」

 と、それを見たセラフィナが明るい笑みになる。

『子供に運動しながら遊んでもらえる場所をって考えてるんだけどね』

 こういった公園の遊具はメンテナンス費用が問題で、予算不足で壊れても直されないで放置されるなんて事態も日本ではあったけれど……これの場合は迷宮の一部として形成されるのでメンテナンスフリーに近い。まあ……通路用のネットぐらいは用意して張る形になるか。

 後はシーソーやブランコ、スプリングの乗り物や鉄棒が定番だろうか。これらを大型遊具の隣に設置してやる。

 大人も遊べなくはないが、基本的には小さな子供が遊ぶの想定した場所だ。保護者が近くで座って休めるように机と椅子を作る。遊具エリア全体もフェンスで囲って、一旦スケートリンクの受付建物内に立ち入らなければ行けない仕様にすることで……ハイダー等を使った監視の目を届きやすくすることができる。

 後は……これを迷宮核によって反映させ、激突防止用の風のクッションの魔道具等を、スケートリンク外壁と、ブランコ等々あちこちに組み込んいけば出来上がりだ。
 安全性が高くなるよう、配置の場所を考えたり、落下防止のフレームや柵の高さなどを考えたりと、全体的な完成度を高めていく。

 そうして暫くみんなとあれこれ話し合っていたが、とりあえずは納得のいく形になった。まずは迷宮核でこれらを実際の敷地に反映してから見に行ってみるとしよう。



「やあ、お疲れ様テオ君」

 通信機で準備ができたと連絡を入れてからフォレスタニアに戻る。アルフレッドを迎えに行ってフォレスタニア入口の広場で合流する。

「お疲れ様、アル。予定通り迷宮核での形成ができたから、これから仕上がりを見に行くんだけど……少し遊具を増やしたから、風の魔道具が予定より多く必要になってくるかも知れない。そのあたりは作業が増えちゃって申し訳ないんだけど……」
「いや、構わないよ。増産するだけなら手間もそれほどかからないし」

 アルフレッドは笑みを浮かべて手を振る。

「まあ、予定外ではあるし、増産する時は手伝うよ」
「ん、助かる」

 そんな会話を交わしながらみんなで運動公園へと移動する。
 運動公園はまだ立ち入り制限が成されていたが、迷宮核による生成があったからか、主に冒険者達の人だかりができていた。物見遊山の雰囲気なのは、場慣れしている冒険者だからだろう。

「おお、テオドールか」
「こんにちは」

 運動公園の近くに冒険者ギルドの支所があるということもあり、アウリアもいた。
 ふむ……。折角だし、公園内部をアウリアやヘザー達にも見てもらうかな。色んな意見を聞きたいし。

「運動公園内部を整備中なのですが……意見を聞きたいのでご一緒にどうですか?」
「おお。構わんのかの?」
「勿論です」

 そういうとアウリアはにかっと嬉しそうに笑った。

「ふむ。運動公園か。俺にはよく分からないのだが、身体を動かして己を鍛える、という意義の設備かな?」
「そうなる。まあ、半分は遊びでもあるけど、鍛練にもなるかな」

 と、同行しているテスディロスに答える。

「後は、運動でどれぐらい鍛えられるかとか、安全性や警備のし易さとか……色々忌憚のない意見を聞きたいなって思ってる」
「なるほど。そういうわけでしたか」
「分かりました」

 運動公園の仕上がりを見るということで、今回はテスディロス達やフォレストバード、ゲオルグといった面々も一緒だ。
 まずは公園内部、展望台等を経てからスケートリンクや遊具エリアを見ていくこととしよう。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ