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境界迷宮と異界の魔術師 作者:小野崎えいじ
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番外13表 暗黒球と因果

 月女神と高位精霊達が形作る大結界に、黒き悪霊の身体に浮かぶ目が大きく見開かれる。そしてその目が、一斉にこちらをぎろりと睨みつけてきた。

 余剰魔力の青白い雷を迸らせてウロボロスを構えれば――悪霊の目が憎悪に歪む。俺がこの状況に誘い込んだと理解したようだな。
 魔力を高めながらこちらからシールドを蹴って踏み込む。同時に風と水の多重フィールドを纏い、浄化の魔法も展開して、腐食の霧が届かないように防壁を張り巡らす。

 そこへ――四方八方から無数の腕が飛来した。槍の穂先の様に尖った指先。捕まえて八つ裂きにする、とばかりに殺到するそれを、ウロボロスの中程を持って、先端と石突きを使って薙ぎ払う。
 水を叩いたような感触と共に、無数の腕が続けざまに弾け飛ぶ。足元と背後から迫る腕。シールドで軌道を逸らし、ネメアの爪で引き裂き返す。

 迫ってくる攻撃を薙ぎ払いながら、暗黒の奔流とも呼ぶべき物量頼みの攻撃を散らし、こちらの攻撃魔法が最大限の威力を発揮する間合いまでを詰める。詰める。凄まじい物量。しかしまだまだ――! 

 俺の間合いに入ると同時に、マジックサークルを多重展開する。
 火魔法第6階級バーニングスフィア。雷魔法第7階級ライトニングブラスト。ウロボロスを回転させた軌道上に巨大な火球が複数生まれた。同時に巨大な雷撃を叩き落とせば、爆炎と雷光に結界内部が照らされる。

 魔力の炎や雷による攻撃は、こういう実体か非実体か曖昧で不定形な相手にも有効だ。だが、展開された防壁によって一部は押し止められていた。怨念の力を集中させた――瘴気の盾にも似た防御法だ。

 しかし構うものか。飛び回りながら続けざまに火球を叩き込んで防壁を掻い潜る。轟音と爆風が炸裂して結界内部を熱波が荒れ狂う。高熱が悪霊を焼く。下手をすれば火魔法の熱に自身が巻き込まれるような攻撃ではあるが――腐食の霧への防御が、そのまま俺自身の炎熱への防御になっている。

 その爆風を、苛立たしげな咆哮を上げながら無数の暗黒の塊が突き抜けてくる。怨念の集合体はその規模に比例するだけの力を溜め込んでいるのだろうが――。
 先程と同様の手の形。だがその掌に口が付いているのが先程と異なる。口の中に輝きが宿り、そこから光が走った。シールドを蹴って右に左に飛ぶ。

 無数の砲口が射角を変えながら一斉に光線を放った。自身の巨体を光線で穿ってもダメージは無いらしく、お構いなしの射撃を繰り出してくる。
 上下左右に前後から。光線によって形作られる、檻のような光景。
 林立する光の柱の隙間を縫って――しかし間合いは離さない。その距離から火球を続けざまに叩き込み、爆風に乗じて魔力をウロボロスの先端から固めて伸ばして斬撃を見舞う。

 相手は怨念を力の源泉とする、悪霊の集合体――巨体であっても無数の目で見られている以上は、普通に戦えば死角は無い。ミラージュボディのような分身も、物量で対抗されれば意味を成さないが火魔法で爆風を起こしてやれば、それが相手の視界を遮る効果を果たす。

 炎熱。爆風。いずれも閉鎖空間で有効に作用する術。雷撃も通電するので広範囲に有効。光魔法でもいいが、効果は一瞬一瞬のものというのが多い。となればこれらの術を使って攻めていくまでだ。
 だがそれだけには留めない。敵が巨体、しかも集合体であること、結界によって逃げ場がないことや戦闘の余波が他に及ばないという条件を逆手に取る。

「燃え落ちろ――!」

 光火複合、第7階級魔法――。シャイニングキューポラ。頭上に掲げた杖の先端に、真っ白な高熱を放つ巨大な球体が発生した。
 バトルメイジの使うそれは、発動したら動かすことができない。しかし長時間その場に留まり続け、持続的に高熱を撒き散らす、という術だ。敵味方お構いなしの術なので普通は使いにくいが、こういう隔離された状況や、どこかの隘路で足止めをしたいだとか、条件さえ整えば使っていける。

 このまま魔力を練り上げて、複数個、結界内部にこれをバラまくか。或いは――。
 弾幕を弾き散らし、追い縋る手を叩き潰す。すると悪霊本体の表面に変化が生まれた。

 黒い物体が盛り上がり、そこに人影が無数に生まれる。騎馬に跨る姿。剣を携えた鎧姿。まちまちなシルエットだが。――アケイレス王国の騎士達か。悪霊本体を構成する黒い何かを切り離して、仮初の器を与えている。
 これも、伝承にはない能力。例え憑依する器が見当たらなくとも本体があれば分裂して軍勢を生み出せるということか。

 従えている悪霊もそうだが……グエンゴールがアケイレス王国の戦死者達を、大量に取り込んでいたのだろう。
 個人であればここまで恨みを募らせず、とっくに解放されている者もいるだろうに――。王やグエンゴールを核とした存在に取り込まれることで、同調してしまっているのか。

 亡霊騎士達は一旦大きく飛んで、爆風にも視界を遮られないような、本体と俺とを挟み込むような位置取りを取る。そうして、空中を疾駆しながら突っ込んできた。正確さを増した弾幕と、迫りくる腕をシールドで弾き、ネメアとカペラで捌きながら、続けざまに跳び込んでくるランスチャージを躱し、時間差で切り込んで来た騎士の剣を竜杖で受け止める。
 杖を巻き上げるように剣が動く。相手の技が決まるより先にウロボロスを手放し、飛翔させて背中側へ回しながら、間合いを詰める。
 想定外の動きに固まる騎士。その顔面に目掛けて掌底を食らわせ、魔力衝撃波を叩き込む。本体から解放されたのか、亡霊騎士の身体が崩れて霧散した。次――!

 背中に回したウロボロスを掴み、騎馬に跨った人影に突っ込む。練り上げた魔力をそのまま叩き付ける形で粉砕。シールドを蹴って鋭角に跳ぶ。将軍らしき身なりのシルエット。振り抜かれる剣を身を屈めて掻い潜り、懐に飛び込んでウロボロスを跳ね上げる。

 弓兵に魔術師。そして槍を手にした兵士達。大挙してくるのはアケイレス王国の亡霊軍だ。
 数人の兵士達が同時に切り込んできて、逃げ道を塞ぐように悪霊から腕が伸びる。杖で受け止めシールドを展開してそれらの攻撃を受け止めた、その瞬間――!

「これは――!」

 巨大な王の上半身が悪霊本体から凄まじい勢いで飛び出した。そのまま、手にした剣を無造作に振るってくる。亡霊の軍隊をも巻き込むのもお構いなしとばかりに、哄笑を上げながら。
 唸り声を上げるウロボロスと多重のマジックシールドで受け止める。
 剣を振り切られる勢いには逆らわず、巨大な剣の刀身の勢いに乗せられるように斬撃から抜けるが、怨念を巨大な剣に纏ったその一撃。力の奔流に押されて結界の壁まで吹き飛ばされた。

 魔力光を噴出。レビテーションによって反動を抑え、結界との激突を回避する。

 悪霊は間合いが開いたのをこれ幸いと亡霊を更に生み出し、軍勢を展開していく。陣形が形作られていく。

 本体と融合していようが切り離して個別に行動させようが、物量で押すという戦術に変わりはないらしい。俺の手札が近接に寄っていることを理解したのはグエンゴールの知識によるものか。
 それを裏付けるように、アケイレス王とグエンゴールの顔が悪霊の本体に浮かんで、揃ってにやりと笑った。

 もしかすると、魔力循環を用いて戦う魔術師――バトルメイジに関する知識もあるのかも知れない。
 ならば一撃通してしまえば天秤が傾くだとか、魔力を枯渇させてしまえば戦う手がないという考えなのだろう。攻防に魔力を使わせて立て続けに攻め続けることで、これ以上の炎熱空間を作らせないという狙いもあるか。

 それに――奴の性質。攻撃を受ければ受けるほど、規模は削られているが、内に秘めた力が増しているのが片眼鏡で見えていた。今の王の斬撃はそれを放出したものだ。
 恨みや憎悪を源泉とするならば苦戦や被弾、手駒の消耗も奴の恨みとなり力として転嫁されるのだろう。恐らくは、そうやって生じた力をアケイレス王に集中させている。沢山の亡霊達を削られることと引き換えに。

 ……――小賢しい。やれるものなら、やってみればいい。

「行くぞッ!」

 マジックサークルを展開。風、雷複合。第9階級魔法、テンペストドライブ――!
 殺到する弾幕と亡霊の軍とを諸共にぶち破り、雷撃を纏う光弾と化して。
 アケイレスの将兵達を砕き散らしていく。光の尾を引いて、殺到する腕も光の弾幕も。そして将兵達の反応速度も遥か後方に振り切って。嘲笑うような軌道で折れ曲がり、攻撃も防御も、無意味とばかりに人垣ごと暴風で弾き散らし、雷撃で焼き焦しながら突き進む。

 狙いは弓兵や魔術師。厄介そうな連中を軒並み吹き飛ばして魔法を解除。
 そしてそこで――悪霊本体が動いた。掌に作られた口と本体を半分ほどに引き裂いたような巨大な口が同時に開いて、空間全てを埋め尽くすほどの砲撃を行おうとする構えを見せた。

 大魔法を放った後では攻防に用いる魔力が無かろうと。マジックサークルを展開するが、無駄な足掻きとばかりに、悪霊が喜悦の色を目の中に見せる。
 逃げるための方向を埋め尽くすように掌から光線が放たれ――続けざま巨大な光線が放たれた。そうして、俺は光の中に呑まれた。

 だが。
 ウロボロスの先端から展開するのは迷宮核内部で用いた魔力分解の術式。押し流されるような怒涛の奔流も俺の身体には届かない。身体を守れるだけの最小限に展開して、浴びせられる魔力光の只中に留まる。

「お前らは――見ていたとしても理解していない」

 その光の中で、アケイレス王とグエンゴールに言う。
 その声が届いたのか、驚愕を代弁するように奔流の威力が増す。無駄だ。収束もされていない広範囲攻撃では、この防御法を突破することはできない。
 亡霊の兵士達が砕かれて、解放される瞬間の顔を奴らは見ていない。仮に見ていたとしても、それを理解しようともしていない。

 あれは安堵の表情だ。アケイレスの王に延々と付き合わされた恨み辛み。永劫に続く暗黒と呪縛の中で、支配を受けながら解放の時が来るのを待っていた者も多い、ということだ。
 ならば、ヴェルドガルのみんなやドラフデニアの将兵、妖精達は勿論、解放された亡霊の兵士達さえ俺の味方だ。
 環境魔力からいくらでも術式構築のための魔力を集められるさ。魔力に分解するというのも。相手の攻撃をそのままこちらの集める環境魔力に転用できるということだ。

 無尽蔵に近い物量で圧倒できるつもりでいたんだろうが。こちらとて味方はいくらでもいる。なら、量が膨大であろうが、欠片も残らず削り切るまで戦ってやれる。

 悪霊からの力の放出が弱まっていき、そしてやがて途切れる。その中に無傷で浮かぶ俺を見て、無数に浮かんだ目に、恐れの色が浮かんだ。牙を剥いて笑う。

 アケイレス王とグエンゴールの命令を受けてか、残っていた兵士達が全軍でこちらに殺到してくる。悪霊の本体も混乱を象徴するように次々と兵士を本体から切り離して俺へと向かわせる。それは連中の狼狽を象徴するかのような光景。

 突っ込んでくる連中を端から叩き伏せていく。斬り込まれる斬撃。間隙を縫うような刺突。亡霊の兵士達の攻撃の中に身を晒し次々薙ぎ払いながら魔力を練る。練る。練り上げる。

「オオオォォ!」

 雄叫びとも苦悶の悲鳴ともつかない叫び声を上げながら殺到してくる兵士達。倒せば解放されるというのなら、俺も遠慮はいらない。
 まだ――まだだ。もう少し。吐き出させるだけ吐き出させてからが望ましい。

 この使い方なら。相手が悪王の怨念ならば。あいつだって納得してくれるだろう。
 群れ。亡霊の群れの間を杖を縦横に振るいながら、右に左に飛び回る。本体から吐き出される亡霊の群れが途切れたところで、一気に魔力光を噴出させ、間合いを離す。
 それしか知らないとでも言うように。兵士達が殺到してくる。

「お前らはもう、眠れ――!」

 タイミングを計りながら環境魔力を取り込んだ魔力循環で爆発的に力を高め――そして掌を眼前に翳してそれを解放した。小指の先程の、小さな暗黒球。それが急速に膨れ上がって、軍勢の殺到する空間側へと膨らんでいく。
 ヴァルロスの用いた術だ。実体を伴っていようが伴っていなかろうが。魔法として空間に作用する以上、連中もこの術からは逃れ得ない。
 翳した掌の中に火花を散らしながら握り潰すようにしてやると、膨れ上がった極大重力球も紫電を散らしながら収縮していく。殺到してきた軍団を一切合財呑み込み、苦悶の絶叫を上げる悪霊本体も抉り取り。何もかもを一点に圧縮していく。

 そして、完全に拳の中にある空間を握り潰し、手を開いた時には。
 綺麗さっぱり片付いていた。代わりに片眼鏡には、力を失い呪縛から解放されて散っていく無数の霊体が薄っすらと見えているが。

 だが、核となっている術式と、アケイレス王、グエンゴールそのものの恨みの力はまだ残っている。奴は取り込んだ多数の霊体の恨み辛みや絶望を、無尽蔵に使える力として放出してきたに過ぎない。

 それを睨みつける。悪霊本体の身体も、今の一撃で大分小さくなった。
 驚愕の表情を浮かべる顔が、黒い塊の中に浮かんでいる。アケイレス王とグエンゴール。それに――アケイレス王の側近の貴族達だろうか? 連中には先程の亡霊達より人格や感情、思考能力が強く残っているようにも見えるが……裏を返せば構成に必要な最小限の要素がはっきりと見えてきたとも言える。

「――ああ、そうか。恐怖や驚愕が、怨念の感情を上回ってしまえば、力の蓄積も起こらない、か?」

 その魔力反応から分析してやると、悪霊の核と一体化している連中が憤怒の表情を浮かべた。不定形だったそれが、形を変える。
 それは王冠を被った人型の姿。剣を佩いたその姿はアケイレス王を基調としているのだろうが、融合したかのようにグエンゴールの顔も肩口に浮かび、杖と魔導書を持った腕が、それぞれ背中から生えてくる。

 そうして内に溜め込んだ膨大な力を放出して剣に纏う。マジックスレイブがあちこちに放たれ、そのまま咆哮を上げて突っ込んできた。
 掻き集めた怨念によって強化されているのか。凄まじい速度の踏み込み。そして群体であるが故の斬撃と魔法の同時攻撃。
 ウロボロスで切り結びながらシールドを蹴って側転。そのまま反撃を見舞う。王の顎先を掠める。上体を逸らしたところへ切り込んでいく。それをフォローするようにグエンゴールがマジックシールドを展開した。だが、無駄だ。

 マジックシールドに掌底を叩き込み、魔力衝撃波を通す。予想外の衝撃を受けて、魔法を滅多矢鱈にばらまきながら後ろに飛ぶ。歯噛みして反撃を繰り出してくる。それをウロボロスで絡め取って巻き上げる。ガードが開いた。ウロボロスの逆端を跳ね上げて脇腹への打撃を見舞うが、脇腹から生えてきた剣を握った腕に打撃が留められる。アケイレス王の側近だ。

 大上段。アケイレス王の斬撃が振り下ろされる。ウロボロスで斜めに受け流すが、反撃には結びつかない。奴の腹からナイフを握った腕が飛び出してきたからだ。マジックスレイブからの氷の散弾が空間を制圧するように飛来する。シールドで弾き散らし、そのままアケイレス王とその側近達と切り結ぶ。

 怨念を核とし、術式によって制御された群体。そして溜め込んだ魔力。
 封印術を叩き込むには無数にある意識が邪魔だ。近接戦闘の技量は生前のそれに近い。個々で相手をしてしまえば何も問題はない。ならば――!

 マジックサークルを展開しながら切り結ぶ。アケイレス王の一撃を真っ向から受け止めると、これ幸いとばかりに貴族の剣が胴薙ぎの斬撃を見舞ってくる。術式の完成と共に、魔力光推進で密着する程に間合いを詰める。繰り出される剣より内側の間合いへ。突き出されるナイフを頬を傾けて避け、展開した小さなダガーのような術を、お返しとばかりにアケイレス王の腹に叩き込む。

 分類するなら闇魔法。迷宮核に巣食っていたウイルスを参考にしたものだ。再発防止のためには知っておく必要がある。だから――迷宮核と共に作り上げた。
 ウイルスのように魔法生物ではないから効果時間は短いものの、術式そのものに食い込んで流れを寸断する。精密で膨大な術式であるほど全体の動きが阻害される、魔法生物に特に効果の大きな術式だ。

 名付けるなら――ヴェノムフォース。

 悪霊は腹を押さえて悶絶の悲鳴をあげながら後ろに飛ぶ。混じり合っていた複数の霊体が、ばら撒かれる。押し出されるように貴族達が放出されて、呆然としたような表情を見せた。立ち直るような時間はやらない――! シールドを蹴って突っ込んでいき、ウロボロスの一撃で薙ぎ払う。

 最後にアケイレス王とグエンゴールも分裂。そして――悪霊の核とも言うべき部分が剥き出しになった。禍々しい輝きを放つ黒い水晶に、俺の放った魔力の刃が突き刺さっている。

「それか――!」

 信じられないものを見るように。王と魔術師は俺を見た。霊体を粉砕され、力を失っても終わり。核を砕かれても終わり。溜め込んだ怨念から切り離されては核から力を借りることもできない。
 それでも王と魔術師は剣と杖を構えて俺に抵抗する構えを見せたが――無駄だ。何一つ逃さず、諸共に粉砕する。

 止められるものなら止めてみるがいい。マジックサークルを展開する。発動しようとしている魔法の規模に2人の表情が絶望に染まった。

「消し飛べッ!」

 光魔法第9階級。スターライトノヴァ――!
 ウロボロスの先端から極大の光が生まれ、視界を埋め尽くす。アケイレス王、グエンゴール、そして悪霊の核をまとめて呑み込んだ。
 結界の壁に激突。クラウディアと高位精霊達がそれを見て結界を解除する。地平まで遥か彼方。眩い輝きがどこまでも伸びていき――そして力の放出が終われば。

 そこには何も残らない。何もかもが消し飛んだ。イシュトルムの時のように魂まで消滅させたわけではないが……光魔法で浄化されて漂白されてしまえば、怨念や未練からこの世に残っていた霊魂など何の意味も成さず、力も失われる。
 念のために視線を向ければ、デュラハンとヘルヴォルテも静かに頷いていた。
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