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四天王  作者: 原善
第七章 愛は砂漠に・・・
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その44 ジャガー翔ぶ!

走行中のジャガー。

「三島!?聞こえるか!?」無線に語るロク。

『ロクさん!?ご無事で!?』と三島。

「レヴィアに行く。急ぎ車庫を開けろ!」

『は、はい!?』

「現在位置は?」

『敵艦の真後ろです!』

「それと敵の主砲の弱い部分はどっちになる?」

『桜井です!P7のお陰で敵艦の右舷が手薄です!』桜井が無線を変わる。


「よしこのまま全速力で敵艦の右に付けろ!」

『ち、ちょっと待って下さい!主砲は手薄ですが機銃、バズーカ、まだまだそんな余裕は・・・?』

「すぐ側に付けば主砲は効かない!やるんだ!」

『わ、わかりました・・・』

「車庫を開けろ!」

『か、艦を停止しますか・・・?』躊躇する桜井。


「俺を誰だと思ってる?・・・ん?」

『し、失礼しました・・・』

「もうすぐ後ろだ!開けろよ!」

『は、はい・・・』



レヴィア1番艦に近寄るジャガー。レヴィアは走行しながら左側の車庫の扉が開く。ジャガーは走りながらレヴィアの車庫に飛び乗った。急ブレーキ音が車庫ないに響く。扉がゆっくり閉まる中、ロクのは車庫ないのエレベーターシャフトにジャガーを入れる。


ゆっくりと上に向かって上がり出すジャガー。激しく乱れたドライバー席で、ロクはハンドルに頭を付ける。

「バズー・・・なんでだバズー・・・?」


ロクはハンドルを強く握った。

「俺たちは戦争を止めるだけの兵士なのか・・・?違う!俺らだって血の通う人間だ・・・」



『戦争が終わったら・・・け、結婚して下さい!』バズーが直美に告白する。



「戦争が終われば・・・?戦争が終わったら・・・?みんな幸せになれんのかな・・・?バズー?」車中のロク。



『戦争が終わったら・・・ソルジャーでなくなったら・・・ロクさんも隊長とかじゃなくなったら・・・恋愛してもいいんですよね?』なつみが医務室でロクに語った。



「なつみ・・・俺はお前に誓った・・・この戦争を終わらすと・・・」ロクはハンドルを強く握り続ける。

シャフトの天井部分が左右に開き、暗いシャフト内に明かりが溢れ始める。


『そしてたくさんの子供たちを産んで・・・ロク兄ちゃんと子供たち・・・草木の生い茂る草原で平和で暮らして生きたい。これって夢でしょうか・・・』突然なつみの声が聞こえる。


「滅びるという運命なら・・・俺が変えてみせる!」ロクは天井からの光を見つめた。


レヴィアの甲板にジャガーの姿が現れた。既にレヴィアは敵大型艦の右舷に並走して走っている。レヴィアよりも10メートル程高い敵大型艦の甲板からは機銃やバズーカが、まさに今撃ち込まれようとしていた。レヴィアの兵士たちも、甲板から機銃で必死に応戦していた。


『なんで甲板なんですか!?』桜井からの無線が入る。

「なんでって・・・?向こうに飛び乗るんだよ。向こうの甲板にな!」ロクは平然と答える。

『無茶言わないで下さい!ジャガーのエアーブースターを使ったって2メートル上昇するのが精一杯ですよ!あいての甲板は10メートルも上にあります!』と桜井。

「わかってるさ!だからレヴィアのエアーブースターを使うんだよ!」

『ど、どういう事ですか!?』桜井はロクのセリフが理解出来なかった。


「敵艦の横に付けただろ?互いのエアーブースターがぶつかって、艦と艦の間に激しい上昇気流が起きる!それに乗るんだ!」

『乗るったって・・・!?飛ぶんですよ!?その後はどうするんですか!?』と桜井。

「その後・・・?うーん・・・なんとかする!」

『出た出た・・・』呆れる桜井。すると無線が国友に変わる。


『ちょっと待って下さい!ジャガーは1トンを超える重量です!その質量を10メートル上げるんですよ!その風量を今計算しますが・・・』

「国友?理屈じゃねぇ!後は気合いで翔んでやるさ!」

『き、気合いって・・・?』呆れる国友。

「ふふふ・・・よし桜井!艦を最大限に寄せろ!」

『は、はい!』と桜井。



レヴィアが敵大型にぶつかる様に接近する。すると互いのエアーブースターのせいか、艦同士が近い場所から下から激しい風が発生し、砂埃を上空に舞い上がらせた。二隻が織り成す気流は、今まで見たこともない気流となっていた。

「さぁーて・・・行きますか!?」

ロクは銃撃戦の中ジャガーのギアを入れアクセルを踏み、その艦と艦の間に車を走らせた。


「翔べぇぇー!」ロクは叫んだ。

ジャガーは吸い込まれるようにしてその気流に舞った。

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