「意味なんていらんっ!」 in グラインドハウス
「何故そうするの?」
「そんなことに意味なんてあるの?」
と訪ねられると、キレそうになって笑いがこみあげる時が日常でしばしある。
決してカルシウム不足じゃないよ。そこはきっぱりと否定しておきましょう。
ついこの間も会社の同僚に言われた。
「なんでそんなにクソ真面目に働くの? 君は女だからこの会社で昇格なんて絶対ないし、一生懸命やったって給料増えるわけじゃないのにさ。真面目にやる意味ってあるの?」
私は同僚に一言だけ、
「自分がやりたいことに、別に意味なんていらないよ」
と告げてにっこりと笑んだ。
「ふーん…。君、本当に変わってるよね」
訝しげにも同僚は小さく笑った。
いやいやすげー愉快だよ。君のそのバカにしたような上から目線の笑み。
バカで結構です。
そんなバカがこの会社に存在するからこそ、成立している何かがある。
この先、口だけの君がこの会社にいつまでいるのかどうかが見ものだよ。
ただ、意味を考えることをやめてだらだらと続けることは決して否定しない。働く目的はある意味ひとつだけ明確。そこに志や目標なんて大してなくても別に構わない。
『考える』尺度だって人それぞれだから。
でも、自分の生き方がさも正しいことだと自己主張して、更にこっちに同意を求めるのはやめろ。んなことよそでやってくれ。
それに対する否定はしないけど、肯定も共感もしませんから。
私には私の熱量があるし、自分自身の目的もある。
ただそれだけ。
ね? 意味はあるけどいちいち説明はいらないでしょ?
『考えない』でただ聞くバカは正直面倒くせーもん。
「どうして小説なんかに熱中するの? 小説家になりたいとか思わないのに小説書くなんて意味あるの?」
元友人はやんわりと笑んで首を傾げた。
「好きなことをやるのに特別な説明なんていちいちいらないと思うんだよね」
私は小さく笑った。
この人には私が何故小説が好きかと理由を何度とかなく語っても全く頭に入っていないから。
イコール、彼は私の根底にある大切な感情などぶっちゃけ興味がないんだと幾度となく嘆息したんだよ。
「まあ、所詮自己満足。趣味だしな」
鼻を鳴らして笑う彼。
本っ当、面倒くせーよなと思った。
人がおとなしく笑って話を聞いてれば調子に乗って更に否定してきやがる。
知らない世界を知ろうともせずに憶測だけで軽薄な言葉を吐く彼の人間としての浅さにがっかりしまくり。
だからね、私はいつもにっこりと否定も肯定もせずに、
「意味なんて(あるけど面倒くせーから説明なんて)いらないよね」
と言うんだよ。




