南近江
永禄十一年(1568年) 十一月下旬 近江伊香郡塩津浜 塩津浜城 朽木基綱
今俺達が頭を痛めている原因は梅戸左衛門大夫実秀の父親、梅戸左衛門尉高実にまで遡る。この男、七年程前に死んだのだが正確には梅戸家の人間ではない。なんと六角家から梅戸家に入った養子なのだ。六角高頼の息子、つまり管領代として名高い六角定頼の弟という事になる。要するに当代の梅戸左衛門大夫実秀は承禎入道の従兄弟だ。伊勢攻めを本気で考えるまでそんな事全然気付かんかったわ。
六角家が何故梅戸家に養子を出したかだがこれは梅戸家の領地を見れば直ぐにわかる。梅戸家の領地は北伊勢と近江を結ぶ八風街道を押さえる位置にある。梅戸家の領地である梅戸、田光は商人達が常駐して商いを行っている場所だ。要するに軍事、経済の要所で近江から伊勢へと進出する場合には押さえなければならない場所なのだ。
梅戸家にも六角家から養子を迎える事には狙いが有った。当たり前の事だが六角家の力を利用して北伊勢で勢力を伸ばそうとしたのだ。俺が生まれる前の事だが安濃郡を本拠とする長野家が北上して勢力を伸ばそうとした。狙いは桑名だ。六角家と梅戸家は協力して長野家の北上を抑え北伊勢に勢力を伸ばした。六角家が朽木に目を向けるのはその後だ。
重蔵が梅戸左衛門大夫に何度かコンタクトを取っている。俺の書状も届けたのだがはっきりした回答は来ない。
「下野守、左衛門大夫は俺を憎んでいるかな?」
俺が問うと下野守が困った様な表情をした。お馬鹿な質問をしたか。
「それはまあ、快くは思っておりますまい。しかし左京大夫様の時には既に両家は疎遠になっておりました。余りお気になさる必要は無いかと」
「ふむ」
まあ気休めにはなるな。優しいな、下野守。観音寺崩れが有ったのが永禄六年だからここ五年ほど梅戸左衛門大夫は近江の勢力と疎遠だったという事になる。史実でもこの世界でも六角家で内紛が起き勢威が落ちると北伊勢は自立した。史実の梅戸は如何だったのだろう?
「観音寺崩れの後、梅戸家から後継をという話は出なかったのか?」
「全く出なかったとは申しませぬが左衛門大夫様の御子となりますと少々御血が遠うございます」
「そうだな」
面白くないのだろうな。左京大夫などより伊勢で共に戦った梅戸家から後継を出すべきだと思ったのかもしれない。そう考えているうちに六角家が潰れた。潰したのは俺だ。左京大夫と俺に強い恨みを持っているとしてもおかしくは無い。
「殿、脅しをかけてみては?」
「脅しか、……味方に付かぬなら攻め潰すと?」
「はっ」
「……」
俺があんまり乗り気じゃないと見たのだろう。上野之助が身を乗り出してきた。
「梅戸には南に長野という敵が有りまする。長野は北畠から養子を迎え後顧の憂いを無くしております。梅戸は長野に加え朽木迄敵には出来ぬ筈」
一理有るな。梅戸が六角から養子を迎えたのは長野の攻勢に対応するためだ。
「上野之助、梅戸左衛門大夫が長野、いや北畠に付いたら如何する? 厄介だぞ」
「敵になった以上潰すしかありますまい。今のまま曖昧な態度を取られ時を稼がれるよりましでは有りませぬか?」
十兵衛と上野之助の遣り取りに皆も考え込んでいる。二人の言う通りだ、北畠に付かれたら厄介だ、だから使者を送っている。だがこのままグズグズされるのも得策ではない。
「殿、如何なされます」
真田弾正が問い掛けてきた。いや、多分決断を迫っているんだろうな。皆が俺を見ている。
「戦は駄目だ。梅戸と戦はせぬ」
「殿!」
上野之助が何か言いたそうにしたので“まあ待て”と抑えた。
「梅戸左衛門大夫は六角家の血を引いている。そして伊勢で六角家と共に戦っている。南近江には梅戸と共に肩を並べて長野と戦った国人衆が何人もいるのだ。良いか、梅戸は六角家の栄光を作った一人なのだぞ。その事を忘れてはいかん。左京大夫とは違う」
皆が下野守を遠慮がちに見た。下野守は無言だ。
「そして梅戸と戦うとなれば朽木は南近江を超えて伊勢に踏み込む事になる。その時、南近江で混乱が起きたらどうなる? とんでもない事になるぞ」
「俺は伊勢の田光や梅戸に朽木大膳大夫基綱の生害の地、などという石碑は立てられたくない」
誰かが小さく息を吐いた。音が切ないよ。だがな、有り得ないとは言えない。朽木が伊勢に攻め込めば長島攻めに関わり有りと本願寺は思う筈だ。何とか失敗させようとするだろう。そんな時に梅戸と南近江の国人衆の関係に気付かないとも思えない。梅戸と戦うのは得策じゃない、いや危険だ。
「俺が思うに梅戸が朽木に靡かない理由は二つだ。一つは俺が嫌いだという事だ。心の問題だな」
力の無い笑い声が聞こえた。少しは空気が明るくなったかな。
「もう一つは銭の問題だ。梅戸は商人達が関所で払う税で十分に潤っている。だが朽木は関所を認めていない。朽木に付いても旨味は無いと考えているのだ」
今度は反応無しだ。また空気が重くなった。
「情と利だな。これまでは重蔵に頼んでいたがこれからは進藤と目賀田に梅戸の説得を頼もう。二人にとってはいささか酷かもしれぬ。だが俺は梅戸を滅ぼしたくないしその気持ちはあの二人にもあろう。六角家の旧臣である二人から説得して貰えば梅戸も感じるところが有るやもしれぬ。それにあの二人は評定衆でもある、梅戸家が朽木に臣従して不当に扱われる事は無いという保証にもなろう」
何人かがウンウンと頷いた。
「それと梅戸には伊勢攻略後には二万石程を恩賞として与え別家を立てさせよう。この乱世、どうなるかは分からぬ。枝葉は多い方が良かろう」
反対意見は無かった。まあ上手く行くかどうかは分からないが取り敢えずやってみようという事だ。年内に梅戸が味方に付けば年明け、二月の頭には北伊勢に兵を出す事になった。北伊勢の攻略は四月で一旦打ち切る。そのころには能登にも動きが有る筈だ。能登に兵を出す。
能登の始末が付くのが早ければ六月、遅くとも七月ぐらいだろう。そこから伊勢攻略の再開だ。今度は南伊勢が主戦場になる。出来れば早めに片付けたい。少し工夫が要るな。さて如何するか……。
永禄十一年(1568年) 十二月上旬 近江伊香郡塩津浜 真田幸隆
「旦那様の御帰りでございまする!」
「帰ったぞ」
玄関で声をかけ中に入ると妻が小走りに近付いて来た。
「お帰りなさいませ。あら、それはなんですの」
不思議そうに儂が抱えている壺を見ている。
「まあ良い物じゃ、今説明する。付いて参れ」
自分の部屋に行き壺を置くと妻が目で説明を求めてきた。
「これはの、越前で造られる織田焼の壺だ」
「織田焼?」
妻が小首を傾げた。幾つになっても娘の様な所が有る女だ。だがそのおかげで苦しい時も随分と慰められた……。
「聞いた事が無いか?」
「そうですねえ。この辺りで聞くのは信楽か常滑です。織田焼というのは余り……。贖ったのですか?」
「殿から頂いたのだ」
「まあ」
妻が改めて壺を見た。赤黒い地の壺だ。素朴な感じがしてそれなりに趣が有る。慣れてくれば愛着が湧くだろう。
「織田焼というのは壺や甕、擂り鉢など勝手方で使う品を焼いているのだ。その所為かもしれぬが余り名が知られておらん」
「そうですねえ」
妻が感心したように頷いている。
「結構頑丈での。殿は織田焼の壺を酒や水の貯蔵に使う事を考えておいでだ。朽木の澄み酒が入った織田焼の壺、売れるであろう」
「はい。で、その壺は? 殿から頂いたと伺いましたが?」
「うむ、殿が三十個ほど壺や茶碗を買われてな、皆に好きな物を持って行けと言われたのよ。儂はこの壺を選んだ」
妻がしげしげと壺を見た。
「でも殿は何故そのような事をなさるのでしょう?」
「我らが使って良さが分かれば皆も買うだろうという事よ。皆が買えば織田焼の名がそれだけ広まる」
妻が感心している。楽しくなってきた、もう一押し。
「朽木家は毎年暮れになると朝廷に色々と献上しておる。そなたも知っておろう」
「はい」
「今年は敦賀の塩を織田焼の壺に入れて献上するそうだ。他にも壺そのものも献上する。若狭の瑪瑙もな。そうなれば朝廷にも織田焼の名と若狭の瑪瑙を知って頂けよう」
妻が膝をポンと叩いた。ニコニコと笑みを浮かべている。
「分かりました」
「分かったか」
「はい、朝廷との繋がりを持つだけではなく朽木の領内で作られる物の名を広めようというのですね」
「その通りだ」
「不思議な方ですね、殿は」
「そうだな、他の大名とはちょっと違う。儂が初めてお目にかかった時の事だが室賀甚七郎殿、芦田四郎左衛門殿と共に城の最上階に案内された」
「はい」
「さては朽木家の兵の事、装備の事でも教えて頂けるのかと思ったがお話は湊に入って来る船の事であった」
「まあ」
妻がコロコロと笑い出した。釣られて笑い声が出た。
「敦賀の海から近江へ、そして塩津浜の湊から淡海乃海を使って京、伊勢、美濃へと物が動く。その逆も有る。近江国を制するという事は淡海乃海を制する事、そして物の流れを制する事だと仰られた。儂、甚七郎殿、四郎左衛門殿、意味が分からず呆然としておったな」
また妻が笑い声を上げた。これこれ、亭主殿をそんなに笑うな。
「困った事ですわね」
「真、困った事だ。殿の仰られる事の意味が分かったのは敦賀の守備を命じられた後であったな」
それ故に倅共を殿の御側にと願ったのだが自分の側よりも敦賀に居た方が身を持って知る事になるだろうと断られた。分かってくれたのなら良いのだが……。
「敦賀ですか、私も行ってみとうございます」
「良い所じゃ。その内連れて行ってやろう」
「はい」
魚が美味かったな。海の魚は川魚とは違う、脂が乗っておる。干物も美味いが活きの良いのを塩焼き、刺身にして澄み酒で味わうのは格別であった。蟹も美味かった。信濃や甲斐の様な山国ではとても味わえぬ。領地を頂くのなら海沿いの土地を頂きたいものよ。
永禄十一年(1568年) 十二月中旬 近江伊香郡塩津浜 塩津浜城 朽木基綱
「伊勢攻めの補給路でございますがやはり八風街道を使うのが順当かと思いまする。千種街道は八風街道を使えぬ時、伊勢攻略が順調に進み軍が南下した時と考えておりまする」
「うむ。となると何処に補給を置くのだ、右兵の叔父上」
俺が問うと兵糧方の朽木右兵衛尉直綱、朽木左衛門尉輝孝、山口新太郎教高、山内伊右衛門一豊が顔を歪めた。
「南近江に置く事になります」
「……」
「殿、今浜からでは少々距離が……」
「そうだな」
南近江に補給を置く。やはり梅戸は調略の必要が有る。兵糧方の四人の表情が優れないのも南近江に一抹の不安が有るのだ。同席している蒲生下野守、田沢又兵衛の表情も渋い。
「具体的にはどのあたりに置くのだ?」
「二カ所に置く事を考えております。一カ所は観音寺城に、もう一カ所は永源寺の辺りを。永源寺なれば八風街道、千種街道の両方が使えまする」
俺の問いに伊右衛門が答えた。観音寺なら琵琶湖を使って物資を集められる。そこを後方の拠点とし前方の拠点を永源寺か。……常に両方の警備、そして輸送路の警備も必要だな。伊勢攻略、義秋は面白く無いだろう。三雲が補給路を攪乱する事で邪魔するかもしれない。伊勢攻略を諦めさせ京へ専念させる……。
「異存は無い、その形で進めて欲しい」
四人が頭を下げた。
「殿、伊勢攻めは二月と考えて宜しいので?」
「そう考えて欲しい。梅戸がかなり軟化してきた。今一押しだろう。それに八風街道が使えなくても千種街道が有る」
進藤と目賀田に説得させたのは正解だった。二人の話では梅戸も徐々に納得しつつあるようだ。少なくとも俺に対しての不信感は無い。ただ納得がいかない、そういう想いがまだ残っているらしい。
千種街道を押さえる千種三郎左衛門尉忠基は朽木に従うと言ってきた。三郎左衛門尉は後藤但馬守の弟だ。六角氏の伊勢攻略の一環として千種氏の養子になった。俺の事は後藤壱岐守、小倉左近将監から好意的に聞いていたらしい。こちらの打診に素直に従ってくれた。俺と後藤但馬守が親しい関係だったというのは真実になりつつあるな。やはり伊勢攻略は南近江の国人衆の力が要る。彼らを不安にさせる様な戦い方は出来ない。
「一つお願いがございまする」
「何だ、新太郎」
妙に緊張しているな。新太郎だけじゃない、四人全員だ。役替えでも頼むつもりか。
「朽木領内の道の整備をお願い致しまする」
「道か」
「はっ」
なるほど、それも大事だな。軍事面だけじゃない経済面でもメリットが有る筈だ。琵琶湖や海を使った水運、海運ばかりに目が行っていた。
「分かった。先ずは塩津浜から敦賀、敦賀から北ノ庄、三国。敦賀から小浜の道を整備しよう。それと北伊勢の攻略が終わった時点で八風街道、千種街道の整備を行う。それで良いか?」
「はっ」
新太郎がホッとした様な表情で頭を下げた。他の三人も同様だ。蒲生下野守と田沢又兵衛は吃驚を必死に押し殺している。
その後、二、三の確認をして兵糧方との打ち合わせは終わり四人が暦の間を下がった。朽木領内の道の整備か。この時代の大名は道の整備には必ずしも熱心じゃない。敵が攻め易くなると思うからだ。兵糧方の四人が緊張したのもその所為だし下野守と又兵衛が吃驚しているのもその所為だ。俺が反対すると思ったのだ。
あの四人、補給を任せたせいか物流に対してかなり敏感になっているな。道の整備は兵糧方の管轄にしようか。兵糧方が計画を策定し評定で承認し朽木が金を出す。そしてその地方の国人衆に道の整備を命じる。作業状況の確認は兵糧方が行い評定で報告する。次の大評定で提案してみよう、そして兵糧方の増員だな。誰か適当な人間を二、三人入れよう。
主税とか入れてみるか? 今は公事奉行の下に居るが異動させるのも有りだな。奴には色々な経験をさせないと。……人材育成計画表を作ろう。それと経歴表だな。こいつも誰か専門の担当者が要る。朽木の人事部長だ。口の堅い真面目な奴が必要だ。それと出世欲の無い奴。
次の仕事は人の採用だ。小姓が髭面の大男を連れてきた。初対面だ、五メートル程の距離をおいて座った。物珍しそうに部屋を見ている。
「初めて御意を得まする。九鬼孫次郎嘉隆にございまする」
「うむ、朽木大膳大夫基綱である。黒野重蔵より話は聞いている。良く来てくれた」
「はっ」
大男、九鬼孫次郎嘉隆が頭を下げた。九鬼孫次郎嘉隆、海賊大名の名で後世にまで有名な男だ。だがこの時期の九鬼は人生のどん底の状態にある。そうでもなければここには来なかっただろう。
元々九鬼家は志摩国の国人だった。志摩は志摩十三地頭と呼ばれる地頭達が治めていて九鬼家はその一人だった。地頭達は戦よりも協力して生きて行こうと約束していたらしい。だが九鬼家は少々やんちゃが過ぎた様だ。周囲を怒らせ志摩から叩き出された。今では安濃津で捲土重来を期している。
「小浜、千賀、浦等にも声をかけたのだがな。俺の誘いに乗ってくれたのは九鬼孫次郎、お主だけだ」
「皆、多気御所を恐れておりますれば」
「お主は恐れていないようだな」
九鬼孫次郎がニヤリと笑った。ふてぶてしい感じだな。でも海賊はそのくらいじゃないと。
「俺は来年伊勢に攻め込むつもりだ。伊勢を攻め獲った後は長島を攻める。そして三好、雑賀。九鬼孫次郎、ここに来たという事は朽木の配下になる、俺に力を貸す、そうだな」
「はっ、しかし某は」
「分かっている。安濃津で逼塞中だ。今は役に立たん」
九鬼孫次郎が渋い表情で頷いた。志摩の海賊衆は多気御所、つまり北畠の支配下にある。要するに俺と九鬼は共通の敵を持つのだ。
「だが朽木の伊勢になればその方の望む物を与える事が出来る。それを使って志摩へ戻る事も出来よう。そうだな?」
「はっ、その時は、必ずやお役に立ちまする」
睨むような眼で俺を見た。負けん気が強いな、俺に負けたくないと思ったか。
「うむ、近う寄れ」
下野守と又兵衛が俺を窘めたが構わずに海賊を傍に呼んだ。
「受け取れ」
この日のために取り寄せておいたお宝だ。近くに来た九鬼孫次郎に丸めた和紙を差し出した。九鬼孫次郎が受け取ったので中を見るようにと言った。訝しげな表情を浮かべながら九鬼孫次郎が和紙を広げた。表情が変わった、睨むように和紙を見ている。
「南蛮船の絵図面にございまするな」
「その通りだ、若狭の海賊衆がその絵図面を基に小浜で南蛮船を建造した」
「なんと!」
「船の癖に慣れねばならんと言って調練に出ているわ。もうじき正月だというのに女房子供を放り出して調練に精を出しているらしい。困ったものよ」
聞いているかな? 九鬼孫次郎は唸りながら絵図面を見ている。
「これを某に?」
おい、声が掠れているぞ。
「遣わす、手ぶらでは帰せぬからな。楽しい正月が過ごせよう」
「有難き幸せ」
九鬼孫次郎が頭を下げた。
「孫次郎、その船に乗せる大筒、鉄砲、火薬は全て朽木が用意する。その方は志摩に戻り南蛮船を造り九鬼水軍を大きく、強くするのだ」
「……大きく、強く……」
「そうだ、雑賀を叩き三好の安宅水軍を叩く。場合によっては瀬戸内最強の村上水軍とも戦う事になる」
「……」
「弱ければ捻り潰されるぞ。潰されたくなければ強くなるしかない。それがこの乱世の掟だ。九鬼は朽木を選んだ。朽木と共に大きくなれ、強くなるのだ」
九鬼孫次郎が大きく頷いた。
「必ずや大きく、強くなりまする。そして殿の御役に立ちまする!」
「うむ、その日が楽しみだ」
本当に楽しみだ。その日が来るのがな。