不可思議な後継者
今回ちょっと分かり辛いかなと思われる登場者です。
井口越前守経親 朽木家家臣 評定衆 伊香郡の国人領主
高野瀬備前守秀隆 朽木家家臣 元六角家家臣、浅井家に寝返り野良田の戦いで没落
大野木土佐守秀俊 朽木家家臣 坂田郡の国人領主
西山兵部幸正 朽木家家臣 坂田郡の国人領主
岩脇市介定政 朽木家家臣 坂田郡の国人領主
小林左馬頭家正 朽木家家臣 坂田郡の国人領主
新庄刑部左衛門直忠 朽木家家臣 坂田郡の国人領主
若宮藤三郎久高 朽木家家臣 坂田郡の国人領主
小堀新助正次 朽木家家臣 坂田郡の国人領主(小堀遠州の父親)
室賀甚七郎満正 朽木家家臣 旧武田家臣
芦田四郎左衛門信守 朽木家家臣 旧武田家臣
永禄七年(1564年) 三月下旬 近江坂田郡今浜 井口経親
「そろそろの筈だが」
「うむ、そろそろの筈だ」
「しかし、それらしい船が見えぬな」
「うむ、見えぬ。あれは如何見ても荷を積んでおる」
「向こうの船も荷を積んでおるぞ」
皆が口々に殿の姿が見えぬと言った。確かにこの湊に近付いてくる船は皆荷を積んでおるようだ。如何見ても荷船にしか見えぬ。今日は此処で殿が坂田郡の主だった国人衆と会う約束の筈。全員で七人、皆揃っている。立ち会えと言われたのだが……。
「あれではないかな?」
慌てて声のした方を見ると大野木土佐守が困惑したように街道を見ていた。そして“ほれ”と言って指をさす。目を凝らすと五十騎程の一団が此方に近付いて来るのが見えた。まさか馬で来られたか。
「なんと、殿は塩津浜から馬で来られたぞ」
「二日はかかろう」
「それは急げばじゃ。普段なら三日よ」
「相変わらず意表を突くのが上手なお方じゃ」
「なればこその戦上手よ。土佐殿が気付かねば我ら首を獲られていたぞ」
期せずして笑い声が上がった。全く同感よ、馬で来られたという事は昨夜は浅井郡に泊まられたはず、初日は儂の所に泊まられれば良いものを。
徐々に騎馬の一団の速さが緩やかになった。あちらもこちらを認めたらしい。一団の中に手を振る者がいる、殿か? こちらも手を振ると周囲に話しかけるのが見えた。どうやら殿のようだ。近くまで来ると殿が馬から降りられたので皆で出迎えた。
「待たせたようだな、済まぬ」
「いえ、大した事はございませぬ」
儂が答えると殿が笑い声を上げた。
「そうかな、皆大分湖の方を見ていたようだったが」
「殿はお人が悪うござる」
西山兵部が言うと皆が笑った。殿も楽しそうに笑い声を上げた。
「驚きましたぞ、殿。てっきり船で来られるものとばかり思っておりました」
「北国街道を見てみたいと思ったのだ、越前守。人の往来が多いな、荷も動いている。良い事だ」
満足そうに頷かれた。
「昨夜はどちらに?」
「野宿だ」
皆が驚きの声を上げた。まさか北近江の主が野宿? 殿がまた笑った。
「俺だけではないぞ、商人達も野宿をしていた。盗賊共に荷を奪われる不安を感じておらぬのだろう。少し話もした。伊勢北部の男だったが北近江は商売がし易いと言っていたな。それに比べると北伊勢は商売がし辛いと零しておった。皆が街道の見回りをする兵を出してくれた御蔭だ、礼を言うぞ」
なんと、自らの目でそれを確かめられたのか。そのための野宿とは……
皆が口々に大した事ではない、役に立てて嬉しいと言った。皆分かっている、商人が来るから石鹸が売れる、綿糸が売れる、銭が手に入ると。坂田郡だけではない、北近江の国人衆は皆がそれを理解している。昔よりずっと豊かになった。米だけが収入の道では無くなった。百姓に必要以上に負担をかけずに済む。浅井の配下であった時とは違う。朽木と共に豊かになる、そういう想いが有る。
殿が湊から湖を見渡した。
「これが今浜の湊か。北国街道と東山道を使える、やはり東近江の拠点になる湊だな」
「城を築かれると越前殿から伺いましたが?」
「うむ、ここに城を築いて城下町を造る。賑わうぞ、土佐守」
皆が満足そうに頷いた。
「しかし此処に作るとなるといささか守りに不安が有りますな」
岩脇市介が心配そうに言った。
「平城だからな、已むを得ぬ。だが湖の傍に有る以上船を使っての補給、後詰は容易い。決して孤立はせぬ」
「なるほど」
「城造り、町造りのために人を出して貰う事もあろう。その時は頼むぞ、勿論銭は払う」
また皆が嬉しそうに頷いた。
「何時頃になりましょう?」
小林左馬頭の問いに殿が首を傾げた。
「そうだな、越前で鉢伏山、木の芽峠に城を造っている。そちらが一段落してからになるだろう。大体九月から十月頃か。まあその前に大凡の縄張りは済ませたいと思ってはいる。本格的に造り出すのは来年かな」
「朝倉とは戦にならぬので?」
新庄刑部左衛門が訊ねた。野良田の戦いで討ち死にした新三郎の弟だが殿の力量に心服している。
「敦賀の氣比神宮が朝倉式部大輔に朽木は敦賀以北には興味が無いとそれとなく伝えている。氣比神宮は朝倉と組むより俺と組んだ方が儲かると理解しているからな。上手くやってくれるだろう」
なるほど、氣比神宮は越前で大きな勢力を持つ。朝倉式部大輔も無視は出来ぬ。
「それに敦賀は二万石程度しかない。越前全体で見れば微々たるものだ。湊も越前には敦賀の他に三国が有る。朝倉式部大輔にとっては敦賀よりも三国の方が使い易かろう。加賀の一向一揆が迫る今、敦賀に拘る事に意味は無い。もっとも油断は出来ぬが」
湊を見ながら穏やかな表情で殿が話した。
「我らは敦賀の湊を使って儲ける。そのためにも朝倉には頑張って一向一揆と戦って貰わなければならん。式部大輔殿の手腕に期待だな」
皆が笑い出すと殿も笑い声を上げた。
「殿、城造りは織田との同盟の証との噂を聞きましたが」
宇賀野の若宮藤三郎が尋ねた。
「否定はせぬぞ、藤三郎。織田は喜んでいる。だが先ずは今浜を発展させるためよ。それに国友村も近いからこの辺りの防御の拠点という意味も有る」
「なるほど、北国街道、今浜、国友村を守るためですか」
問い掛けると殿が“うむ”と頷いた。
「領地も大事だが物を動かす拠点、作る拠点も大事だ、疎かには出来ぬ。とは言っても美濃にとっては面白くは有るまい。何か仕掛けてくるやもしれぬ。一色に動きあれば急ぎ知らせよ、必ず後詰致す」
「はっ」
「兵は雇えているか?」
「申し訳ありませぬ、常の七割ほどしか雇えておりませぬ」
小堀新助が答えると他の者達も自分達も同様だと答えた。儂もようやく八割に達した。だが胸を張って答える事は出来ぬ。
「焦る事は無い、綿花の栽培が広まるまでもう少し時間がかかろう。幸い商人は来ているのだ。漆、材木、布、織物、何でも売れ」
「はっ」
「城を築くには人を雇わねばならん。その人を相手に領民を使って商売をさせよ。飯を食わせる、酒を飲ませる、女と遊ばせる。医者もいるぞ、古着屋、鍛冶屋、見世物小屋も要る。人が集まれば物が動く、物が動けば銭も動く。この今浜を東近江最大の湊町にする。必ずや坂田郡を豊かにしてくれよう」
国人衆達が力強く頷いた。
永禄七年(1564年) 四月中旬 近江伊香郡塩津浜 塩津浜城 朽木基綱
「重蔵、三河の一向一揆は未だ収まらぬのか?」
「はっ。どうも武田が動いているようで。本願寺に頻りに働きかけているとか」
「武田が?」
何で武田が三河の一向一揆に、と言いかけて止めた。今川が頼んだか、代償は対越後での協力、或いは米、銭の援助か。確認すると重蔵が頷いた。
「当分は収まりますまい。伊勢長島から援助が出ております。武田の要請に本願寺が応えたという事でしょう」
「……」
これ、どうなるんだろう。三河は荒れまくりで松平による三河統一は不可能? つまり徳川家康は無し? 信長はどうなるんだ?
甲相駿三国同盟は義元、信玄が死んでも健在か。ただ性格は攻撃的なものから防御的なものになった。対上杉、対松平で協力するか。だが武田の内情はかなり苦しい筈、このままやっていけるのか……。離脱者が続いている。真田、室賀、芦田の後に相木市兵衛頼房、小泉宗三郎重成が続いて朽木に来た。
真田、室賀、芦田は先発隊の性格を持っていたらしい。俺が気持ち良く迎えてくれれば第二陣が来る、そうなっていたようだ。相木は川中島で戦死した相木市兵衛の息子、小泉は村上義清に属していたらしいが義清が越後に逃げた後、武田に下ったらしい。第三弾が来るかもしれない。東海地方から関東甲信越は要注意だな。史実とは全くかけ離れた。これからどう動くか……。
「殿、三好家の跡取りが十河孫六郎重存に決まりましたぞ」
こちらは史実通りだ。三好左京大夫義継の誕生だな。
「十河は誰が継ぐ?」
「三好豊前守の二男、孫六」
これも史実通り。
「上手く行くと思うか?」
「……難しいかと思いまする、本来なら逆でございましょう」
「そうだな」
重蔵が眉を寄せている。俺も同感だ、上手く行かないだろう。史実でも上手く行かなかった。この世界でも駄目な筈だ。
不自然なのだ。如何見ても十河重存が三好長慶の後継者になった理由が分からない。三好長慶には四人の弟がいた。三好実休、安宅冬康、十河一存、野口冬長。このうち末弟の野口冬長は早い時期に死んだため後継者が居ない。つまり三好本家の後継者は三好実休、安宅冬康、十河一存の三人の子供達から選ぶ事になる。
普通こういう場合は本家に近い所から選ぶ。先ずは次弟三好実休の子供だ。実休の家に適任者がいなければ三弟安宅冬康の子供から選ぶ。十河の子供は候補者としては一番最後の立場だ。徳川御三家に例えれば水戸家になる。だがその十河の子供が選ばれた。
三好実休にも安宅冬康にも息子が居る。養子をどちらかから迎える事は可能だ。そして重存の父親、一存は死んでいる。つまり親身に力になってくれる後見人が居ないという事でも有る。重存は筋目の面で弱く、力の面でも弱い後継者と言って良い。俺と重蔵が上手くいかないと思う理由はそこだ。
「三好豊前守実休、大分怒っておりますそうで」
重蔵、目が笑っているぞ。
「それはそうだろう、二男を本家の養子ではなく十河の養子にさせられたのだからな」
「今少し掻き回しますか?」
「……いや、十分だ。これ以降は監視だけで良い」
重蔵が頭を下げた。
もう直ぐ三好長慶は死ぬ筈だ。問題はその後だな。史実では一年後に義輝が殺される。長慶の死で三好も終わりだと期待したのだろう。三好を排斥しようとでもしたのかもしれない。先手を打たれて始末された。この世界ではどうなるか? 史実と違って三好実休、安宅冬康が生きている。三好は史実よりも強固だが……。
「六角は如何かな?」
「六角の重臣達と幕臣が対立しておりまする」
「やはりそうなったか。左京大夫は?」
「幕臣寄りだそうで。重臣達、特に蒲生、三雲とは上手くいかぬとか」
「右衛門督寄りと見られたか」
「おそらくは。蒲生下野守、家督を息子の左兵衛大夫に譲るようです」
重蔵と顔を見合わせ笑った。
隠居か、それほどに不信を持たれているという事か。蒲生も三雲も最後は義治を持て余していたのだがな。
「となると公方様が頼るのは無理か」
「難しいかと」
史実より強固な三好陣営と史実同様貧弱な足利陣営か。義輝は生き残れるかもしれんな。
「越前は? 式部大輔は如何かな?」
「疑心暗鬼になっているとか」
「堪えられそうか?」
重蔵が首を横に振った。
「難しいかと思いますぞ、来年を迎えられるかどうか、正念場でござりましょう」
つまり最悪の場合年内で越前は一向一揆の領国になるか。本願寺顕如、ウハウハだろうな。鉢伏山と木の芽峠の防備を固めなければならん。
「若狭は?」
「内藤の兵は殆ど見ませぬ。皆丹波に居るようです」
「丹波国人衆の反乱が収まらんか」
「はっ」
となるとそろそろ若狭攻めかな。敦賀と若狭で日本海を利用した交易だ。しかし俺が動くと義輝が危うくなるかもしれない。切り捨てても良いんだが寝覚めが悪い。どうしたものか……。
永禄七年(1564年) 四月下旬 越前南仲条郡 木の芽峠 室賀満正
「四郎左衛門殿、木の芽峠とはあれかな?」
「そのようだな、甚七郎殿」
目の前には小高い山々が有り細い道が有った。何処か信濃の故郷に似ている。そして遠目にも何やら大勢の人が集まって普請をしているのが分かった。おそらくは砦を造っているのだろう。
「あと一里、そんなところか」
「そんなところだ。……皆、もう少しじゃ、頑張れ」
四郎左衛門殿が声をかけると家臣達が“おう”と声を上げた。
一刻とかからずに木の芽峠に到達すると道を塞ぐ柵が有った。そしていきなり二百人以上の兵が柵から現れこちらを囲んだ。まあ無理もない、こちらは家臣達も含めれば五十名近い兵が甲冑を身に着けているのだ。
「何者か?」
「怪しいものではない、某は室賀甚七郎。隣りに居る芦田四郎左衛門殿と共に木の芽峠に行けと塩津浜の殿に命じられた。田沢又兵衛殿に取り次ぎ願いたい」
兵達が小声で話し合っている。“室賀、芦田?”、“聞いた事が無いぞ”、“妙な訛りが有る”。いかんな、怪しまれておる。
「我らは新規召し抱えの者だ。元は信濃の出で甲斐の武田家に仕えていた。聞き覚えが無いのも訛りが有るのもその所為じゃ。田沢殿は御存じの筈、取り次いでくれ」
納得したのだろう、“暫くお待ちを”と言うと一人が去って行った。
暫くすると明らかに身形の良い侍大将が二人やってきた。一人は四十前後、もう一人は三十半ばか。おそらく年長の方が田沢又兵衛だろう。
「室賀甚七郎殿、芦田四郎左衛門殿でござるな。某は田沢又兵衛、共に居るのは高野瀬備前守殿にござる」
儂と四郎左衛門殿が改めて名乗ると柵の中に誘われた。家臣達には外で待つように言って中に入った。
柵の中には幾つか家屋が有ったがその一つに案内された。中には人が居た。明智十兵衛、竹中半兵衛、沼田上野之助。軍略方と紹介された、軍師の様な職らしい。ここでは築城の指揮を執っている様だ。皆で床几に座った。歩き疲れた体には床几が何とも有難かった。腰が蕩けそうな感じがする。小姓が茶を出してくれた。熱い焙じ茶が香ばしい。疲れが吹き飛ぶ。四郎左衛門殿が“ほうっ”と息を吐いた。
「かなり大がかりに普請を行っているようですな」
四郎左衛門殿が訊ねると田沢殿が“うむ”と頷いた。遠目では分からなかったが近付くにつれてかなりの規模の砦である事が分かった。
「ここを押さえれば越前から敦賀には兵を出せぬ。要衝中の要衝よ。室賀殿、芦田殿、御両所は殿からはどのように聞いておられる?」
「どのようにと言われましても木の芽峠に行け、そこで田沢殿の指揮下に入れと言われただけでそれ以上は何も」
儂が答えると四郎左衛門殿が頷いた。そして田沢殿、高野瀬殿が顔を見合わせておかしそうに笑った。見れば軍略方の三人も笑っている。どういう事だ?
「殿にも困ったものだ」
「左様、とにかく押付けてやらせてしまえ、それですからな」
「某は慣れましたぞ」
「良いでは有りませぬか。それだけ高く評価しているという事です」
「物臭なだけでしょう。殿は結構面倒な事は嫌います」
儂と四郎左衛門殿を除いた五人が笑いながら話している。はて、どういう事だ? 疑問に思っていると田沢殿がこちらを見た。
「御両所にはそれぞれ砦を一つ預かって貰う」
砦? それぞれ?
「某が木の芽峠の砦に、高野瀬殿が鉢伏山。室賀殿には観音丸砦、芦田殿には西光寺砦を頼む」
「……」
「兵はそれぞれに五百、鉄砲を五十丁付ける」
五百? 鉄砲五十丁? 四郎左衛門殿に視線を向けると向こうもこちらを見ていた。困惑している、聞き間違いではない様だ。
「我らは外様、ましてや新参者でござるが」
「知っており申す。殿からは武田家でそれなりの地位に有った者なれば力量に不安無し、遠慮なく使えと御沙汰が有った」
「……」
高く評価されているのか? だが兵五百、鉄砲五十丁? それに要衝中の要衝を守れ? 武田家に居た時でもそんな扱いは受けなかった。間違いではないのか?
「御不満かな?」
高野瀬殿の言葉に慌てて首を横に振った。
「そのような事はござらぬ。ただ何と言って良いか……」
「……その、何かの間違いでは?」
四郎左衛門殿が恐る恐る言うと我らを除く五人が笑い声を上げた。
「間違いではござらぬ。これが朽木のやり方にござる」
「これが?」
思わず声が掠れた。田沢殿が“左様”と頷いた。
「この場に居る七人、近江出身者は儂と高野瀬殿だけじゃ。沼田殿は若狭出身、竹中殿、明智殿は美濃出身でござる。そして明智殿はつい先日まで朝倉家に仕えておった」
驚いて明智殿を見ると柔らかく笑みを浮かべている。
「某は近江出身では有るが朽木家の譜代ではない。元は六角家に仕えていたが浅井に寝返った者。戦で敗れ城を失ったところを殿に拾って貰い申した。言わば他国者となんら変わらぬ」
高野瀬殿の言葉に気が付けば“左様で”となんとも間抜けな声を出していた。四郎左衛門殿も呆けたようにしている。
「朽木は元々は一万石にも満たぬ小領主であった。そのためだが譜代が少ない。されば使える人材なら他国者であろうと新参者であろうと構わず使うという事でござる」
「なるほど」
「期待しており申すぞ」
田沢殿がにこやかに話しかけてきた。慌てて頭を下げた。
どうやらとんでもない所に来てしまったようだ。次に朽木に来ようとしている者達に警告せねばならん。ここに来たら……、ここに来たら何と言えば良い? そうだ、“とにかく押付けてやらせてしまえ”だ、それが朽木だ。それでも良ければ来いと。……来るだろうな、なんせ儂が兵五百と鉄砲五十丁、砦を一つ預かったのだから……。