表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/267

軍神




天正四年(1580年)   十一月上旬      越後国頸城郡春日村  春日山城  長尾 綾




廊下を歩く足音が荒い、小姓に呼び出しを受けて弟の所に行っていた夫が戻ってきた。足音の荒さから何かが起きた、悪い事が起きたと分かった。

「如何なされました?」

「蘆名が蒲原郡に攻め込んできた」

「蘆名が!」

驚いて問い返すと夫が頷いた。そしてドスンと音を立てて坐った。蘆名が攻め込んできた……。喜平次が関東に出兵した隙を突いて蘆名が……。


「津川口から蘆名勢三千が押し寄せてきた。蘆名勢の大将は金上右衛門大夫だ。白河庄の安田治部少輔から報せが有った」

金上右衛門大夫、蘆名の重臣中の重臣、そして津川城の城主。越後の内情には詳しい筈。その金上右衛門大夫が寄せ手の大将、三千の兵を率いて来たという事は蘆名の覚悟はかなりのものという事なのだろう。夫の表情が険しいのもそれを思っての事かもしれない。


「治部少輔殿は?」

「近隣に報せを出した。援軍を待って蘆名勢を食い止めるつもりだ」

「上手く行きましょうか?」

「……」

夫は無言だ。安田治部少輔長秀、弟に従って数多(あまた)の戦を凌いだ勇将とはいえ歳は六十を越え隠居の身。跡継ぎの新太郎堅親は喜平次に従って関東へ出兵しているから兵も少ない筈。果たして防げるのか。


「喜平次の留守を狙ったという事でしょうが徳川との関係は?」

気になる事を訊ねると夫が“分からん”と首を振った。

「徳川は苦しい立場にある、上杉を牽制する勢力と手を結ぼうとしてもおかしくは無い。そして蘆名が北関東に勢力を伸ばすには上杉が邪魔だと考えてもおかしくは無い。此度の蘆名の動き、偶然かもしれぬし或いは徳川と繋がっているのかもしれぬ。未だ判断出来ぬ」

“分からん”、“判断出来ぬ”、でも怪しんでいる。夫は間違いなく繋がっていると考えている。


伏嗅(ふせかぎ)からの報告は?」

夫が顔を顰めた。

「蘆名は代替わりしたばかりだ。こちらはあまり重視していなかった。伏嗅からは徳川の忍び、或いは風魔らしき者達が関東で活発に動いているという報告は上がっていたが……」

蘆名は無警戒だった。そこを突かれたという事……。でも風魔? 亜相様に付いたと聞いているが……。


「喜平次を呼び戻さなければ」

夫が首を横に振った。

「それはならぬ。今呼び戻せば喜平次の立場を弱めかねぬ。慌てふためいて越後に戻ったと笑われよう」

「ですが金上は先陣でございましょう。後詰が有る筈、金上を会津に押し戻さなければ厄介な事になりましょう」

もう直ぐ雪が降る。おそらく今回は拠点作りが狙いの筈、本格的な侵攻は来年になるだろう。それを許してはならない。兵力が要る。金上を会津に押し戻し蓋をする兵力が。その為には喜平次を呼び戻さなければ……。夫が私を見た、目が据わっている。


「綾、それをやれば徳川の思う壺だ。もし徳川と蘆名が繋がっていないならこれを機に繋がる事になるだろう。喜平次を戻す事は出来ぬ」

「……では蘆名への対処は」

問い掛けると夫が顔を顰めた。

「御隠居様が出られる」

「御隠居様?」

思わず声が高くなった。弟が出る? 夫が更に顔を顰めた。


「自分が出るだけで蘆名を封じられようと申される。蘆名の動きを封じるにはこれが一番良いと。否定は出来ぬ」

「ですが」

「分かっている。御身体の事を考えれば賛成は出来ぬ」

「……」

「御止めしたのだがな、自分が蒲原郡に援軍に行くと申し上げたのだが聞き入れて貰えなかった」

弟は戦場に出たいのかもしれない。ここ最近身体の具合も良い、軍神と謳われた弟には城に居るだけの今の生活に不満が有るのだろう。


「それにな、綾。あの地で戦うとなれば揚北衆が主力となる。儂では十分に統制が執れぬかもしれぬ。そなたもそれは分かろう」

「はい」

「御隠居様が自ら出陣を決められたのはその辺りも案じての事なのだ」

「……」

夫の口調が苦みを帯びている。上田長尾家は決して越後で信を得ていない。夫の父の代に上田長尾家は叛服常無き家と誹られた。その誹謗は未だに払拭されていない。喜平次の上杉家継承が簡単では無かったのはその所為だ。


「ですが馬には……」

「輿を使うと申される」

輿を。

「それでな、綾」

「はい」

「……」

夫が困った様な顔をしている。

「如何なされました?」

夫が息を吐いた。何事?




天正四年(1580年)   十二月中旬      近江国蒲生郡八幡町 八幡城  朽木基綱




天正四年の十一月二十日、稲葉山城の織田三十郎は降伏した。孤立無援だったからな、降伏は已むを得ないと言える。悔しかっただろうな、疎まれているとは思っても何処かで助けてくれると信じていた筈だ。だが三介は三十郎を見捨てた。悔しかっただろうし寂しかっただろう。降伏後、三十郎は朽木家に仕えたいと言ってきた。尾張には帰れない、帰れば首を刎ねられるのは目に見えている。当然だが弥五郎は受け入れた、丁重に扱うと約束した。粗末に扱えば今後の調略にも影響するからな。


うむ、伊勢に行っていた所為で書類が溜まっている。今見ているのは伊勢兵庫頭からの書状だ。御大典は無事に終了した。朝廷では二代に亘って御大典が速やかに行われた事を喜んでいるらしい。帝への譲位も滞りなく行われた。院が若い帝を後見するという形が復活したわけだ。乱世が終わりつつある、そういう認識が出てきたようだと書いて有った。悪くない。


それと来年の朝廷での正月の祝いの事が書かれていた。そうだな、来年は仙洞御所でも正月の祝いを行うから経費は例年より掛かるだろう。まあ今回の譲位で一万石増やしたから問題は無いだろう。だが食材等はこちらで或る程度用意させよう。酒、塩、海産物を敦賀、伊勢、瀬戸内から京に運ばせる。十分な筈だ。公家達が喜ぶだろうな。


森三左衛門は織田家に戻った。弥五郎は朽木家に仕えないかと誘ったのだが家族が尾張に居るからと断って戻った。自分が朽木に降っては家族が殺される事になる。尾張に戻らせて欲しいと言ったようだ。三左衛門は辛かっただろうな。味方の来援を待って城を枕に討ち死になら遺族は優遇される。だが味方は来られないのではない、来ないのだ。死ねば無駄死にだ。例え三介に非難されようと生きる、そう思ったのだろう。だが三介から心は離れた筈だ。切り崩せるだろう。森三左衛門は信長の忠臣だった。これが三介を見限れば周囲に与える影響は大きい。


弥五郎は良くやった。稲葉山城を無理攻めする事無く包囲して落とした。勿論ただ包囲していただけじゃない。美濃の国人衆を使って何度も三十郎に降伏を促した。三十郎に味方する国人衆は居ない、稲葉山城は孤立していると理解させるためだ。そして尾張からは援軍が来る様子は無い事も教えた。三十郎、三左衛門よりも将兵の心が先に折れたようだ。そうなっては戦えない、三十郎達も降伏した。


もう直ぐ弥五郎達が帰ってくる。今回の武勲で弥五郎も少しは余裕が持てるだろう。周囲の弥五郎を見る目も変わってくる。自信も付く筈だ。問題は苦境に立たされた時だな、その時に冷静な判断が下せるか如何か……。まだまだこれからだ。一つ課題を成し遂げればまた別な課題が生じる。少しずつ背負う荷が重くなっていく。可哀想だが朽木の嫡男である以上已むを得ない。耐えて貰わなければ……。


その弥五郎からも文が届いている。不破太郎左衛門尉光治、この男の処遇を考えて欲しいと。今回の稲葉山城攻めではこの男が粘り強く何度も降伏の使者になったらしい。竹中氏が朽木家で厚遇されている事で不安が有るのだろう。功績を上げる必要が有ると必死なのだ。無視は出来ない、太郎左衛門尉を評定衆にしようか。美濃の国人衆も安心するだろう。となると久作を如何するか……。そうだな、稲葉山城には城代として田沢又兵衛を入れよう。その補佐に久作を入れる。不満は出ないだろう。後で稲葉山城に軍略方、兵糧方から誰か入れないといかん。


三介は頼り無しと言われているようだ。元々不覚人と言われていたのだが頼り無しというのはきつい。国人衆が寄り親を見捨てる最大の理由が頼り無しなのだ。だが美濃を見捨て信長、信忠の一周忌も宙に浮いたままだ。頼り無しと言われても仕方が無い。尾張に兵力を集めようとしている様だが国人衆が言う事を聞くかな? 織田の崩壊は間近だろう。徳川が如何出るだろう? 上杉が関東に出兵し蘆名がその隙を突いた。駿河に出るかな? 出れば朽木と徳川で競争になる。どちらがより多く織田を喰う事が出来るか……。その後は朽木と徳川の戦いになる。


蘆名は越後に攻め込んだがあっという間に会津に押し返された。何と上杉方で迎撃に出たのは軍神上杉謙信だった。身体の具合は上々らしい。輿に乗って春日山城から戦場に向かったそうだが謙信出馬の報に上杉方の士気は沸騰、蘆名勢は及び腰になったようだ。そりゃそうだよな、神は死んだと思っていたら復活したんだから。誰だって逃げるわ。


謙信からも書状が来ている。意気軒高だな、久し振りに戦場に出てすっきりした。関東は喜平次に任せて自分は国内に居て蘆名の相手をするつもりだと書いて有る。気持ちは分かるが如何なるかな? 謙信が戦場に出られるとなると蘆名も簡単には越後に攻め込めないだろう。徳川、蘆名の協力態勢は機能不全だな。早晩解消されるかもしれない。


謙信は戦場に出られて満足の様だが身体に支障が有るのは事実だ。余り無理はしない様にと返事を書こう。問題は他に有る。なんで竹を戦場に連れて行くんだ? 謙信が口が不自由だから代わりに兵に命令を下す? 日頃一緒に居て一番意思の疎通が早い? 謙信がモゴモゴ言うと竹が“××隊は右へ!”、“△△隊は敵の背後を突け!”とか言ってるっていう事か? それじゃ竹が大将で謙信は参謀じゃないか!


その内上杉家では謙信公の軍略を受け継いだのは竹姫様、謙信公は御養子の喜平次様よりも竹姫様を可愛がって軍略を教えたなんていう噂が出るぞ。竹は俺が頭を撫でると嬉しそうにする娘だったのに……。謙信に連れられて嬉しそうに戦場に行ったなんて……。上杉家の情操教育はどうなっているんだ? 問題大有りだろう。


「御屋形様」

声をかけてきたのは北条新九郎氏基だった。伊勢では年寄り連中と一緒に風呂に入って話を聞く事が出来て楽しかったらしい。近江に戻る途中で勉強になったと礼を言われた。北伊勢の国人衆の他に長野や真田、それに伊賀に風魔が来たからな。毎日ワイワイガヤガヤ風呂に入ってやっていた。この時代、年寄りの経験談は何よりの学問だ。得る所が有ったのだろう。三介にとっては織田攻めの相談をしているように見えたかもしれない。兵を美濃に出せなかったのは俺が伊勢に居た事だけではなくそれも有るかもしれん。


「何かな、新九郎」

「遠山大和守様、勘太郎様、民部少輔様がお見えでございます」

「うむ、此処へ通してくれ」

三人の男が現れた。岩村城の遠山大和守景任、苗木城の遠山勘太郎直廉、明智城の遠山民部少輔景玄。案内してきたのは吉川次郎五郎経信、小早川藤四郎元総だ。次郎五郎は吉川元春の息子、藤四郎は毛利元就の息子で小早川隆景の養子だ。多分この二人、吉川広家と毛利秀包だろう。毛利家からは弥五郎の傍で鍛えて欲しいと言ってきた。二人は多いな、片方は俺の傍に置こうか。年長の次郎五郎を俺の傍に置こう。


遠山大和守、遠山勘太郎、遠山民部少輔は遠山七頭の中でも遠山三家と言われる男達だ。この三人の中で岩村城の遠山大和守が遠山七頭の旗頭を務めている。そして大和守の妻は信長の叔母だった。二人の間に子供は居ない、信長の息子、御坊丸が養子になっている。岩村だけじゃない、遠山氏は織田家とは縁が深い。苗木城の遠山勘太郎の妻は織田信秀の娘だ。


「御初に御意を得まする。岩村城の遠山大和守景任にございまする。この度は美濃攻めに加わらなかったにも関わらず我ら遠山一族の服属を受け入れて頂けました事、心から御礼申し上げまする。以後は御屋形様の御為に懸命に努めまする」

大和守が頭を下げると勘太郎、民部少輔も名を名乗って頭を下げた。

「いや、遠山一族と織田家の繋がりは良く分かっている。今回は敵対しなかった事で十分だ。弥五郎からも文を貰っている。良く当家を頼ってくれた、嬉しいぞ」

「畏れ入りまする」

また三人が頭を下げた。


今回の戦いで遠山一族は中立を守った。織田を見限ったのだ。だが朽木に付いたわけでは無かった。これまでの織田との繋がりから敵対するのは気が引けたらしい。稲葉山城開城後、弥五郎に服属を申し出たらしいが弥五郎は文を書くから俺に直接申し出るようにと言ったらしい。別に弥五郎が受け入れて俺に文で報告でも良かったのだ。美濃の事は任せたのだから……。


「大和守、御坊丸は元気かな?」

「はっ、元気にしておりまする」

大和守が緊張している。そうだよな、織田の人間を養子にしているのだ。俺がその事を如何思っているのか、心配だろう。

「もう直ぐ元服かな?」

「……はい、年が明ければ十五になりますれば……」

「そうか、その時は俺が名付け親になってやろう、如何かな?」

吃驚している。大和守だけじゃない、勘太郎、民部少輔もだ。


「宜しいのでございますか?」

「構わん、御坊丸は遠山家の人間だと思っている。嫁は如何するのだ? 遠山一族から選ぶのかな?」

「はっ、そのように考えております」

「そうか、楽しみだな。その時は教えてくれ。俺からも祝いの品を贈ろう」

「有難うございまする」

三人が嬉しそうにしている。


多分、御坊丸を織田に返せと言われると思ったのだろう。だがな、今織田に返せば三介が如何いう反応をするか分からない。場合によっては御坊丸は殺される可能性も有る。それでは憐れだ。大和守夫妻も寝覚めが悪いだろう。それに大和守、勘太郎の妻は織田の人間だ。二人は妻の扱いに困る事になる。返すか、留め置くか……。


徳川家康の父、松平広忠は妻の実家が織田に付いた事で妻を離縁した。大和守、勘太郎には養子を返し妻を離縁し織田とは縁を完全に切る。そういう選択肢も有るのだ。跡継ぎを如何するかという問題も発生する。遠山一族の中で混乱が起きかねない。だが俺が御坊丸を岩村遠山家の跡継ぎとして認めれば混乱は生じない。大和守、勘太郎は俺に感謝するだろう。その分だけ働いてくれる筈だ。美濃東部は雪が多い、気を付けて帰れというと礼を言って帰って行った。まずまずの首尾だな。


史実ではこの時期の遠山一族は酷い事になっていた筈だ。美濃の東部は信濃の影響を受けやすい。戦国時代、史実では信濃は武田信玄の勢力下に入った。そして美濃東部も信玄の勢力下に入る。だが信長が美濃を制圧すると遠山一族は織田、武田に両属するような形になった。織田、武田が友好関係にあるうちは良かったが敵対関係に入ると織田を選択し武田の攻撃を受けた。そして多くの者が死んだ。


岩村遠山氏は大和守の死後、未亡人となった信長の叔母が武田に付く事を選択、武田家臣の秋山伯耆守虎繁と結婚し御坊丸は甲斐に送られてしまう。その後、武田の衰退と共に岩村城は織田に取り返され伯耆守、未亡人は殺された……。この世界では武田が川中島で敗れた事で美濃東部への影響を失った。上杉は信濃、越中、関東で手一杯だったのだろう、美濃には関心を示さなかったようだ。その分だけ遠山一族は難しい選択を迫られずに済んだ。


国境の国人衆、大勢力に挟まれた国人衆は生き残るのが難しい。竹中、不破、遠山。彼らを見ているとそう思う。誰を選ぶか、如何生きるかで家を潰す事になるのだ。生きるのが辛かっただろうと思う。余り酷い事は避けよう。美濃では三人衆が滅んだ、それだけ国人衆の力は弱まったのだ。御坊丸が成人し俺に敵意を示しても周囲の遠山一族がそれを抑える筈だ、それで十分だ。


それにしても川中島の戦いは影響が大きいな。武田が負けた事で信濃、上野に勢力を振るう事は無くなった。その所為で上野の長野氏、美濃の遠山氏は滅ぶ事無く存続している。そして武田、北条、今川の三国同盟は上杉、織田、朽木に対抗する守勢的なものとして結び付きが強まった……。


園からは側室は無理ですと言われた。自分には武田の血が流れていて同じ武田の血を引く氏直の娘が居る。貴方の子供を同時に育てる事は出来ません、愛する事は出来ませんと言われた。特に腹は立たなかった。やっぱり、そんな感じだったな。川中島は朽木とは直接関係は無いんだが祟るな。正直に言うとホッとした部分も有る。側室になります、貴方の子供を産みます、覚悟を決めました。なんて言われても最初の夜の事がトラウマになって上手く行かなかったと思う。あれ、結構きついんだ。自分が惨めになる。


だが彼女の扱いは側室のままだ。彼女だけの問題じゃないからな。側室に差し出した娘がやっぱり駄目ですと言い出したなんて事が表に出たら今川氏に対する扱いにも影響が出かねない。皆が今川を責めるだろう。名門である事を鼻にかけているのか等と言う批判も出る筈だ。彼らは肩身の狭い思いをする事に成る。園を責めるだろうし園の娘も辛い想いをするだろう。俺はそんな事は望んでいない。


園は母親の嶺松院に全てを話すと言ったが止めさせた。俺と園が黙っていれば良いのだ。十日に一遍くらいは園の元に行く。そして少し話をして寝て帰る。そういう約束になった。まあ休息日だと思おう。幸いなのは新たに側室なった北条の桂姫が俺の事を受け入れてくれている事だ。新九郎の事を大事にしていると思ってくれているらしい。


彼女の妹、菊姫の嫁ぎ先も決めた。冷泉左近衛少将為勝、正五位下の位に有る。播磨で俺に味方してくれた冷泉侍従為純、今では参議の地位にある男の嫡男だ。武家では無く公家を選んだ。武家は戦に出なければならん、死ぬ事も有る。家族を失うのはもう沢山だという彼女の希望を考えての事だ。来年の夏から秋頃に式を挙げる予定だ。


冷泉家もこの縁談には乗り気だ。菊姫は俺の養女として冷泉家に嫁ぐ。朽木家と繋がりが出来るのも嬉しいだろうが菊姫には千石の化粧料を与えるからそちらからの収入も当てに出来る。冷泉家は公家達の中でもかなり裕福な家になるだろう。菊姫は大事に扱って貰える筈だ。


まあ側室問題は一勝一敗だな。さて園の所に行くか。娘の龍の相手をして来よう。今では俺の娘なのだからな。その後は文学少年亀千代の所だ。話をしなければならん。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
3週目だけど竹と謙信が一緒に出陣するこの回一番好きw 次は何話か前の秀吉と秀長、寧々のハートフルな家族愛の回
竹姫様が軍神継げるやんw好きwww
竹姫無双(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ