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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

3章 DT,先生じゃなく、寮父になる

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92話 変わり始める北川家だそうです

 最近、すこぶる眠いんですよ。季節の変わり目に良くある事ですけど眠いのはどうにもなりませんな?
 雄一は巴に主人として認められて、ダンガに帰ってきた。

 まだ、空が茜色になるには少しある時間に着いたので、小さい3人を迎えに行ってから、一緒に市場で買い物をしようと『マッチョの社交場』へと向かう。

 店の前にやってくると3人は地面に絵を書くのに夢中だったので、何を書いてるのかな、と思いながら、雄一はコッソリ近寄る。

 ミュウは、涎を垂らしながら、マンガ肉を描いて微笑んでいて、ミュウらしくて噴き出しそうになるのを必死に耐える。
 アリアは、クロを描こうと思っているようで、睨むようにクロを見つめて、クロが明らかに挙動不審になっていた。

「駄目、クロ、普通に立つ」
「ピッピー!」

 アリア画伯の注文を受けて、ビシッと固まるように動きを止めるクロを見て、満足そうに頷くとクロをジッと見つめながら描き始める。
 雄一はクロも大変だな、と思いつつ、レイアは何を書いているのだろうと見つめる。

 どうやら、家の面子を描いているようである。

 髪が頭頂部から1本跳ねている者とそれより少し背の高い者が取っ組み合いをするようにする絵はおそらく、シホーヌとアクアであろう。

 今度は同じ身長ぐらいの3人が居り、1人に後ろから頭を叩くような仕草をなんとなく理解する。そして、叩かれてる者を指差す者の絵が描かれている。まず間違いなく、叩いてるのがホーラで、叩かれてるのがテツ、指差しているのは、それを見て笑ってるポプリであろう。

 その中央には、周り者と比べて明らかに大きな人が肩に小さい子を肩車にして、左手にも同じぐらいの子を抱え、右手には棒のような者を肩にかけている。

 そこまで描いたレイアであったようだが、腕を組んだまま、手が止まっているようである。
 レイアは頷くと腕を組むのを止める。

 ついに決まったかと思わせたレイアであったが、手に持つ石を彷徨わすようにすると、最終的に大きな人の棒を持ってる側の上で手が止まる。

 レイアは何かを落ち着かせるかのように深呼吸するとその場所に小さな子を描くと満足そうに頷く。

 どうやら描き終わったようだと思った雄一は、声をかける。

「おっ、上手だな。この大きいのが俺で、その隣の小さい子がレイアか?」

 そう言って、絵を指差して言うと、雄一が帰ってきた事に気付いた3人が一斉に振りむく。

 アリアとミュウを嬉しげに両手を上げて歓声を上げるが、大変だったのはレイアであった。

「にゃぁぁぁぁぁっ!!!!」

 顔を一瞬で真っ赤にしたと思うと絵を見る為に屈んで覗きこんでいた雄一目掛けて、飛び上がる。

 雄一が、「えっ?」と呟くと同時にレイアの飛び蹴りがめり込む。

 着地したレイアは、慌てて足で地面の絵を消していく。

「アタシは何も描いてねぇ!」
「えっ、今の絵は……」

 鼻を摩りながら、そう言ってくる雄一の足を黙って全体重をかけて何度も踏みつける。

「アタシは何も描いてないし、アンタも何も見てないっ!」
「……了解」

 余りに必死なレイアに笑いが込み上げるが必死に耐える。

 屈んでる雄一の背中から登って定位置に着いたミュウが頭をペシペシと叩きながら「遅い、ユーイ」と言ってくる。

「おかえりなさい、ユウさん」

 そう言うと両手を上げて、抱っこを要求され、快く応じる。

 アリアに頬ずりをするとアリアの頭の上にいたクロが必死に飛び上がり、ヨタヨタしながら、やっとの思いで雄一の頭の上に辿り着く。

「おっ、クロ、お前少し飛べるようになったのか?」
「んっ、頑張って鍛えた」

 アリアは、ムフンと鳴りそうな鼻息を洩らしながら胸を張る。頭の上では、ミュウが「クロ、偉そう!」と言った後、クロとじゃれ出したようで騒がしくなる。

「帰ったのね」

 振り返るといつも通りのパンイチのミチルダがポージングをしてウィンクをしてくる。
 ウィンクを避けるようにした雄一は頷く。

「ああ、今、帰ってきた。3人の面倒を見てくれてありがとうな?」
「全然、面倒かからない良い子ばかりで拍子抜けしたぐらいよ。もう一晩ぐらいゆっくりしてきても良かったのよ?」

 そう言ってくるミチルダに、雄一は口の端を上げて情けない言葉を吐く。

「そんな事したら、俺が寂しくて死んじまう」

 雄一の物言いが面白かったようで、クスクスと笑う。

「そんな有様じゃ、ボーイフレンド連れてきたら大変そうねぇ」
「はっはは、その時は物理的に説得するさ」

 勿論、男の方の話である。

 アリアは、「私は大丈夫っ!」と胸を張り、レイアは、良く分かってないようで、「アタシに友達ができても紹介しないっ!」とローキックを入れてくる。

 ミュウは、顎を雄一の頭の上に載せて言う。

「ユーイ、ミュウ、お腹が減った」
「おいおい、まだちょっと早いだろ」

 そう言う雄一に、「ユーイがこれから、ご飯作る時間」と言ってくるとこから、作る時間を入れたらお腹が減ると言いたいようである。

 それに苦笑する雄一と、「まあまあ、ユウイチが帰った瞬間、甘えん坊になったわね」とミチルダは笑う。

「じゃ、俺は市場で買い物して帰るわ。今日の事は貸しにしておいてくれ」

 そう言う雄一に今日一番のウィンクを決めるミチルダ。

「その貸しは添い寝で返して貰うわ」
「それは余りにも対価がでかすぎだっ!」

 目を剥く雄一に笑みを見せるミチルダは手を振ってくる。

「またな、ミチルダ」

 雄一はそう言うと、どさくさに紛れてレイアの手を取って市場へと歩いていった。


 市場に着くまでレイアに気付かせない匠の技を披露した雄一であったが、気付いたと同時に繰り出されたローキックで片膝を着かされる。

「レイア、ナイスキックだ。今の一発はテツを超えたぞ?」

 サムズアップする雄一に無言で人中に拳を入れてくる。

 涙目になる雄一の顔を撫でるアリアと、ガゥガゥと笑うミュウが、「ユーイ、カッコ悪い」と心がへし折られる。

 今日の夕飯は塩分が多めになりそうな予感がした。


 それから日付は変わり、ホーラ達が帰ってくるまで、雄一達、4人で近場に遊びにいったりした。そろそろ、春が近づき芽吹きの季節という事で、山菜採りをするがてら、アクアの神像のある森の境界線手前で雄一達は春捜しを楽しんだ。

 そこで取れた山菜を調理する段階で、今まで山菜を調理した事がなかった雄一は、普通の野菜のように煮てる間に浮くアクを取ればいいと思っていた。
 だが、調理を終えて食べた時のえぐみと言ったら……

 本来なら、重曹でアク抜きをしなくちゃならない事を食べて、えぐみに顔を顰めた時に思い出す。

 3人の非難するような目に苦笑を浮かべて、手を合わせて、ごめんなさいをする雄一であった。


 ホーラ達が出発して3日目の昼、アレクが雄一を訪ねてくる。

「よぉ、画師から完成図が届いて、大工達との打ち合わせが済んだ。工事を進める許可を貰いに来たぞ」

 そう言うと、雄一に完成図を見せてくる。

 渡されたモノをゆっくりと見ている雄一にアレクが質問してくる。

「そうそう、お前さん、財布の紐は堅そうなのに、なんで画師にチップをやったんだ?」
「ん? ああ、この絵を見て貰ったら分かるとは思うが、とても基本を押さえた絵を描くと思ったから唾を付けとこうと思ったんでな」

 一瞬、考え込むようにしたアレクだったが、雄一の思惑に気付いて、「やっぱりお前は食えねぇ男だよ」と嘆息される。

 渡された完成図を見て、1つ頷くとアレクに返す。

「概ね、これでいって貰ってもいいが、1つ注文がある。風呂場の足場を滑りにくい工夫を頼むと伝えてくれ」
「了解だ。工事が始まったら、変更を言われても、最悪、最初からのやり直しになりかねないから、要望があるなら早めにな? できるだけは対応する」

 一応、もう一度考えるが、特に思い付かない雄一は、「その時は覚悟して伝える」とアレクに伝える。

 アレクは、明日から工事を開始すると雄一に伝えると手を振って去って行った。


 アレクを見送っていた雄一達だったが、アレクの姿が見えなくなったと同時に1台の馬車が入れ違いでやってくる。

 その馬車の存在に気付いた小さい3人も嬉しそうにし出す。

 雄一の目にはテツがこちらに手を振っているのが分かり、それを伝えると3人は待ちきれないようで、馬車へと向かって走り出した。

 雄一も3人を追いかけるようにゆっくりと歩いて馬車へと向かう。
 馬車は、小さい3人が駆け寄ってくるのを見て、危ないと判断したテツが馬車を止める。

 馬車から降りてきた、シホーヌ、アクア、ポプリ、テツは3人に「ただいま」と笑顔で伝えている。
 だが、その後ろからゆっくりというより、のっそりといった動きで降りてくるホーラが周りに目もくれずに雄一に近づいてくる。

 雄一の目の前に来ても速度を落とさず、ぶつかるように抱きついてくる。雄一も思わず、抱き返す。

 ホーラは雄一の腹に顔を隠すようにして黙っている。その様子が心配になってきた雄一が声をかけようとする。

「どうした?ホーラ、どこか調子が……」
「ユウ、聞いて欲しい事があるさ」

 ホーラの声が感情が籠ってないような力がない声なのに、頷くしかないような思いに駆られる。

 雄一は、ホーラの頭を撫でながら、「なんだ?」とホーラに問いかける。

「アタイは、ユウの事、大好きさ」
「ああ、俺もホーラの事、大好きだぞ」

 そう返事を返す雄一の腹に顔を伏せたまま、首を横に振る。

「違うさ、アタイは、1人の男としてユウが大好き。すぐに返事を貰えると思ってない。でも、少しづつでいいから、娘、妹でなく、女の子として見て欲しいさ」

 肩を震わせるホーラから嗚咽が聞こえ始めるとそれがキッカケに堰を切ったようで、声を上げて泣き始める。

 雄一は、そっとホーラを抱き締める。ホーラに何があったかなんて分からない。ただ、ホーラは、覚悟を決めて伝えてきた言葉を雄一は無碍にする気などなかった。

「ああ、ホーラが大きくなるまでには、1人の女の子として見てみせる。返事はそれまで待ってくれ」

 雄一は、「情けないヤツで、ごめんな?」とホーラを強く抱き締める。


 それから1時間、何かを悼むように声を上げて泣くホーラを雄一は黙って抱き締め続けた。
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