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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

3章 DT,先生じゃなく、寮父になる

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72話 自立とは、こういう事なんでしょうか?

 これが更新されている頃は、バイブルは車を走らせていると思われます。
 友達に肉を奢らせる為に頑張ってきますよ!!(笑)
 力んだ顔をして雄一を見つめるテツと、後ろで推移を心配そうに見つめるホーラとポプリを眺めて、自分の口が綻ぶのを意識する。

 王都から帰ってくる道すがらも、色々と自分達で考えて、先々を率先してやっていく3人を見ていて、心境の変化があったのを感じてはいた。

 おそらく、大会でのテツの姿に触発された2人が、テツに負けてられないと成長しようと背伸びを始めたのだろうと雄一は判断していた。

 テツは、ティファーニアに相応しい男に、いずれなる父親としての成長する為に実地して経験を色々積もうという考えなのだろうと思う。

 訓練一つをとっても、自分で模索し、その考えを雄一に相談して、自分の伸び代を更に伸ばし、弱点は潰し、補う方法を必死に考えている姿を3人は見せていた。

 そんな3人は、きっと雄一が学校を作ると言った時から、この考えがあったのかもしれないと思う。
 その成長と心の育ち方を嬉しく思う反面、テツとホーラですら2か月ぐらいで巣立ちの予兆を感じさせられて、物悲しい気持ちになり、眩しいモノを見つめるように目を細める。
 この年頃の子の成長はこんなに早いのかと思うが、自分はどうだったのだろうと思うと負けた気分になるが、決して嫌な気分ではなかった。

「先生になって、何をしたいんだ?」

 本当なら2つ返事で了承してやりたいところだが、雄一は、3人の進むべき道に立ち塞がる壁の役目をする。

 3人は顔を見合わせて、困った顔をするが、それは答える答えがないのではなく、正直に話す事に照れを感じているような感じであった。

「ユウに助けられて、冒険者やれて、今じゃ、2の冒険者……ユウと会う前の自分じゃ、想像する事もできない、今を過ごせてる」

 雄一と出会った時を思い出しているように語るホーラ。

「でもね? アタイには運があったんだと思う。でも同じような境遇で苦しみ、出口を見つけられない、もう一人のアタイが一杯いるんじゃないかと、いつも思ってたさ。そんなアタイに出来る事をしたいんだ」

 雄一は、黙って頷いているだけだが、ホーラの思いは、いつも俺に届いていたと、本当は抱き締めて、頭を撫でやりたいが、まだ雄一の役目は終わってない。

 ポプリに視線をやると、1つ頷いたポプリも語り出す。

「その、そのぅ、私は、6歳の頃から1人で生きてきました。ただ、ただ、生きているだけでした。周りの人は、私の力を恐れるか、利用する事しか考えない人ばかりで、周りに無関心に生きてきました」

 苦笑いするポプリは、えへへっ、頬を掻きながら雄一から、やや目線を反らし気味に語る。

「そんな時です、ユウイチさんの噂を聞いたのは、噂だけで私より凄い事ができるのに沢山の家族に囲まれ、街の人に恐れられないという話を聞いて、私は噂は噂と思いつつも、気付いたら噂の真実を求めて、実の所、ダンガに来て、遠目でですけど、ユウイチさんを見た事があるんです」

 頬を染めて、照れ笑いに変わるポプリを見つめて、今度は雄一が頬を掻く。

「事実は、噂以上でした。家族には愛され、街の人にも笑顔で見つめられる。それを見て、私、気付いちゃったんです。悪かったのは周りだけじゃなく、私も間違って、自分から1人になってただけなんだって……自分から歩み寄らないと寄ってくるのは、目的のある人しかこないのは道理だと」

 ポプリは、ホーラを見つめてから、口を開き直す。

「ストリートチルドレンは、犯罪行為、娼婦になるしかないように周りから囲まれるようにして判断力を奪われている側面があります。私には力があったから、それを押し退ける事ができたけど、それができない子達に、それだけが道じゃないと間違った私だから教えてあげられる事があるんじゃないかと思ったんです」

 ポプリも色々ある子だろうとは思っていた雄一であったが、何も聞かずに今まできた。それを自分を信じて、少し胸を開いてくれたポプリを嬉しく思い、頷いて終わらせてやりたい衝動があるが、まだ1人残っていると気持ちを引き締める。

 雄一は、テツに視線をやると明らかに緊張しているのが分かるが、逃げる気はないようで目を見つめ返される。

「僕は、ユウイチさんに恩返しがしたい!」

 迷いのない瞳をしてテツが言ってくる。雄一は気持ちは嬉しいが、それでは駄目だと思っていると、

「でも、ユウイチさんはきっとそれをしても、喜んでくれないような気がしてます。ユウイチさんは言いました。『親の愛は返すものじゃなく、受け継ぐモノ』だと」

 見つめ返してくるテツの目を見て、それとこれを別モノと思わず、同じようにするのが良いという判断をしたテツを評価したいと雄一は思いつつ、テツの言葉の続きを聞く。

「今もまだ、ユウイチさんに色々、教えを請う立場ではありますが、教えられた、感じさせて貰った事を次の人に繋いでいきたい。ユウイチさんから学んだ事を沢山の人に拡散させ、その先でも拡散するという幸せの連鎖を作りたいんです」

 雄一は、誇りを感じているように語るテツを眺め、もういい、ばかりにテツの頭に手を置く。

 いきなりの行動だったので、テツは目を白黒させる。

 それに雄一は、3人を順々に見つめていくと口を開く。

「お前達の思いは受け取った。だが、やり始めたら、途中で止めるなんて俺が決して許さない」

 視線で圧力を加えるように見つめられた3人は背筋を伸ばす。

「それでも、覚悟は変わらないか?」

 3人は息を合わせるように頷いてくる。

「僕達に……」
「「私達に……」」
「「「先生をやらせてください」」」

 そう言ってくる3人を見つめて、我慢せずに笑みを浮かべる。

「良し! 分かった。先生役はお前らに任せる。そうだな、俺はみんなのご飯を作る人になるとするか。なにせ、先生やると言ってる奴らは、料理できないからな?」

 雄一がそう言うと全力で目を反らす2人の女の子と苦笑いをするテツがいた。

 ホーラとポプリはどうやら、本当にできないらしく、皮むきですら、まともにできない。
 テツは単純に不器用で、恐ろしく時間がかかるので人数が多い料理となると邪魔にしかならない。

「まあ、料理に関してはティファーニアに期待する事にしよう。明らかに、お前らよりはまともだったしな」

 まともというより、普通だったが、目の前の3人と比べると優秀に見えるのが苦笑を誘う。

 場の空気を変えるつもりか、テツが張り切って雄一に声をかけてくる。

「ユウイチさん! 学校が出来るまでに僕達に出来る事は何かないでしょうか!」

 顎に手をやり、「そうだな……」と悩む雄一。

 すると、物影から飛び出す2つの影があった。

「話は聞かせて貰ったのですぅ!」
「そう言う事は私達にお任せですよ!」

 シホーヌとアクアのアホ馬鹿コンビであった。

 2人は咥えていたモノを手で持つと、胸を張りドヤ顔をしてくる。

 テツ達は、2人の登場に驚いていたが、雄一は気付いていた為、驚かなかった。場の空気的に放置していたが、自分から出てくる辺り、寂しがりか!と言いたい気持ちを抑えて、アリアを下ろすと2人に近づく。

 近づくとおもむろに2人の顔を手で鷲掴みにして吊るし上げる。

「痛い、痛い、痛いのですぅ! ユウイチ、降ろして欲しいのですぅ!!」
「主様、妻の顔をなんだとお思いですか!! もっとソフトにお願いします!!」

 2人の言葉に聞き流すような顔をする雄一は、2人に顔を近づけてくると質問する。

「さっきまで咥えてたモノで今、手で持ってるモノはなんだ? 俺には今日のオヤツに作って置いたクッキーと凄く似てる気がするんだが?」

 雄一の言葉に、ハッ!とした顔をするアホ馬鹿コンビは、口の周りのクッキーカスを拭うのも忘れて言い訳を始める。

「主様? 私は食べようとするシホーヌを止めてただけで、食べてなのいませんよ?」
「ずっこいのですぅ! ユウイチ、私は、食べようとしただけで、まだ食べてないのですぅ」
「その嘘はせめて、口元を拭ってから言えやぁ!!!」

 雄一は、2人の後頭部を打ちつける。

 2人は、目を廻すようにフラフラしながら、

「お星が……」
「小鳥さんが……」

 などと、幻影を見るようにして座りこむ。

 雄一は、気付けだ、と言わんばかりの、軽い拳骨を入れると2人は再起動すると、雄一に2人は土下座してくる。

「「どうか、ご飯抜きだけは許してください(なのですぅ)」」

 2人を見下ろす雄一の瞳は冷たかったが、最後の優しさを見せる。

「さっき言ってた、お任せの内容次第で許してやるぞ?」

 一瞬、何の話?とばかりに首を傾げた2人だが、雄一の視線に剣呑な光を感じて身震いをして、思いだしたようで慌てて口にする。

「そ、そうなのですぅ。家に張っている結界があるというのは、雄一は知っていると思うのですぅ」

 雄一は、頷くが、3人は、ウソ!と言葉にする。特に魔力に長けたポプリは、意識を集中させて確認しようとするが、見つけられなくて、本当にあるのですか?と雄一に聞いてくるので頷く。

「それは、そうです。私とシホーヌの合作の結界ですから、ある一定の実力者以外には、気付かせないのに害意のあるモノは入れないという優れモノの結界ですからね?」

 遠回しにポプリの実力はまだまだ、と言われたようなものだが、この2人の素性を考えるとそれと比べられるのはどうかと思うが、知らないポプリは悔しそうである。

「そこで、それを学校全体に包むモノにしようというのですぅ。やろうと思ったらすぐにでもできるけど、制約があって、アクアも私もする訳には行かないのですぅ」

 人差し指を立てて、眉を寄せたシホーヌが言ってくる。
 それを引き継ぐアクアが繋いでくる。

「そこで、増幅器の役割をするものを集めてきたら、範囲を調節する事ができるのですよ、主様」
「本当ですか? アクアさん。ユウイチさん、これは何が何でも用意するべきです。学校ができるまでに僕達が集めてみせます!」

 アクアの言葉を聞いたテツは、意気込むようにテツに同意を示すホーラとポプリ。

「それで、アクアさん。何を集めたらいいんですか?」

 生き生きした目でアクアを見つめて、問いかけたテツであったが、語られた3つの品物を聞いて、目を泳がせ始める。

 それを見つめていた雄一は、頬を緩めながら聞く。

「本当にやるのか?」
「も、勿論ですよ! 一度、口にした以上やり通します!」

 引っ込みが付かなくなったテツが虚勢を張るが、傍にいるホーラは素直に言ってくる。

「さすがに、危ない時だけでいいから助けて欲しいさ。できるだけ自分達だけで頑張るから……」

 ポプリも涙目で雄一の裾を握って見上げてくる。

 雄一も状況次第では危ないと理解するので、意地悪せずに頷く。

 ホッとする3人は、やる気を漲らせて、準備をすると叫ぶと荷造りをする為に部屋を飛び出していった。

 3人を見送った雄一とシホーヌとアクアであったが、その2人の肩を後ろから抱くようにして間に顔を挟む。

「確かにアイツ等の為になる有意義な話だった」

 だったら!と表情を明るくする2人に優しげに頷く雄一は、

「明日のオヤツ抜きで許してやる」
「主様、良い話だったのに酷いです!」
「鬼、悪魔、ユウイチなのですぅ!」

 雄一に噛みつくように文句を言ってくる2人に、

「1週間抜きのほうが良かったか?」

 というと、掌を返した2人は、雄一に手を振ってくる。

「「お散歩に行ってきます(なのですぅ)」」

 逃げるように出ていく、アホ馬鹿コンビを見送った。


 回想から戻った雄一は、疲れて眠る3人のうちの髪が少しチリチリになっているテツを眺める。

「まさか、レッサードラゴンが火を吹くとはな?」

 テツは、レッサードラゴンの火を少し浴びて髪を焦がしてしまっていた。まさか、火を吐くと思ってない状態での攻撃だったので責める気はないが、油断したの一言だろう。

 アクアが言った3つの内の1つが、レッサードラゴンの体内で時折見つかるという玉という指示があった。丁度、冒険者ギルドでも、レッサードラゴンの皮を求めるモノがあったので、それを受けるついでに狩りきたのだが、テツ達にとったら、苦戦とまで言わなくても、しんどい相手だったようである。

 オークキングよりは弱いと言えるが、いくら腕を上げてきていて、ポプリもいるからとはいえ、さすがにしんどい相手なうえ、倒したら必ず出る訳じゃない。

 倒しては、中身を見てないのを確認して項垂れる3人を眺めつつ、皮を剥ぎながら、戦うのを見つめていた。

 7匹目のレッサードラゴンとの戦いになった時に、テツは火に炙られるという事件が発生する。
 それにも怯まず、倒すとそのレッサードラゴンの体内にでっかい真珠という感じの玉が出てくる。

 それを見た3人が、嬉しげに拳を突き上げると仲良くバタンと倒れて寝息を立てるのを見た雄一は苦笑する。

 3人を馬車に運び、レッサードラゴンの解体を済ませると、皮と肉やその他の素材が載るだけ載せると、馬に詫びながらダンガを目指して出発した。

「さて、1つ目でこの騒ぎだが、後2つはどうなるんだろうな?」

 空を眺めながら、色んな意味で楽しみな3人の活躍に胸を躍らせた。
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