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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

3章 DT,先生じゃなく、寮父になる

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70話 ここでも手続きは必要らしいです

 さて、3章スタートになります。涙が止まりません……ええ、嘘ですが、鼻水は本当です(笑)
 王都から帰って来てから1週間が経った。

 冒険者ギルドで受けた依頼をこなし、疲れて眠るテツ、ホーラ、ポプリを横目に馬車を走らせながら帰って来てからの事を澄み渡る青空を眺めながら思い出していた。





 雄一達は、学校と養護施設がごちゃ混ぜになったようなモノを作る為、商人ギルドで建設などの依頼をしていた。

 ただ、建物を作るだけなら大工などを生業にする者に依頼するだけでいいが、ここまで施設らしいものを作るとなるとそれなりに手続きが必要になるらしい。

 それを冒険者ギルドでミラーに学校を作ると言った時にアドバイスと忠告を受けたのである。

「はぁ? 王都で私を除け者にして祭をして帰ってきたのに……まだ騒ぎ足りませんか?」
「あのな……俺は、祭り騒ぎをしたつもりもないし、これは元々考えてた事でもあるんだぜ?」

 雄一は、巻き込まれただけで祭りの主催者のように言われ、心外だと言わんばかりに眉を寄せて言ってくる。

 そういう雄一を色素が薄いのか、感情が希薄なのか判別の難しい目を向けてくるミラーは雄一に答える。

「まあ、ストリートチルドレン達の社会復帰に役立つと思うので私個人としては歓迎しますが、冒険者ギルドとしては動けません。まあ、知恵ぐらいならお貸ししますよ?」
「じゃ、早速頼む。まずは、今の家の周辺にある空き地を買い取りたいんだが、土地の持ち主が誰か分からない。そういうのを知る方法を知りたいだが?」

 雄一の物言いに首を傾げるミラーは、逆に質問し返す。

「今の家はどうして手に入れられたのですか?」
「ああ……どうやら、知人に全部任せきりで、どうやって買って、いくらかかったすら知らないらしい」

 その話を訪ねた時、雄一は、その答えを聞いてシホーヌの肩を両手で掴み、優しげに笑い、「やっぱり、チェンジで?」と言ったら、シホーヌは号泣した。

 鼻水も垂らし雄一の服に擦りつけて、「許して欲しいのですぅ!」と騒ぐので友達に連絡を取る事で許してやる事にしたが、どうやら仕事で連絡が取れない所にいるようで結局分からずじまいであった。

 ミラーは、雄一に言われた言葉を咀嚼すると失笑する。

 それを見た雄一は、この男が感情が垣間見れる表情を珍しくしたのに気付き、少し驚く。
 あの残念女神は、無感情野郎のミラーすら笑わせる逸材ぶりに涙が出そうである。

「なんと言ったらいいやらですが……貴方の周りは本当に面白いですね、勿論、貴方込みですが?」

 へっへへ、という作り笑いをしてくるミラーに、「うるせぇーよ」と吐き捨てるように言う雄一。

「それだと……買う買わないでところで困っている様子から見て、そういった施設を作るにあたって許可を取る為の手続きがあるのも知らないのですか?」
「あるのか? 許可申請みたいなのが?」

 雄一の言葉に頷くミラーに雄一は、あちゃぁー、と言いそうな顔で手で目を覆う。

 元の世界でなら必要だとは思ったが、この世界ではそこまで、手続き、手続きみたいなことはないと思っていた雄一は、うんざりとした気持ちを隠さず溜息を吐く。

「予想通り、知らなかったようですね。若干、お金がかかりますが商人ギルドを頼るのをお勧めします」
「商人ギルド? 冒険者ギルドみたいなもんか?」

 雄一の言葉にミラーは頷く。

「ええ、名前の通り、商いを取り仕切るギルドで冒険者ギルドとも素材買い取りなどで提携を結んでいます。そこでなら土地を買う事から、大工の手配、許可申請手続きまで、最後まで面倒を見てくれますが、手続き代行、中間マージンとして取られるお金が発生しますが、ユウイチ様なら払っても困らない金額かと?」
「馬鹿野郎。家の家計を守る主夫として払って困らない金なんてねぇーよっ、と騒ぎたいところだが……さすがにそれに頼るしかなさそうだな」

 苦悩する雄一は、大抵の事ならスパッと決断するのだが、主夫脳の雄一は頭の中でそろばんを弾いて悩む。

 以前、親の遺産相続の手続きでも、ほとんどが弁護士を通して専門の人に頼んでやって貰ったが、それでも自分でしなくてはいけないところを四苦八苦した記憶が蘇る。

 悩む雄一を見つめるミラーは、雄一の背中を押すように言葉を送る。

「その余剰分だと思ってるお金は、保障と思えば良いのでは? 商人ギルドとして失敗は信用問題になりますし、万が一、失敗した時は、全力でフォローしてきますよ。それに何より、ダンガだけでなく、王都でも有名になった北川一家を敵に廻そうとするほど愚かな商人ギルドではありませんよ」

 雄一に、「彼らは損得勘定は得意ですからね……」と言ってくる。

 それでも「むむむっ……」と唸り悩む雄一。

 主夫として家計を預かる者として線引きはシビアなのである。

 だが、ミラーの言葉にやっと踏ん切りがついた雄一は、1つ頷くとミラーに頼む。

「餅は餅屋って言うしな。素人がしゃしゃり出るよりいいだろう。何より、子供達に投資する金をけちったら駄目だな」
「モチはモチヤですか? よく分かりませんが中途半端に知識を得てやるぐらいなら任せたほうがいいですからね。では、商人ギルドへの地図と紹介状を用意しましょう」

 そういうと何やら書き始めたミラーを見ていた雄一が何気なく言う。

「その紹介状を受付で渡したら奥からお前が出てくるとかいうオチはないよな?」

 雄一の言葉を聞いたミラーは、驚愕の表情と共に持っていたペンを思わずといった様子で手放して机の上に転がし、やられた! といった顔をすると悔しげに呟く。

「その手がありましたね……いや、今からでも間に合うか……!」

 出オチになるが、それはそれでアリだと思ってそうなミラーを見て雄一は慌てる。

「いらねぇーからな? それやるなら、わざわざ商人ギルドに行く理由ないしな?」
「それは、残念ですね……まあ、こういう事は不意打ちだから意味がありますから、いずれ……」

 そう言いつつ、書く作業を再開していたミラーが封筒と地図を雄一に手渡してくる。

 雄一は、それを奪うように受け取り、ミラーを睨みつけながら言う。

「俺はもっと穏やかに生きたいんだ。お前と会うのはここだけにしてくれっ!」
「ヤレヤレ、ユウイチ様は、ツンデレ過ぎて私を萌え殺す気でしょうか?」

 威圧も泣き落としも効果がないと再認識した雄一は、がっくりと肩を落として後ろ手で手を振って冒険者ギルドを後にした。





 雄一は、ミラーから手渡された地図の場所に着く。

 一軒家よりは大きいが我が家と比べてるとどちらが大きいか悩む大きさの建物で、これが本当に商人ギルド? と思いつつ、上を見上げると確かに『ダンガ商人ギルド』と書かれていた。

 外で悩んでいてもしょうがないと扉を開く。

 すると予想を裏切らない大きさの部屋で入り口入ったすぐの所にカウンターがある。
 分かり易く言えば、携帯ショップに入ったらすぐカウンターがあるみたいな感じである。それで分かり難いようなら、牛丼屋、立ち食いそばでもイメージとしては間違ってないと思われた。

 カウンターの席は、ほぼ満席で、対応している受付の女性のレベルの高さに雄一は生唾を飲み込む。

 なかでも、グラマーでしっとりとした雰囲気を漂わせるお姉さんといった女性が目に付いた。

 是非とも、「分からない事は、なんでも、お姉さんに聞いて?」と言われてみたい! とここにきた趣旨を忘れてその女性のカウンターを順番待ちする為に後ろに並ぶ。

 並ぶと野太い疲れたアラフォー臭のする声に呼び掛けられているような気がする。

「おい、そこの図体のでっかい派手な坊主。空いてる俺の所にこい」

 雄一は、自分との共通点が図体がでかい以外は適合しない事にホッとして聞き流す。

「聞こえねぇのか? 槍持った髪結ってるお前だよ」

 少し苛立ちが混じる声で言ってくる内容を聞いて、「俺が持ってるのは青竜刀、槍じゃないから俺じゃないはず」と呟き、目を明後日の方に向けて自分に言い聞かす。

「おい、ケイト。そいつに声をかけてくれ」
「えっ、はい。あの……槍をお持ちのお客様?」
「はいっ! なんでしょう、美しいお嬢さん」

 条件反射のように返事をした雄一は、しまった……という顔をする。

「隣のカウンターが空いておりますので、そちらのほうに御移動をお願いします」

 苦笑しながら、「ごめんなさいね?」と笑ってくる女性に文句を言う訳にもいかず、項垂れ嘆き言われるがまま隣に移動して椅子に座る。

 正面には呆れた顔をした無精ひげを生やしたおっさんが肘を立てた掌に顔を載せて雄一を見ていた。

「ようこそ? 初めまして、ノーヒット。一度、話をしてみたいと思ってたぜ」

 雄一は、見えない陰謀が渦巻いている予感させるキーワードを恐れるように椅子に座りながら仰け反った。
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