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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

1章 DT、父親になる

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6話 姐さん、事件です

 急激に冷え込んだようで、風邪ひきそうです。でも急激にって書いてますが、暦から考えれば、遅すぎる寒さなんですがね(;一_一)
 振り返った雄一の目の前には、中学生にもなってなさそうな少女が挑発的な笑顔をして、こちらを見つめていた。
 とりあえず、一旦、視線を切ってミラーに向けると確認する。

「この子が言うように討伐依頼を完了させたら5になれるって本当なのか?」
「はい、事実ではありますが、お勧めは致しません。これは元騎士など、訓練を事前にされて、実地を既に済ませている人の抜け道用という意味合いのものであります。確かに、ユウイチ様であれば、やってやれない事ではありませんが、貴方は実践はまだのはずです」

 私の見立てではありますが……と言ってくるミラーを見て、チートであるとばれてはないだろうが、どうやら、本当にこの仕事のプロのようだと少し見直す。
 ミラーは一旦、雄一から視線を切ると後ろの少女に視線を切り替える。

「ホーラ、貴方は何を考えているのです?」
「何って、こんな図体のいい男がこの年まで冒険者してないんだから、それなりに鍛えてるだろうから、やれるだろうって簡単な話だろ?」

 ミラーは問いかけながらも、この少女、ホーラの思惑を見抜いているようで、雄一に見せなかった鋭い視線を向ける。

「それで引率者が自分がなる、という話に持って行くつもりなのでしょ? 分かっているのですか? 仮にユウイチ様が貴方が思う以上に強かったとしても、手を借りたら、貴方にとって依頼失敗を意味するのですよ?」
「そんなヘマやらないさ」

 鼻の下を指で擦りながら言うホーラにミラーは溜息を零す。言っても無駄と思ったミラーは再び、雄一に視線を戻して忠告してくる。

「彼女が言うように、ユウイチ様ならできるだろうとは思います、が、引率者は彼女だけはお止めください。彼女は先程、説明した依頼失敗が重なり、除名処分の瀬戸際なのです。引率者が成功するとその危機から一発逆転できる評価が貰えるのを期待して今、ここにいるのです」

 ホーラはミラーに余計な事言うんじゃねーよ! と凄むがミラーにはやはり無意味らしく、ユウイチ様がこの方法をご要望であれば、こちらでまともな人選をして斡旋させて頂きます、と言ってくる。
 雄一は、なんとなく気になっていた。それはホーラの事もあるが……

 ミラーから視線を切って、雄一は後ろを振り返ってホーラを見つめて口を開く。

「いいぜ? 俺も早く5になって冒険者になりてぇーから、ホーラが引率役? 聞いてると俺は手を出したら駄目みたいなのに、この言葉はどうかとは思うがよ」
「そうか! なら、善は急げって言うさ? ゴブリン討伐を受けるからな」

 ホーラは雄一の気が変わらない内に! とばかりにミラーにゴブリン討伐と書かれた依頼書を叩きつけると、冒険者ギルドから出ていく。
 その姿を眺めて、雄一は肩を竦める。

「ユウイチ様、貴方は……」
「分かってるよ。ホーラが追い詰められて一杯一杯な事はな。そして、アンタがあの子の事を気遣ってる事もな」

 そう言うとミラーは、初めて、はっきりと分かるほど素の感情が出たように目を大きく見開いた。

「俺の事を心配した事も嘘じゃないだろうが、あの子にはもっと手堅く信頼回復をして欲しい……と思ってたのは今のやり取りでなんとなく分かった。多分、アンタも気付いてるだろうが、もう本当にあの子の心に余裕なんてない。何がそうさせるのか分からないがね」

 雄一の言葉に先程までの鉄面皮を取り戻したミラーの表情を動かす事は叶わなかったが、沈黙で返される。

「ここで俺が断ったら、次はもっと無理だと言えるような方法を取ろうとするような気がするんだ。それを感じたアンタが俺にああ言ったんだろう? 俺ならできるだろう、と」
「私はそんな肩入れするような不平等な事は致しません」

 冒険者ギルドとしてはそれが正しいんだろうな……と思う雄一は、それを言ってくるミラーに対する好感度が少し上がる。
 出入り口で、早く来い! と騒ぐホーラを眺めて、再び、肩を竦めて歩き出す。

「そうかい、なら俺が勝手にあの子に恩を売るって事で? 小汚いから分かりにくいが綺麗にしたら結構可愛い子だろうから今の内に先行投資だねぇ~」

 そう言って、ホーラの下へと歩いていく雄一の背後では、静かに頭を深く下げるミラーの姿があった。雄一の姿が見えなくなるまで頭を下げ続けた。


「ミラーと何を話してたんだよ?」
「ん? ああ、失敗した時のペナルティを言われてた」

 そう言う俺を呆れた顔して言ってくるホーラ。

「アンタに対するペナルティなんて、お使い依頼が少し多めに受けさせられるだけだろう?」
「ああ、そんな事言われてた」

 そんなペナルティで済むんだ……と雄一は思いながらホーラの隣を歩いていた。

 ふと、ある事をミラーに聞き損ねた事を思い出したが今更戻るのは格好悪すぎるから次でいいかと割り切り、ホーラに依頼内容を聞く事にした。

「で、ゴブリン討伐って言ってたけど、どこまで行くんだ? 後、どれくらいの規模の相手だ?」
「街の北を少し行ったとこにある森で、そこで少数のゴブリンの目撃情報があるから、1匹狩ってくるだけの簡単なお仕事さ」

 群れとかじゃないんだ? と呟く雄一に呆れた目をしたホーラが言ってくる。

「そんな数ならアタイではやれないって」

 さすがにアタイもそこまで無謀じゃない、と笑うホーラの目は言葉ほど笑ってなかったのに気付いた雄一は、これは思っているよりギリギリだったのかもな、と思い、こっそりと溜息を吐いた。


 それから、お互い、何も話さず歩き続けて、街を抜けて森が見えてくると緊張した声のホーラが雄一に言ってくる。

「あそこが依頼に指定された森さ。いいかい?アタイから離れるんじゃないよ」

 そう言って、腰に下げている短剣に手を添えながら森に入って行くホーラの後ろを雄一はついて行った。

 少し、森をうろつくと、ホーラは地面にある足跡に気付き、しゃがんで触って確認すると振り返って来て、雄一に言う。

「足跡が新しいさ。近くにいると思うから、アンタも警戒だけはしとくんだよ」

 短剣を抜くホーラ。素人目の雄一でもホーラがガチガチなのは分かったので足元の石をいくつか拾っておく。出番がありそうである。
 ホーラの短剣を見ると錆が付き始めているようで、ちゃんと使えるのだろうかと心配になってきた。

 ホーラは、徹底的に警戒しながら擦り足をするようにして前に進む。
 雄一は普通に歩いて周りを確認していると、こちらにやってくるモノがあることに気付いて、ホーラに警告する。

「ホーラ、何かが近寄ってくる。二足歩行のような音だから人か……ゴブリンじゃないか?」

 震えるホーラは、必死な顔をして雄一が指差す方向を睨みつけて短剣を構える。

 草むらを掻き分けて出てきたのは、禿げた老人のようにガリガリの体に腰布だけ装着して、曲がった剣を持って現れた。おそらく、あれがゴブリンなのだろうとシホーヌが授けた異世界の知識が俺に教えていた。

 ゴブリンを見たホーラは一瞬逃げようとする動作をするが踏み止まり、短剣を構えると気合いを入れる為に叫ぶとゴブリン目掛けて駆ける。

 それを見ていた雄一はヤバい!と心で叫ぶ。

 確かにホーラは的確にゴブリンの喉元を捉える軌跡を描いているし、刃合わせもこのまま行くなら正しく合わせるだろう。が、ゴブリンが振る曲がった剣のほうが先にホーラに届いてしまうと雄一のアビリティが教えていた。
 しかも、ホーラはその事に気付かず、狙い通りにゴブリンを狩れると思っている表情をしていた。

 雄一は舌打ちをすると、手に持ってた石を指で弾いて、ゴブリンが剣を持ってる右手の甲に叩きつける……つもりだったが、貫通してしまい、ゴブリンは痛みに呻き、剣を取り落とす。

 飛び込んでいたホーラはそのまま喉元を切り裂く事に成功する。

 成功したホーラは、嬉しそうに雄一を振り返って騒ぐが、ゴブリンは息絶えてなかった。
 息を吸い込む動作をするのを見た時、雄一の脳裏に過った可能性が叫ばす。

「ホーラっ! トドメを刺すんだぁ!!」

 雄一の叫びにビクついたホーラが硬直した後、すぐに、ゴブリンは断末魔のように大きな叫び声をあげる。あげると力尽きたように動かなくなった。

 再び、舌打ちをする雄一は周りを確認して、最悪の予想が当たったと理解した。ゆっくりとホーラの下へと周りを警戒しながら近づいて行って、今度は脅かさないように言葉を発する。

「不味い事になったぞ、今の叫びで近くにいたゴブリンを呼んだようだ。しかも、もう囲まれてる」

 雄一の言葉に合わせたかのように雄一達を囲むようにゴブリン達が現れる。それを見た雄一は数を数える。

「1,2……7,8,9匹か」

 自分でも数えたのか、囲まれてる状況からかホーラが、ヒッ、と短い悲鳴を上げて短剣を構えるが震え過ぎて今にも取り落としそうになっている。

「も、もう依頼がどうとかじゃない! アンタも戦いなっ!!」

 震えるホーラを見て、精一杯虚勢を張っているのがアリアリと分かった。
 雄一はヨシ! と思い、戦おう、と思った瞬間、事件が発生した。そう、いつだって事件は突然、現場で起こるものである。

「姐さん、事件ですっ」
「もう目の前が事件だよ、何さ?」

 雄一は両手を広げて言う。

「武器を持って来てません!」

 ホーラは気の抜けた顔をしたと思ったら腰が抜けたように座り込み、シャー、という音と共に、ホーラのミニスカートから湯気が上がるのを見て、雄一は顔を手で覆った。

 雄一もホーラも色々、やらかしたようであった。
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