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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

2章 DT、先生になる

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49話 怒りと悔恨と護るべきモノらしいです

 感想で、次話を期待されてる感じがあったから、ちょっとドキマギしておりますが、話を変更する気はなかったので、あんまり気にしてなかったのか、どっちだろうと頭を捻っていたら、呼んでもないゲストがやってきました。

し「なんか、出番がないのですけど、忘れられたらどうするのですぅ!」

 もうすぐ、出番……があるといいね?

し「おかしいのですぅ! 私は、ヒロインのはずなのです!」

……えっ?
 雄一達と別れたテツは、じゃあ、と顎に可愛く指を当てて、考えるようにしたティファーニアに、用事を頼まれる。
 ニッコリと笑ってテツに言ってくる。

「まずは、屋根の雨漏りの修繕をお願いね? テツ君」
「はい、任せてください!」

 雄一の許可もあり、テツを使い倒そうと思っているようだ。まずは、と頭についているところがミソである。

 テツは、そんな事もお構いなしにティファーニアが、笑顔で言ってくる事が嬉しくてしょうがないようで気にした風に一切見えない。

 ウキウキ気分のテツは、廃材から使えそうな木材とまだ利用できそうなクギを選別すると、板きれを肩に背負うと身軽に瓦礫を飛び越えて屋根へと移る。

 それを見ていたティファーニアは、目を丸くする。

「テツ君、とっても身が軽いのね?」
「いや~、そんな事ないですよ~」

 ティファーニアに褒められて、デレデレのテツは幸せ一杯の表情を浮かべる。
 そんなテツを可愛い弟を見つめるホーラに似た視線を送る。

「じゃ、私は中の掃除をしてるから、終わったら声かけてね?」

 そうティファーニアに言われたテツは、元気良く、ハーイ!と返事をしつつ、手を振って笑顔を振りまく。

 ティファーニアの姿が見えなくなるまで手を振っていたテツは、腕まくりをすると、気合いを入れて、雨漏りしてそうなところを捜し始めた。

 しばらく、黙々と作業をしていたテツの耳に小さな子の悲鳴のような声がしたので、慌てて辺りを見渡すと教会の門があった辺りで、荒くれ者を引き連れた、茶髪の15,6歳ほどの少年がそこいた。

 その少年は、近くにいる子供を蹴っ飛ばし、蹴られた子の仕返しとばかりに、雄一にタックルをした子が挑むが、鞘を抜いてない剣で吹っ飛ばされる。

「やめて! ベルグ!」
「ああっ? ベルグノート様だろうが? ストリートチルドレンになったティファーニアちゃん?」

 ソバカスが浮かぶ頬を凶悪な笑顔で歪ませて、ごろつきに手を上げる。

 それに合わせて、ごろつき達が笑いだすのを見て、笑う合図を送るアイツは気持ち悪いとテツは眺める。
 正直、ティファーニアの登場で飛び出すキッカケを失い、下手に暴れてティファーニアの立場を悪くしたらと思い、屋根の上で歯を食い縛って、状況を見守る。

「そろそろ、色好い返事を頂けるかな? テファ?」
「テファって呼ばないで! 貴方なんかに呼ばれたら寒気がするわっ!」

 テツは、ティファーニアに心で喝采を送る。

「お前、馬鹿だろ? ここで生活するより、俺の妾になったほうが良い生活できるってのによぉ?」

 そういうベルグノートの言葉を聞いたテツは、無意識に相棒のツーハンデッドソートに手を触れる。
 はっ、と気付いたテツは、自分に我慢だぞ?我慢と言い聞かす。

「まあ、お前のそういう気の強い所も魅力だとは思ってはいるんだがよ、そろそろ、それに付き合うのも飽きてきたんでな?」

 後ろに控える、ごろつき達に目で合図を送る。

 それにニヤつき、散開するように、半分は子供達を捕まえようとし、残る半分は教会跡を破壊する為にハンマーを振り上げる。

 それを見たティファーニアはレイピアを抜いて、子供達を襲おうとする者に挑もうとすると、ベルグノートが間に入り、鍔迫り合いをする。

「させねぇーよ。お前じゃ、俺には勝てないって分かってるだろ?」

 くっ、と声を洩らしたティファーニアが距離を取って、連続突きを放つ。

 それに目を見張ったベルグノートは、仰け反るようにして、やっとの思いで避ける。

「1週間前と別人かと思える突き放つじゃねーか! 前は手を抜いてたのかよ!」

 それに答えないティファーニアは、再び、連続突きをするが、あめぇ!とベルグノートが叫び、横一線を書くように片手剣で弾く。
 その斬撃でレイピアを吹っ飛ばされて無手になったティファーニアは、悔しそうに見つめる。

「少し、びっくりはしたが、お前じゃ、俺には勝てないっていい加減気付けよ。コミュニティーを立ち上げても、無駄、無駄。俺もその大会には出るんだぜ?どうやって勝とうと言うんだよ?」
「やってみないと分からないわっ!」

 そう言うティファーニアを馬鹿にするように見つめるベルグノート。

「そうやって、お前を叩いても折れるのは時間がかかりそうなんでな? お前の根本を折りに来たって訳だ」

 ティファーニアがベルグノートとやり合った事で、手が止まってる、ごろつき達に始めろと再び命令する。

「やめてぇ!!」

 ティファーニアの悲痛な悲鳴と同時に子供に襲いかかろうとしていた1人のごろつきが目を白くして突っ伏す。

 倒れた、ごろつきの向こうから、ツーハンデッドソードを抱えたテツの姿が現れる。

「ティファーニアさん、ごめんなさい。出しゃばったら迷惑をかけるかもしれないと我慢しようとしてたのですが、もう……我慢の限界です!!!」

 テツの気を吐く威圧にその場にいる者、等しく全員、金縛りに合うように身動きを封じられる。

 テツは揺らめくように、赤い瞳を残光のテールランプのように描くように、ごろつき達に近づく。

 抵抗もできない、いや、距離感が分からなく、離れているのか、近くにいるのかも判別ができないテツに対応できず、1人、また1人とテツの剣により、吹っ飛ばされていく。

 雄一に仕込まれている歩行が、テツとの距離感を狂わせる。もっと功夫を積むと、気付いたら目の前に現れたという事ができると雄一に言われているが、今のテツにはこれが精一杯である。

「各個撃破される前に囲んでやっちまえ!!」

 ベルグノートは我に返ると、ごろつき達に命令を下す。

 ベルグノートの命令を受けた、ごろつき達は顔を見合わせるとテツを取り囲む。

 放心するように見ていたティファーニアも我に返り、テツに向かって叫ぶ。

「テツ君! 逃げてっ!!」

 ごろつき達に飛びかかられるなか、その言葉に、不敵な笑みを見せるテツは、何でもなさそうに言葉を洩らす。
 特に大きな声ではなかったが、ティファーニアには良く聞こえた。

「僕は、世界二位のお父さんになる男です。こんなヤツらに負ける訳はありません」

 目を細めたテツは、相棒のツーハンデッドソードを旋回するように振ると、ごろつき達を一掃する。

 最後に残るベルグノートを、静かに見つめながら、肩にツーハンデッドソードを置いて、近づく。

 ベルグノートは、テツから発されるモノに畏怖したようで、後ずさる。

 そんなテツを、驚きと共に見守っていたティファーニアは感嘆の溜息を零す。

 テツは、少し潤む瞳でティファーニアに見つめられていると気付いて、少し、鼻の穴を大きくする。

 ツーハンデッドソードを突き付けて、ベルグノートを睨む。

「後は、お前だけだ!」
「舐めやがって!! ガキの分際でぇ!」

 飛びかかるように斬りかかるベルグノートをあしらうように、鍔迫り合いの状態から吹っ飛ばす。

「そんな体から、どうして、俺を吹っ飛ばす力が出るんだよっ!」

 そんな雑魚臭するセリフを吐くベルグノートと、凄いと称える、ティファーニアの言葉に鼻息が荒くなるテツ。

 少し、欲の出たテツが、ベルグノートをあしらいながら、追い詰めていく。

 壁際まで追い詰めたテツが、トドメとばかりに、ツーハンデッドソードを振り上げる。

「くっそたれが!!」

 そう叫んだベルグノートの剣に炎が纏われ、そこからテツを覆う程の大きさの火の球が飛び出す。

 油断していたテツは、それを避ける事叶わず、炎に包まれる。

 悲鳴を上げるティファーニアと、熱を体内に入れてしまったテツは、声なき悲鳴を上げながら地面を転がる。
 激しい痛みから、気を失ってしまったテツは、体から煙を上げる。

「クソガキの分際で、貴族様に盾突くだけでなく、切り札まで使わせやがって!!」

 テツに近づくと、気を失っているのも気にせずに、蹴り飛ばす。

「止めて! もう気を失ってるのよ!! 勝負は着いてるじゃない!!」

 駆け寄ろうとするティファーニアの足下に火の礫を打ち込む。

「うるせぇ、俺を追い詰めたガキにしっかり報復して、きっちり、あの世に送らねぇーと気がすまねぇ!」

 近寄れないティファーニアは、悔しそうに顔を歪ませる。

 その表情に満足そうに笑みを浮かべるベルグノートは、テツに近寄っていく。

 その時、甲高い空気を斬る音が聞こえてくる。

 ベルグノートとテツの間を挟むように、地面を割るように突き刺さる青竜刀。

 その衝撃、地面の振動か、風圧か、本人もどちらが原因か分かっていないようであるが、ベルグノートは、尻モチを着く。

 そして、今度は音も衝撃も気配も感じさせずに、その青竜刀に降り立つ、カンフー服を纏う、大男が現れて、ベルグノートは、目を剥く。

「ど、どこから現れやがった……」

 震える声で見つめる先の大男に語りかけるが、腕を組んで睥睨するのみである。
 王者の貫録を見せつけられたベルグノートは、呼吸困難になりながら、尻モチを着いたまま、後ずさる。

「先生ぇ、テツ君が!」

 そう呼び掛けるティファーニアは、大男、雄一にテツを指差す。

「ああ、分かってる」

 そう言うと、ベルグノートに興味を失ったかのように、巴から降りるとテツの様子を見る為に近づく。

「大丈夫だ、1時間放置したら、さすがにどうにもならないところだったがな」

 そういう雄一の言葉に、ホッとするティファーニア。

 雄一は、テツに手を置き、神経を集中するように目を瞑る。
 すると、可視化できる魔力の奔流が雄一を中心に渦巻く。

 それを見つめるティファーニアは、もうこれしか言う言葉はなかった。

「凄い、こんな事ができる人がいるとは想像もした事もなかった……」

 雄一から発される魔力は、テツを包むように送り込まれ、火傷や傷が逆再生されるように巻き戻しが開始される。

 すぐに、元のテツに戻ると、雄一は汗を拭うように額を腕で擦る。

「良し、これで死ぬような事はないだろうが、後は帰って本職達に任せるか」

 そう言うと、テツをお姫様抱っこする。

「いつまで、俺様を無視しやがるんだっ!!!」

 震える足で立つベルグノートは、虚勢と誰でも分かる状態で、剣に炎を纏わせて、雄一を睨みつけていた。

 雄一は、ゴミを見るような瞳でベルグノートを見つめる。

「本当に相手にして欲しいのか? 噛みつく相手は、選んだほうが身の為だぞ?」

 そう言うと、目を細める。

 すると、剣に纏っていた炎が鎮火すると、剣先が地面に落ちそうになって慌て出すベルグノート。

「なんだ! 急に炎が出なくなったり、重くなるんだ?」

 慌てるベルグノートに向き直った雄一は、器用に巴を蹴り上げて、テツに当たらないように肩に載せる。
 そのまま、ゆっくりとベルグノートに近づく。

「俺の基本方針として、子供の喧嘩は止めても介入するのは良しとしないんだが……見た所、俺と年が変わらないように見えるお前は例外にしてやろうか?」

 そういった雄一の言葉に、ベルグノートだけじゃなく、ティファーニアもびっくりしたような声を上げる。

 2人共、もっと年上だと思っていたようである。

 気にしてない雄一は、覗きこむように言うと目を反らして、踵を返すとベルグノートは、お約束の捨て台詞を吐いて逃げ出す。

「おぼえてろよっ!!」

 そう言われた雄一も、最近の定番になりつつあるセリフで返事を返す。

「本当に覚えておくからなっ!!」

 負け犬を見送ると、雄一はティファーニアに指示を出す。

「ホーラと合流したら、マッチョの集い亭へ行く。怪我してる子供達を集めて、連れていく用意を。酷い怪我の子がいるなら、俺が応急処置をするから連れてこい」

 はいっ!と返事をするとティファーニアは、子供達の様子を見る為に走り出す。
 それを見送った雄一は、腕の中で、悔しそうな、今にも泣きそうな顔をしたテツを見つめ、呟く。

「この馬鹿野郎が……」



 ホーラと合流を果たした雄一達は、子供達を連れて、マッチョの集い亭へと足を向けた。
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