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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

2章 DT、先生になる

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47話 男って馬鹿よね、というフレーズの歌があったそうです

 いつも思っている事ですが、感想を頂けて読ませて貰っているのがモチベーションになっております。感想をくれている方達、この場を持ってお礼を申し上げます。
 貴方達が、私のツバ……ゲフンゲフン……
 えっ?2度目?気にしたら負けです(笑)
 ポトフを作り、みんなで楽しく食事が済むと雄一は子供達に掴まり、揉みくちゃにされていた。

「こら、ちょっとは落ち着け! いたたっ、髪を引っ張るなって、誰だ、背中に石入れたのはっ!!」

 群がるように乗っかられていた雄一が、うがぁー、と言う声と共に両腕を上げる。
 雄一の、声と動きで落とされた子供達は、甲高い声を上げて、蜘蛛の子を散らすように散開する。

「この悪ガキどもが! お尻ペンペンしてやる!」

 逃げた子達を追いかけ始める雄一。

 手近の笑いながら逃げる女の子を捕まえようとすると、横から雄一の足にタックルしてくる猛者がいた。

「ここは、俺に任せて、逃げろ!」

 へっ!と洩らして良い笑顔を女の子に向けるテツより2~3歳年下に見える少年が、更に雄一の足を掴んで走れないように頑張る。

 微笑ましいモノを見るように見つめるといった油断をしていた雄一の反対側からもタックルされて、びっくりする。

 それがキッカケと言わんばかりに、次々と子供達にタックルされた雄一は、子供達の足を踏まないように避け続けて、よろけて、思わず、膝を着く。

「今だ、このチャンスを逃すなぁ――――!」

 最初にタックルした少年が叫ぶと、逃げていた子供達も走って戻ってくる。

 雄一は、思わず、げっ!と声を洩らして、子供達のビックウェーブを見守る。

 そして、雄一は、チルドレンウェーブに飲み込まれた……


 うつ伏せ姿勢のまま、肘を着き、顎を載せて、好きにしろよ、と体現するようにして、子供達の玩具にされていた。

 髪は、引っ張られ放題で、無造作に縛っていた髪はほどけて、暴発するように広がりを見せていた。
 それが子供達は面白かったようで、更に揉みくちゃにされて、頭が大変な事になっているが、雄一の表情は不動であった。

 顔は、泥でどこかの部族のように頬に横線を幼い女の子に入れられる。

「お兄ちゃん、とってもきれいだよ?」

 可愛く首を傾げて、前歯が一本抜けた顔で笑いかけくる。

 それに、雄一は、

「ありがとうよぉ」

 片目を瞑って、礼を伝えると、本当に嬉しそうに笑顔を輝かす。

 この女の子は、見た感じ、アリア達と同じ年頃のように見える。本来ならあの3人もこんな感じに子供らしい姿が見れてるはずだが、その気配が見えない。

 ミュウが来た事で、アリアとレイアの行動に少し、年頃の行動らしさが垣間見れるようになってきたが、まだまだ、早熟な感じが抜けていない。

 もっと、年の近い子達と一緒に居れば、少しづつ、子供らしさを引き出してやれて、毎日を楽しく過ごさせてあげられるのかもと雄一は思う。

 そう思い始めたのは、今日が初めてではない。

 ダンガで生活をしていて、ストリートチルドレンを見る度に、いつも頭の片隅で考えていた事、学校があれば、どうだろうと思っていた。

 勿論、アリア達の問題にアプローチが出来るという事もあるが、ホーラの心の楔から解放のキッカケになればと思っていた。

 だが、思ってるだけで、実行どころか、口にすらしてきていない。

 施設を作る土地はある。

 足りなければ、買う金も潤沢にあるし、ストリートチルドレン達を寮生活させて養う事も可能だ。

 足りなければ、稼げるという自信もある。

 なのに、雄一は、口にする事もなく、今日までやってきた。ずっと悩み続けてきた。

「俺は、先生になれるのだろうか」

 口の中で言葉にするが、周りの子供達は雄一で遊ぶ事で夢中で、聞いていない。

 そう、雄一は、職業が先生になってしまう事を恐れていたのである。

 これでは分かりにくいかもしれない。例えるなら、子供達に自分を紹介される時の言葉が分かり易いかもしれない。

 この人は誰?と問われた子供達が、

「学校の先生」

 と答えるのと、

「僕の、私の、先生」

 と言われる違いである。

 勉強を教えてやれる、戦い方を教えてやれる、生活に必要な知識を教えてやれる。
 だが、それだけでは足りない。そこに足される+αを自分は果たせるかという事に、自問自答し続けている。

 雄一は、進みべき道が見えずに苦しみ続けていた。


「こらぁ!! 先生に何をしてるのっ!!」

 洗い物に行っていた3人が戻ってきたようである。

 子供達が雄一にする恐れも知らない蛮行を見て、顔を青くするティファーニアは、大声を上げて、走り寄ってくる。

 その姿を後ろから眺めるホーラは、目を細めて頬笑み、テツは、ティファーニアに呼び掛ける。

「ユウイチさんはそんな事で、怒ったりしませんよ……ブッ…ハァ……」

 最初に雄一にタックルを仕掛けた少年が、ティファーニアの横を通り抜けて逃げるドサクサに紛れて、スカートをめくる。

「口煩いブスぅ~、バーカバーカ~!」

 テツの位置からは、可愛らしいお尻を守るように、薄いブルーの生地で覆われているのを、確認するベストポジションであった。

 スカートを押さえる為に、お尻に両手を当てながら、顔を赤くして、振り返ってテツを見てくる。

「見た? テツ君?」
「いいえ、何も見えてません」

 テツは、最高の男前の顔をして、首を横に振ると、赤い青春の汗が飛び散る。

 ジト目のティファーニアは、棒読みのセリフを口にする。

「そうよね、色気もない白のパンツなんて見られなくて良かったわ」
「大丈夫ですっ! とってもグッとくる薄いブルーの鮮やかさが、僕の目に焼き付いてます!」

 沈黙する2人をホーラは眺めた。とりあえず、神に祈るように胸で十字を切って、テツの冥福を願う。

「テツ君?」
「はい、なんですか、ティファーニアさん」

 ティファーニアは、コメカミに血管を浮き上がらせる。

「目を瞑って、歯を食い縛って?」
「はい、分かりました!!」

 言われるがまま、目を瞑り、歯を食い縛るテツは、ティファーニアの手加減少なめの右ストレートを頂戴する。

 殴られたテツは、どことなく幸せそうな顔をして吹っ飛ばされていく姿をまだ少数残る子供達に髪を引っ張られながら雄一は呟く。

「若いな、テツ……」

 ドヤ笑顔を決める雄一だが、子供達に揉みくちゃにされていて、イマイチ決まりきらない。
 この師匠にしてこの弟子あり、と体現している2人であった。


 ティファーニアに救出された雄一は、肩をコキコキ鳴らしながら、立ち上がる。

「本当にすいませんでした。どこもお怪我はありませんか、先生?」

 申し訳なさそうに言ってくるティファーニアに雄一は笑みを見せる。

「怪我なんてねぇーよ。子供は元気でナンボだろ?」
「そうですっ! それに優しいユウイチさんがこんなことで気分を害したりしませんよ!」

 テツは、紙を鼻にネジネジと突っ込みながら、我が事のように嬉しそうにティファーニアを見つめる。
 殴った直後は、感情のままにやった事を後悔気味であったが、このテツの回復力と精神的にもタフさを目当たりして、呆れ気味である。

 突っ込んでやらないと決め込んだホーラは、雄一にこの後の予定を問いかける。

「今日は、これからどうするさ? このまま、王都観光に行きたいっていう気持ちもあるけど、面倒事を先に済ませて楽しみたいとアタイは思うさ?」
「そうだな、確かに、早めに済ませるに越した事はないと俺も思う。とりあえず、今日は冒険者ギルドに顔を出して、試験の予定日を決めて貰うか」

 決まるとすぐ行動というのが雄一のスタンスに従い、巴を肩にかける。

 雄一に着いていく為にホーラとテツが準備をしようとするのを見た雄一は、テツに声をかける。

「テツ、良いモノを見せて貰ったのに、貰い逃げするような男に教育したつもりはないぞ? 予定日を聞きに行くだけなら、ホーラと2人で充分だ。迎えに来るまで、ティファーニアにこき使って貰え」

 そう言う雄一にティファーニアは顔を赤くして、先生っ!と怒ってくるのを楽しそう笑うと、ホーラにケツを蹴られる。

「はい! 頑張ってきます!!」

 力むテツは、鼻に突っ込んでる紙の白い面積を少し減らす。どうやら、漲ってきているようだ。

「じゃ、頑張れよ!」

 そう言うと雄一はホーラを連れだって、ティファーニアの家を後にした。


 雄一は、ティファーニアにメインストリートを北上して、大きな建物を見つけたらそれが、冒険者ギルドだと教えられたので、ホーラと2人でノンビリと向かっていた。

「そういえば、ユウと2人で行動するのって久しぶりじゃない?」
「そう言われてみれば、そうだな? テツと初めて会った依頼以来か?」

 雄一が、思い出すように答えるとホーラに頷かれる。

 確かに、テツが来てから、ホーラと行動する時は、ほぼほぼ、テツが一緒にいた。テツがいない場合には、アリア、レイア、ミュウの誰かと一緒である事があり、2人っきりというのは、久しぶりであった。

「ユウ、急いで行く理由もないし、通りの露店を見ながら……向かっていい?」

 上目遣いで雄一を見つめるホーラに、雄一は快く頷き、頭に手を置いて撫でる。

「たまには、お姉ちゃんせずに楽しむ事も大事だしな?」

 微妙に分かってない事を言う雄一を苦笑気味に見つめる。

 それでも、この時を有意義に楽しむという思いが勝ち、水に流すホーラは、雄一の腕を取り、引っ張り、手近にある露店へと連れていく。

 冒険者ギルドを目指しながら、ゆっくりと見物する2人。

 2人で同じモノを食べたり、駆け出しの鍛冶師が作ったと思われるペンダントを眺め、値段と自分の財布の中身と視線を行ったり来たりをするホーラに雄一は、

「買ってやろうか?」

 と言うと、ホーラは、指を左右に振って、チッチチ、と声に出して返事をする。

「制限ある金額でお洒落をするから、楽しいという乙女心も理解できるように……ユウにはハードルが高かったさ……」

 シレっとこき下ろすホーラに、ちょっと待て!と怒る雄一から逃げるホーラの楽しげな姿が、そこにあった。


 楽しい時間というのは、あっという間に過ぎ去り、2人の目の前には、大きな建物、建物の入り口の上には、『冒険者ギルド本部』と書かれた看板がそこにあった。

 ちょっと残念そうなホーラを見る雄一は、頬をポリポリと掻く。

「もうちょっと遊んでから行くか?」

 そう言ってくる雄一の言葉にゆっくりと首を振って断るホーラ。

「ちょっと、足りないぐらいが心地良いのさ」

 少し寂しげな笑みを見せるホーラは、雄一を見つめて続けて言葉を届ける。

「また、連れていってくれる?」
「おう、勿論だ。今度はみんなでこような?」

 サムズアップする雄一は、ホーラに会心の笑みを浮かべる。

 その雄一の言動や行動を見て、苦笑いをする。

「30点。やっぱり、ユウはユウさ……ユウのバーカ」

 雄一から、視線をプイッと音が聞こえそうな切り方をすると、ホーラは雄一を置いて、冒険者ギルドの入り口へと歩いていく。

「馬鹿? 30点ってどういう内訳だよ?」

 虚を突かれて、軽くフリーズしていた雄一は、ホーラを追いかけながら、問いかけてくる。

 必死に問いかけてくる雄一の追撃にも知らん顔を決め込むホーラは、答えずに冒険者ギルドの入り口に辿り着くと振り返る。

「教えてあげない」

 そう言うホーラは、雄一にも負けない会心の笑みを浮かべた。
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