挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

2章 DT、先生になる

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

38/362

36話 初めての家族旅行は王都らしいです

 昨日は、普段の倍の仕事量で、昼休みどころか、トイレ休憩も取れずに、仕事が終わってから初めていけました(泣)
 雄一は、意気揚々と扉をバン!と音を立てて、店に入ると声を張り上げる。

「店主はいるかぁ――!」
「はい、おりますよ。これは、これは、ユウイチ様でしたか、馬車も料金をしっかり頂いていたと思いましたが、何かあられましたか?」

 雄一がやってきたのは、貸し馬車屋であった。
 店の奥から、ゆっくり現れた小太りの店主が、コメカミに指を当てながら、雄一に質問してくる。

「また、馬車が必要になって借りに来たんだが……」
「それは、それは、有難うございます。今回も前回と同じ物で、宜しかったでしょうか?」

 雄一は、目をクワッと擬音が聞こえそうな目の開き方をして、目の前の店主をビビらせる。
 ビビる店主を無視して、雄一は、胸を張って答える。

「あんな、ちゃっちぃ馬車じゃなく、中はソファがあって寛げて、眠くなったらいつでも寝れる、でっかいベッドがある……」

 話している最中の雄一の背後から、角材が振り下ろされて、ガキッと良い音をさせる打撃音を響かせる。
 さすがの雄一も続きを話す事もできず、声なき悲鳴を上げて、頭を抱えて、屈む。

 雄一を殴った事で、角材に亀裂が入ってしまっている物を地面に下ろし、汗を拭うホーラの姿がそこにあった。

「まったく、あの3人の事になると、すぐ暴走するのは、ユウの悪い癖さ。あっ、それと、ごめん。この角材、かんぬきのでしょ? 弁償するさ」
「いえ、それは、替えがいくつでもあるので、良いのですが、ユウイチ様は大丈夫なのですか? かなり遠慮がない叩き方をされてましたが?」

 店主は、雄一とホーラを交互に見ながら、汗をハンカチで拭いながら質問してくる。

「大丈夫だと思いますよ? 不意を突かれたから痛がってますが、怪我もしてないと思いますし?」

 ホーラの横にいるテツが、店主にそう言いながら、ホーラを横目に、ホーラ姉さんとレイアちゃんは、ユウイチさんに遠慮がない攻撃をするよね……とボソボソと言うが、ばっちり聞こえていたようで、睨まれて、明後日の方向へと顔を向けて逃げる。

 店主は、ハンカチで汗を拭いながら、痛みで蹲る雄一を横目にホーラに話しかける。

「そのぅ、ユウイチ様には、できるだけ配慮したいと思っておりますが……さすがに先程の注文された馬車は、こちらにはありませんし、王侯貴族でも持ってないんじゃないかと……」
「いいの、いいの。ユウの世迷言は聞き流してくれて構わないさ」
「確かにあったとしても、馬が何頭いるんだろうって思いますよね?」

 呆れ顔で、手を振るホーラと苦笑するテツが、店主に気にしないでと伝える。

 はぁ、と良いのだろうかと思っている様子の店主が、聞き返してくる。

「でしたら、前回と同じ物でよろしいですか?」
「いや、今度は乗る人数が増えるから大きめなのが欲しいのは本当さ。8人乗るから、それ以下のは困るけどある?」
「ほ、ホーラ、お前な? さっきのはさすがに痛かったぞ? それはともかく、ソファとベッドがないと、板に座るのを痛がったり、お昼寝したい、と言い出したらどうするんだ! これは由々しき問題だぞ!」

 復帰した雄一は、頭を摩りながら立ち上がるとホーラに食ってかかる。

 店主は、ヒビの入っている角材を見つめ、それはともかくで済むんだ……戦慄を感じ、ホーラは、ちぃ、思ったより復活が早いさ!と舌打ちをする。

「あの子達は、そんなにヤワじゃないさ。アリアは眠くなったら、ユウの膝の上でも寝るだろうし、ミュウもユウの頭を抱えながらでも寝るさ」

 ホーラが、普段でもそうでしょ?と伝えると、頬を緩ませた雄一が、そうかもな、と頭を掻きながら、テツに向き直り、アリアとミュウがそうやって寝た時の話を話し出す。
 テツは、嬉しそうに会釈をするものだから、雄一は有頂天への階段を昇り始める。

 それを見つめていたホーラが、

「今の内に話を纏めるさ。で、そのサイズの馬車はある?」
「えっ、はい、10人乗り馬車ならご用意できますが、そちらでよろしかったですか?」

 いいのかな?と雄一を見つめながら言う店主に、ホーラは心配いらないとばかりに頷く。

「ユウは、みんなで旅行行けると、嬉しくて浮足立ってるだけさ。だから、何も言ってこないから心配いらないさ」

 家族が楽しそうにする姿を夢想が過ぎ、暴走してる雄一を見て、私達は愛されていると嬉しくて微笑みを浮かべる。
 そして、呟くように言葉にする。

「どうして、1人の男として行動してる時は、格好いいのに、普段はカッコ悪く、家族の事になると、こんなに残念な人になるのか、不思議でしょうがないさ……」

 格好悪い雄一と格好良い雄一を両方知っている、数少ない女であるとホーラは、自分を誇る。

 誇るその気持ちを胸にしまうと、店主に、明日ぐらいに必要になると思うから、用意のほうをお願いすると、そろそろ2周目が終わりそうな娘自慢をする雄一の背中を押して、店を後にした。


 家に帰ると、雄一はテツを連れて台所に向かい、昼食の用意に入る。

 今日の昼食はピザにするつもりである。

 ボールに、薄力粉、強力粉、砂糖、塩、ドライイーストを入れて、オリーブオイルを入れながら混ぜると、テツと交代する。

「後は、ぬるま湯を少しずつ入れながら、纏めるように捏ねるんだ。手に付かなくなるまで頑張れ」

 テツは、はい!と嬉しそうに雄一と交代すると、一生懸命に言われた通りに頑張る。

 それを横目に雄一は、皮の剥いたジャガイモを半分に切って、それを薄め、1cm弱ぐらいで切っていく。
 切ったジャガイモを沸かした鍋のお湯で茹でる。
 薄い為に火が通るのが早いから、茹で過ぎに気を付けてあげる。

 玉ねぎを薄くスライスし、腸詰ウィンナーを斜めに薄く切ると、茹であがったジャガイモと共にフライパンでオリーブオイルで炒める。
 玉ねぎが、柔らかくなったあたりで、塩コショウを強めに味付けする。そのまま食べたら、味が濃いと分かるぐらいにしないと、ピザにした時に、味が薄く感じる為である。

 具が出来上がると、テツも出来たようで、雄一は、テツにやり方を見せながら、生地を作っていく。

 麺棒で生地を伸ばしていき、広がった生地にフォークで程良く突いて穴を開けていく。焼いた時に、無駄に膨らまないようにするためである。
 壁を作るように円を描くように縁を立てていく。

 半分の生地を先に作り終えた雄一は、テツが頑張るのを横目に、石窯を生活魔法で温めに行く。

 戻るとできたようなので、できた具とチーズを生地の上に載せていき、温まった石窯にピザ生地を投入して、10分ぐらいするとジャーマンポテトピザの完成である。

 雄一は、ピザの焼き加減を見る為に石窯を見つめながら、テツに声をかける。

「ピザの様子は俺が見てるから、飲み物と食器の用意を頼む」
「はい、分かりました。飲み物は、牛乳でいいですか?」

 テツの言葉に、ああ、と答えるとテツは勝手口を使って中に戻っていった。

 そして、出来上がったピザを皿に盛っていき、食堂へと運び込んだ。

 運び終えた雄一が、

「ご飯の時間だぞぉ!」

 と叫ぶと、庭で遊んでいた、アリアとレイアとミュウは飛んでやってくると椅子に座ろうとするのを、雄一は止める。

「まずは、手を洗ってきなさい!」

 ピザは手掴みで食べるのに、外で遊んでた手のままで食べるのを雄一は良しとしない。

 アリアは素直に椅子から離れて、レイアとミュウに頷いて見せると、ミュウもガゥと頷き、連れだって井戸のほうへと歩いていく。
 レイアも口先を尖らせながら、椅子から離れるが、雄一の傍を通りかかり、雄一の太ももをガンと叩く。

 雄一は眉を寄せると、無闇に暴力を振ったレイアに教育的指導をする事にする。
 レイアが逃げる隙を与えず、腕を腰に廻すと、

「くらえ! 必殺、さば折り!」

 ギュッ!と抱き締めると、雄一はレイアを抱え上げる。

 離せと騒ぐレイアの言葉を無視する。何故なら、これは制裁なのだから!大義は雄一にあった。

 レイアを抱えた雄一は、井戸に向かったアリアとミュウを追いかけて、レイアを連れて井戸に向かい、仲良く、4人で手を洗いに向かった。


 ピザを食べ終わると、雄一は、食後の牛乳を楽しんでいるみんなに呼び掛ける。

「ちょっと、いいか? 話があるんだが?」
「さっきからニヤニヤしてた事と関係あるのですぅ?」

 雄一は、まさかシホーヌに悟られるほど、ニヤけていたのかと、愕然とする。

「何か、とっても失礼な事を考えられているような気がするのです……?」

 それはそうであろう。現に、口の端に玉ねぎが付いているのに気付かずにいるような、今日もアホ毛が絶好調な駄女神に気付かれるとは屈辱の極みである。

「プークスクス、口の端にお弁当するような人にそんな事言う資格はないような気がしますよ?」

 シホーヌの口の端を指差し、笑うアクアであるが、お前も顎下にチーズが付いている事に気付けよ、と雄一は、目頭を押さえる。

 シホーヌもそれに気付き、お互いに指摘しあって、アホー、バカーといつものやり取りを始めるので、雄一はそれを放置して、残るメンバーに目を向けて、話始める。

「実は、王都の冒険者ギルドに来るように言われているんだ。行くとなると、行って帰るだけで、1週間かかるらしい」
「がぅぅ、1週間? 何回、お日様昇る?」

 ミュウは、雄一の背中をよじ登り、いつも指定席に着くと、悲しそうに言ってくる。
 雄一は、7回だと伝えると、ミュウが、肩の上で暴れ出す。

「ミュウ、ユーイ、そんなにいないの、ヤッ!」

 泣きそうなミュウと、隣のアリアが、そっと、雄一の裾を掴むのを見て、ニヤけそうになるのに耐えたつもりであった。勿論、ニヤけた。

「アタシは、ホーラ姉、テツ兄がいればいいけど?」

 そのレイアのツンに雄一も泣きそうになりながらも、伝える。

「呼ばれているのは、ホーラもテツもだ」

 そこで、初めてレイアが、嫌そうな声を上げる。

 雄一は、泣いていいよな?とふざけていると、本当にアリアとミュウが泣きそうなのに気付き、話を進める。

「みんなとそんなに離れないといけないのは、俺だって嫌だ。そこでだ、みんなで行かないか? これを理由にして、王都観光、家族旅行に行こうって俺は思ってるんだが、どうだろう?」

 周りを見渡し、ホーラとテツは知っていた事なので、普通だが、レイアはキョトンとし、アリアを見つめると、コックンと頷いてくる。
 ミュウは、雄一の肩の上でミュウダンス(雄一命名)で喜びを表し、ガゥガゥ!と叫び、踊るのを止めると雄一に聞いてくる。

「ユーイ、家族旅行って何?」

 言われた意味は分からないけど、なんとなく良い事を言われたと思ったようで踊ったミュウが面白くて、笑いを堪えながら、雄一は答える。

「みんなで、遠くに行ってお泊りして遊ぼうってことだ」
「ミュウ、行く、ユーイとアリアとみんなで遊びにいくっ!!」

 本日2度目のミュウダンスを披露すると、雄一の肩から飛び降りて、アリアの手を取って踊る。

 雄一は、レイアに目を向けて、声をかける。

「レイアも行きたいだろ?」
「行くも行かないも、みんな行くなら行くしない……仕方がないから一緒にいってやるよ」

 そう言うレイアの頬が、リンゴのように赤く口許が綻んでるのを見て、嬉しくて雄一は目を細める。

「じゃ、明日の朝の内に出かけるから、旅行の準備をするように!」

 そう言うと、アリアとレイアとミュウを連れて、ホーラとテツが旅行の準備をする為に手を引いていく姿を雄一は見送り、残る年長組、年上という意味か、園児のかは、敢えて追及はしないが、2人を見つめる。

 あれから、まだ、周りの話を無視したまま、アホーとバカーを言い続ける2人に近づき、同時に2人のお尻に平手打ちを入れる。

「イタっ、痛いのです。それと、お尻を叩かないで欲しいのですぅ!」
「まだ、陽が高い時間に、主様、時間を考えてください……」

 2人は、顔を赤くして、文句を言ってくるが、雄一の顔を見た瞬間、そんな色っぽい展開は皆無と悟り、お互いの顔を見つめ合う。

「お前らが話を聞いてなかったから、2度説明する俺の怒りを爆発させるなよ? あれだぞ? マジで、1日ぐらい食べなくても死なないからな?」

 雄一の言葉で、真っ赤な顔を青くする2人が、我先とばかりに必死に頷く。

 説明をし終わると、

「2人は、ホーラと手伝って、旅の支度をして、その後にでも、日持ちするお菓子でも買いに行ってこい。テツはこちらで回収して、食糧や水を運ばせる要員に連れていくからな?」

 そう言われた2人は、ビシッと調教された軍人のように敬礼すると駆け足で食堂を出て行った。

 それを見送った雄一は、溜息を吐くと、昼食の後片付けを手早く済ませるとテツを連れて市場へと出かけて行った。
 感想や誤字がありましたら、気楽に感想欄へお願いします。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ