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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

11章 DT,見守る愛を貫く

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302話 反転すると弱点らしいです

 最近、暑くなるのが急なせいか、それとも花粉症が激しくなってきたせいか分からないけどGW以降、ずっと体調が悪い……
 多分、花粉症だと思うから、近い内に無くなった花粉症の薬を貰う為に病院にいかないとな……
 精霊界を出る為に来た道を戻っている最中に精霊王から聞き出した内容を雄一とホーエンに話していた。

 説明が始まってから終始黙り続ける雄一を横目にホーエンが眉を寄せながら言ってくる。

「仕方があるまい。俺達にとって身につまされる想いだが、こればかり手を選んではいられないだろう?」

 勿論、初代精霊王の加護を受け取った男が自分達に被るモノがある事もあるが、ホーエンはアグートの間に儲けた子供に同じ事が起こらないと言えない。雄一に至ってはその危惧を感じる相手は複数である。

 そう言ってもピクリとも反応を示さない雄一を見つめるホーエンは困ったように溜息を吐く。
 雄一と呑み友達になって胸襟を開いてじゃれ合いの喧嘩、傍目から見れば破壊活動のような事をやるようになって、だいぶ雄一という人物が分かってきたホーエンである。

 だが、もう答えが出ているだろう? と問いたくなる時に黙り込む事がある雄一が何を考えているかが未だにさっぱり分からない。
 後から聞けば納得の内容だが、今回はここにある情報で足りなくて分からないのか、自分が気付いてないからなのか、まだ分からないが考えるのを止めない。

 何故なら、雄一の友を名乗る最低条件が考える事を止めない事だとホーエンが思っているからであった。

「ポロネという少女を殺める事に心を痛めるのは分かるが?」

 探るように聞くがそれでも無反応な雄一に更に眉間の皺を増やすホーエンを楽しげに笑うリューリカが話しかける。

「少しずつ、良い男になってきたとは思ってたがダーリンと呑み友達になって磨きがかかってきたのぉ? じゃが、ハズレじゃ」

 そう言いつつ、「今のお主が6年前に存在して居ったら、ダーリンに付いて行くと決めるのに2秒考えたかもしれん」と犬歯を見せて笑うリューリカを苦笑いしながら、2秒だけなのか、と地味にダメージを受ける。

 やり取りを横で見ていたアグートが、顔を赤くして怒ろうと前に出てきたのを後ろから抱き締めるようにすると更に顔を赤くして沈黙する。

 アグートを黙らせるのに成功したホーエンがリューリカに問う。

「お前には分かるのか?」
「まあのぉ、わらわも一緒の家で寝起きしておるのでな、その辺りの事は知っていたわ。じゃから、お主は知らんでもしょうがない」

 眉を再び寄せるホーエンから傍を歩くミレーヌに目配せすると意図を理解したミレーヌが先程した説明の重要な所を説明し直す。

「ポロネを封印しない、暴走した状態を救う方法はポロネと契約して仮の上位契約者である父親から奪う事です」
「それは先程聞いた。だが、初代精霊王とその加護を受けし男との間に生まれた子だけあって魔力、格も高く、『断絶』という特殊性もある。魔力だけでいいなら、俺や雄一で良いだろうが、それだけでは駄目で、俺達にはできない」

 そんな奴がいたら苦労はない、とばかりに首を振るホーエンに残念そうにリューリカもホーエンに首を振ってみせる。

「その通りじゃ。しかもポロネは長い時間、精霊界から離れておるから一旦、戻らないといけないのじゃ。細かい事を言い出したら沢山があるが、つまり、高い魔力、精霊門を扱う力、ポロネの属性、四属性が混ざり合った、言うなれば混沌を扱える者でないと救う事はできない。だが、ダーリンの家に住む者である一定の者達は知っておるのじゃ。符号が揃えられる人材をな?」
「そんな奴がいるのか!?」

 驚くホーエンと一緒に黙っていたアグートも目を剥き出しにして驚く。

 リューリカの横に居るレンが咥えていた煙草を箱に仕舞いながら言ってくる。

「それがいるのよ。精霊感応、精霊の門を開いた実績持ちで、全属性魔法の素養ありで、唯一の水の信者のダンテというエルフの子がね?」
「くぅぅ!! アクアにやっと1人、信者が出来て仮初の加護を与えたと喜んでたとは聞いてたけど、何それ? その反則的な天賦の才の持ち主はっ!!」

 ホーエンに抱き締められてる状態でクルリと反対向くとアグートは抱き着いて泣き始める。

 反射で頭を撫でつつも驚愕の表情を見せるホーエンがレンに身を乗り出すようにする。

「そんな逸材がいるのか? そいつに頼めば、殺すという後味が悪い事をしなくても……」

 やはり、ホーエンもポロネを殺す事は勿論、危ないからといって100年、合計1000年封印する事には反対であったから光明を見たように表情を明るくする。

 だが、言っている途中でホーエンも気付いてしまった。そのダンテというエルフに頼めば済むはずなのに踏ん切りが付かなく黙り込む雄一が喋らずとも雄弁に語っていた。

「そう、まだ若木なのよ。10年、ううん、あの子が順調に育てば5年あればユウイチも迷わず頼めたでしょうね。今のあの子には足りてないモノが多過ぎる。仮にポロネと契約して精霊界へと送る事ができたとして、良くて精霊感応が封じられる。勿論、最悪は死よ」

 確率の話であれば1対9で成功、失敗で、失敗は死を意味する事をレンに付け加えられる。おまけに1の内訳には死も多く混じり、精霊感応を代償に成功が数パーセントしかない。

「薄氷の上を歩くような話になってしまうな……」
「まあね……ポロネが普通の精霊の子であればダンテに頼む、という選択肢も選べたけど、さすがにね……?」

 場の空気が重くなってしまい、みんなが口を閉ざした時、黙っていた雄一が口を開く。

「初代精霊王の加護を受けし男を完全に抹消する。ポロネと遭遇する前に叩けばいいだけの話だ。最悪のケースは俺がケジメをつける」

 淡々とした声音で言うがその場にいる者達は1人たりとも言葉の額面通りには取りはしなかった。

 子供に迷惑をかけているとはいえ、妻を愛したが為、心が壊れた悲しい男を殺す事をためらいを感じているのは下唇を噛み締めて耐える姿が雄弁に語っていた。

 それだけでなく、意思がはっきりしている頃はポロネを溺愛していた事もレン達から聞かされていたから余計である。

 立ち位置が似ているから分かる雄一の苦悩を知るホーエンが話しかける。

「ユウイチ、できるのか? その最悪のケースの場合、その巴を、拳を振り上げて終わらせる事が?」
「……」

 目を瞑り、黙り込む雄一を見て、ホーエンは思う。

 おそらく雄一はポロネを殺す事はできないだろうと。

 雄一は徹底的に女子供に対して心を鬼にできない。

 今回の精霊王の件でも普通なら雄一との力量差から考えて精霊王アラートはもうこの世の存在ではなくなっているはずである。

 もっと言えば、今、ホーエンの腕の中にいるアグートですら、この世にはいない。

 そのオマケで助けられたホーエンだから分かる。雄一は女子供相手で殺す必要性を感じた相手には必要以上に脅しをかけてくる。
 そして、心にトラウマを植え付け、再犯を防ぐようにした後、外堀を埋めて悪さをできないようにしてくる。

 これが男が相手であれば、余計な脅しをかけずに一刀、一発で屠りにくる。

 実際の話、雄一は今まで、転移者のジャスミン、恵を相手にした時も殴る蹴るなどの暴力は一切していない。

 ホーラやポプリですら、訓練でも雄一に殴る蹴るされたのはザガンで命に関わるからと力づくで止められた時が初めてであった。
 しかも、自分で傷つけたのにも関わらず、見るに耐えないからその場で治療する程、そっち方面には雄一は弱過ぎた。

 幼き頃に両親の教えで母親には「女の子や小さい子には優しくね? ユウちゃんは体が大きいのだから守ってあげるのよ」と繰り返し言われ、父親には「男は女の尻に敷かれてるぐらいがいい」と母親に敷かれる姿を見せるという英才教育を受けた下地が強く出ている。

 つまり、雄一にとって女子供を殴る蹴るするのは、みんなに大事にされている神像を破壊する忌避感のようなモノを感じるのである。


 しばらく黙考したらしい雄一が被り振る。

「ここでジッとしていても時間の無駄だ。加護を受けし男を探すレーダー換わりにアイナを連れていく。目を離したら真っ先にサボりそうだからな?」
「酷い、ユウイチちゃん! ちょっと休むだけ!」

 満場一致で雄一のレーダーに指名されたアイナの襟首を掴む。

 雄一は、ポプリは国に戻り、他に打てる手がないかと混乱が起きないように対策を求め、ミレーヌにはペーシア王国に行き、ゼンガー王子に手を貸すように頼み、テツ達も自由に使うように指示を出す。

 残る四大精霊獣のレン達は唯一、ポロネの顔を知る者達なので広範囲ではあるが目視での探索を依頼する。

「最後に、この話はここに居る者だけの秘密にしておく。ピーチクと騒ぐ奴等がいたら俺の名を使っていい、黙らせろ。後、テツ達にも内容に伝わるような話は伏せてくれ。最悪、アリアに気付かれる恐れがあるからな?」

 心の読めるアリア対策と子供達に不安を抱かせたくない、巻き込みたくないという親心が裏目に出る。

 では、解散、と伝える雄一はアイナを引きずって行くのを見つめるホーエン。

「ユウイチ、お前が出来ない事を俺が担おう。誰も完全無欠ではいられない」

 辛そうな雄一を見つめるホーエンは最悪のケース、ポロネを殺す時は自分の手を染める覚悟を決める。

 そんなホーエンを見上げるアグートがギュッと抱きついてくる。

「ホーエンも無理しないで……」
「大丈夫だ。俺の留守中は子供達を頼むぞ?」

 アグートに笑いかけるホーエンを遠く離れた場所から振り返る雄一が「早く来い」と呼び掛けてくる。

 ホーエンは「おう!」と返事をしながらアグートの背中を優しく叩き、引き剥がすと「行ってくる」と笑みを浮かべ、アグートに背を向けて雄一の下へと歩いて行った。
 はい、これで雄一サイドは一旦終わります。次話からはまた子供達の話になります。

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