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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

1章 DT、父親になる

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32話 それぞれの引き継いだモノらしいです

 本当に、ヘロヘロです。心が折れる音が聞こえてきます!(幻聴ですw)
 冒険者ギルドを後にして、マッチョの社交場の前に着いた2人は立ち止まり、中に入ろうとしない雄一を不思議そうに見つめるテツに雄一は、言い含めるように伝える。

「テツ、この中は異空間、別の世界と思うぐらいが丁度いい。1匹、人類と認めたくないようなヤツが出てくるから、心を強く持つんだぞ?」
「そんなに危ない所なんですか? 外から見る限り、普通の店に見えるんですけど?」

 怯えるテツに、頷く雄一。

「身の危険を感じる種類が、おそらく、お前が考えるモノとは違うが、危険なのは間違いないな。癒しといえる美少女、サリナさんがいなければ、出入りする事など、お断りして、手紙でやり取りしたいほどだ」

 油断するなよ?とテツに警告をして、雄一は、マッチョの社交場へと入っていく。
 雄一に続くように、ビクビクしながら入るテツ。

 いらっしゃいませっ!という声に、テツは、はいっ!とビビりまくりで反応するのを見て、雄一は苦笑する。

「大丈夫だ、こちらは安全で素晴らしいサリナさん。危険なのは、別にいる」
「そんなに危なくはありませんよ? 私には、安全ですし?」

 それはそうだろうと雄一は思う。アレが危険に感じるのは男だけだろうと……

 ビクビクするテツを横目に、サリナさんに笑顔を向ける。

「で、ヤツはいないのか?」
「えっ? そこにいますよ?」

 なんだと、と呟いた瞬間、後ろからテツの悲鳴が響き渡る。

「あら~、とっても可愛い子がお客さんに来てくれてるわぁ。ユウイチのお連れかしら?」
「ユウイチさんっ!!! 助けてください!!」

 ミチルダに抱き抱えられ、頬ずりされて顔を青くするテツが、必死に手を伸ばして、雄一に助けを求めていた。

 今日も絶好調らしく、褐色の肌はテカリ、あれに抱き締められたら、気持ちが悪そうだと雄一は顔を歪める。

 更に雄一は気付く。

 ミチルダのバージョンが違う事に……

「なんだと? 今日は紫だと!」

 まさか、もっこりパンツにバージョンがあるとは思ってなかった雄一は、1つあるという事は、2つ目があるかもしれないと戦慄する。

 未だに助けを求めるテツに、雄一は、残酷な言葉を吐く。

「言ったはずだ、ここは危ないと! それに、あの時に言ったはずだ……俺は男には厳しくいくと!」

 決して、巻き込まれたくないからという事実は確認されていない。

 テツは、悲しみに暮れて、ううっ……と、涙を流す。

「で、今日は何の用? まだ、オーダーメイドはできてないわよ?」

 ミチルダは、満足したようで、テツを下ろす。
 下ろされたテツは、急いで、雄一の後ろに隠れるとブルブルと震える姿を雄一は嘆息し、それを見ていたサリナは、可愛いと微笑む。

「そっちのほうは、急いでないから、ちょっと遅れてもいいぐらいだが、今日は、こいつの練習用というか、初めての武器を用立てて貰おうかと思ってきたんだ」
「なるほどねぇ~、この坊やのねぇ」

 テツを覗き込むミチルダに恐怖から、雄一の足に四肢を使って、しがみ付くテツを煩わしいとばかりに、足を振り子のように振って落とそうとする。

 テツは、絶対に離さないとばかりにしがみつく。

「じゃ、サリナの駄作シリーズの……」
「ミチルダさん! その駄作とか言わないでくださいっ!!」

 恥ずかしいんですよっ!と顔を赤くするサリナを見つめたミチルダが、顎に手をやり、一考すると言い直してくる。

「だったら、サリナの青春の忘れ物シリーズの両手剣のこれなんかどうかしら?」

 少し、見栄えの悪い両手剣を差し出す。前から思っていたけど、さすが、というべきか、見ただけでコイツも適性が分かるのかと聞きたくなるほど、良いチョイスをしてくる。

 両手剣と雄一を交互に見つめるテツに、持ってみろと言うと、ミチルダの挙動に警戒しまくりで受け取って構える。

「あっ、凄く持ち易い」
「そうなのよね、どうして、その見栄えでそのバランスが出せるのかという疑問が尽きないのが、サリナの青春の忘れ物シリーズの恐ろしさなのよ」
「ミチルダさん、駄作でいいので、それ止めて貰えませんか? もっと恥ずかしいので……」

 更に顔を赤くさせたサリナが可愛くて、雄一は調子に乗って、

「えっ―――! 俺はそっちのほうが、グッと来るんですが?」
「……ユウイチ君は、そういう所が女の子にモテなさそうよね?」

 雄一は、ガハッ! と喀血かっけつするように、息を吐き出し、地面に四肢を付けて、項垂れる。

 嬉しそうに素振りをするテツを眺めて、ミチルダに声をかける。

「あれは、グレートソードか?」
「まあ、それでも間違いはないんだけど、正確には、ツーハンデッドソードよ。両手剣入門編としては、これが一番だと思うわ」

 グレートソードというのは、見た相手が、大きい剣と思ったら、全部その言葉でいいらしい。

「ツーハンデッドソードの中でも小ぶりだけど、あの子には丁度いいわね」
「そうか、なら、アレを貰うよ」

 背中で帯剣できるベルト込みで、銅貨30枚と言われて、迷わず、雄一は払う。
 払った後、サリナに向き直った雄一は、

「サリナさん、コイツの防具も作ってやってくれないか? 細かいところは、サリナさんに任せるけど、コンセプトは、ホーラと同じで、初心者向きなのを頼むよ」

 サリナさんは、一度、ミチルダに視線をやると頷かれると、雄一に返事する。

「分かったわ。でも、少しかかるかもしれないわよ?」
「多少、遅れるのはいいさ。納得できるように作ってくれ」

 雄一の物言いに、拗ねるような顔をするサリナは、半眼で見つめながら言ってくる。

「これは、さっきの仕返しかしら? プレッシャーをかけてくるなんて、ユウイチ君も酷い人ね?」
「まさか、単純にサリナさんへの期待と愛情の表れさ?」

 サリナは、うふふ、と笑い、期待だけ貰っておくね、と良い顔で言ってくる。

 雄一は、愛情は?と縋るように言ってくるが、サリナは、笑顔で封殺する。

 項垂れた雄一はテツを連れて帰ろうとした時に、もう1つ用件があった事を思い出す。

「そうだ、ミチルダ。別件で頼みたい事があるんだが?」
「何かしら?」

 雄一に微笑みを浮かべる。

「ホーラが、どうやら、簡易付加魔法の素養がありそうなんだ。少し、教えて上げてくれないか?」
「いいわよ? こちらが暇な時だけでいいならね。今度、ここに来るように言っておいて、私が見て判断して教えれるか見るから」

 そう言いつつ、ミチルダは近づいてきて、雄一の耳元で囁くように言ってくる。

「どうして、私が付加魔法使えるか分かったかは聞かないであげるわね」

 そう言うと、うふふ、と笑いながら元の位置戻るミチルダを見つめて、乾いた笑いをする雄一。

 雄一は、ミチルダの笑顔から逃げるようにして、また来るわ、と手を振って、テツを連れて店を後にした。


 マッチョの社交場を後にした、雄一達は、市場で、パンや果物を適当に買うと、テツの村、ソラ村に向かう為に、出発した。

 村までの距離が半分ぐらいのあたりで、短めであるが、昼休憩を取る事にして、パンと果物を水分替わりにして手早く済ませると、すぐに出る。

 お昼過ぎに、村に到着すると、テツは、一度立ち止まり、辺りを見渡す。

 おそらく、この光景を忘れない為に、自分の中に刻みこんでいるのだろうと雄一は、黙って見つめていた。

 5分ほど経った頃だろうか、振り返ったテツが、お待たせしてすいませんと頭を下げるのに、黙って頷く雄一を見て、テツは、森へと足を進める。

 迷いもない足取りで進む先は、テツ達が立て籠もった備蓄庫だろうと思っていると、どうやら当たっていたようで、岩戸が開いている所にテツが入っていくので着いていく。

 着いていった先の地面には、夥しい血の跡があり、その血溜まりの真ん中に人の頭があるのを発見する。

 血溜まりも気にせず、歩き、人の頭の所に行き、テツはその前で屈む。

「お父さん、会えて良かった。お父さんのおかげで、僕は助かったよ?」

 そういうと、テツはテツの父親の頭を大事そうに抱え、お母さんの所に連れていくね?と呟き、雄一の横を抜けていく。

 雄一は、テツの後を追いかけて、テツの母親が眠る場所へと歩いていった。


 母親が眠る場所に来ると、テツは父親を下ろそうとしたので、雄一が声をかける。

「母親の隣に穴を掘るのは、俺がやる。最後までお前が、抱いていてやれ」
「ユウイチさん、有難うございます」

 雄一は、母親の墓を作る時に使ったスコップを使って、その隣に穴を掘っていく。
 充分な深さまで掘れたと思った雄一が、テツを見つめる。

「眠らせてやれ」

 そう言うと、テツは、父親の頭を穴の一番深い所に、そっと置き、穴から出てきたところで、雄一にスコップを渡される。

 黙って、受け取ったテツは、父親を埋めてやる為に、土を一定のペースでスコップを動かして埋めていく。

 埋め終わると、両膝を着いて、何かを祈るようにするテツに倣って、雄一も手を合わせて、目を瞑る。

 しばらく、祈っていると、テツが立ち上がり、雄一に背を向けて言ってくる。

「すいません、家に取りに行きたいモノがあるので、ゆっくりきてください」

 そう言うと駆け出すテツに置いていかれるように、輝くモノが落ちるのを見て、遠くなっていくテツの背中を見つめて、雄一は呟く。

「馬鹿が、ここで泣いてもいいだろうに……アイツも男ってことか」

 誰もいない所でもいいから、泣ける時に思う存分泣いたほうがいいと思う雄一は、テツの両親の墓を見つめて告げる。

「テツは、強き心を持つ男だ。きっと、アンタ達の想いを引き継いだからなんだろうな」

 雄一は、頬笑みながら、テツの両親の墓を眺める。

「後の事は、任せろ。俺が、アイツの望む自分に成れるように全力でバックアップしてみせる。だから……アイツをいつまでも見守ってやってくれ」

 雄一は、テツの両親に背を向けて、テツがいる場所へと、ゆっくりとゆっくりと歩いて、村のほうへと姿を消した。



 第1章 了
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