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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

1章 DT、父親になる

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30話 男だから目指す場所があるそうです

 皆さん、血が滲むような特訓をよく乗り越えてこられました。バイブルが言うべき言葉はありません。
 視線を下に向けずに、天を見つめて、腹の底から湧きあがる衝動のまま、高らかにしましょう!!
 チィィィィィッッ!!!!
 そして、胸にある穢れを目から溢れる青春の汗と共に、流しましょう。
 バイブルの言葉に続いて、天に叫びましょう。

 リア充の馬鹿野郎!!(笑)
 雄一とテツは、寝るには遅すぎると思えるほどの時間を費やして、男同士の語り合いをしてしまい、朝までの時間を持て余してしまった。

 そこで、雄一は、決して、みんなに対してのゴマすりではないが、焼き立てのパンを御馳走しようと思い、テツを誘って、台所へと移動する事にした。

 雄一は、ボールに強力粉、ドライイーストの上に砂糖といった感じに置き、ドライイーストからバターを離して投入する。
 ちなみに、バターとドライイーストを離すのは、イーストの発酵を妨げる為である。

 そして、人肌に温めた牛乳をドライイースト目掛けて、投入し、捏ね始める。

 捏ねて、纏まりが出てきたら、塩を投入して、まな板に、小麦粉を振って、生地を捏ね始める。

 雄一のやってる事を、興味ありげというより、やってみたそうにしてるテツに気付き、やってみるか?と誘ってみると、嬉しそうに頷いてくる。

「手に小麦粉を着けて、左手、テツ、右利きだよな?」

 頷くテツに、雄一も頷くと続ける。

「左手で生地の端を押さえて、右手の掌を使って、台に擦り付けるようにして伸ばす」

 テツは必死な顔をして、雄一が言うように頑張ってやるが、意外と不器用のようだが、頑張るテツを見て、笑みが漏れる。

「伸ばした生地を2つ折りにして、伸ばしてを繰り返すんだ」

 俺がいいと言うまで、頑張れ、と言われたテツは、元気良く、はいっ!と答えて、気合いを入れて捏ねる。

 10分ぐらいした頃、汗を掻きながらも、弱音も泣き事も言わずに、必死に捏ねるテツを見て、良い根性してると雄一は目を細める。

「良し、そんなものでいいぞ」

 雄一が、言うとテツは、笑顔が溢れる表情を雄一に向け、額の汗を腕で拭う。
 その様子を見た雄一は、テツは女の子にモテそうだな、と半眼になる。

「それを、丸めるんだ」

 雄一は、手でその形を示して、テツに伝える。
 言われるがまま、丸めた生地を雄一に見せると頷く。

 テツが捏ねている間に作って置いた、熱めのお湯の入った鍋を差し出す。

「その生地をボールに入れたら、この鍋を蓋をするようにボールを載せるんだ」

 はいっ!と優等生のような返事をすると、実行したのを見た雄一は、ボールと鍋を覆うような厚手の布を被せる。

「よし、これを1時間ぐらい置いたら、パン生地ができる。それまで休憩しようか?」

 そう言うと、雄一は、テツにコーヒーは飲めるか?と聞き、テツは砂糖が入っていたらと答えたので、雄一はコーヒーを作り始めた。

 お湯を沸かす雄一の背中をジッと見つめているテツが、口を開いた。

「ユウイチさんは、冒険者なんですよね?」
「ああ、それがどうした?」

 雄一は振りかえらず、マグカップにドリッパーを取りつけて、粉を入れながら答える。
 テツは、少し考え込むようにして、雄一に問いかける。

「僕も、冒険者になれるでしょうか?」
「なれる。なるだけでいいならな? でも、テツが望む冒険者はそれじゃないんだろ?」

 雄一は、ドリッパーにお湯を注いで、2つ分できると片方にだけ、砂糖を入れ、入れたほうをテツの傍のテーブルに置きながら言ってくる。

「はい……僕は、自分の名前を聞くだけで、相手に一目置かれるような人物になりたいのです」
「何の為に?」

 テツは、俯いて、拳を握り締める。

「言葉だけの男になりたくないからです。どんな綺麗事を言っても、力なき正義は無力です」
「言葉で通じないから、力で捩じ伏せたいと?」

 雄一は、表情を変えずに聞き返すが、テツはかぶり振る。

「それと同時に、力だけの男にもなりたくはありません。言葉も力も使いこなして、将来、自分の手の届く範囲の家族を守れる男になる為に、強き男になりたい。自分の身を犠牲にして、子供を守らなくても助けてやれる父親になりたい!」

 僕が、お父さんを超える男に成る為に、と言葉にして、雄一を見つめる。

 雄一は、口の端を上げて、眩しそうにテツを見つめ、たいしたガキだと思う。
 両親を死なせて、まだ丸1日も経っていないと言うのに、前を向こうとするテツを見て、過去の自分には出来なかった事だったと、嘆息する。

 雄一は、ブラックコーヒーを一口飲み、テーブルにマグカップを置く。

「テツ、俺が、人の適性を見抜く事ができると言ったら、俺の言葉を信じ……」
「信じます。疑いません!」

 雄一に最後まで言わせずに、言い切ってくるテツを、目を点にして見つめ、噴き出すと、腹を抱えて、爆笑して声を出さないように必死に耐える。

「信じる事は、良い事だが、無闇に信じるのも考えモノだぞ?」

 体を痙攣させるように、耐えながら、テツに言うと、

「世界一のお父さんの言葉を信じないという考えが、正しいというなら、世界が間違っているんですよ」

 迷いもなく言ってくるテツを見て、危なっかしいヤツだと溜息を吐きながら、馬鹿野郎がっ、と言う。
 馬鹿野郎と言われたのにも関わらず、嬉しそうにするテツに、呆れて、再び溜息を吐く。

 雄一は、テーブルの傍にある丸椅子を指差し、テツに座るように言う。
 素直に座るテツの前に違う丸椅子を引き寄せて、正面に座り、

「テツ、俺の目を良く見るんだ。いいな?」

 はいっ!と答えたテツは、馬鹿正直に雄一の目を見つめてくる。
 雄一もテツの目をジッと見つめる。

 少しすると、あの感覚が流れ込んできたので、目の端に視線をやる。
 それを見た、雄一は、思わず噴き出してしまい、目の前のテツが目を白黒させる。


○テツ 10歳

 両手剣:SS

 アビリティ: 見切り

 称号   : 憧憬を抱く者  悲しみを乗り越えたアルビノ


 雄一は、再び、ステータスを見つめて、唸る。

 得意武器が1種しかないのもビックリだが、SSである事に呆れる。ホーラのSですらビックリだった。あれから、どさくさに紛れて、何人もステータスを見てきたが、Bのサリナさんが1人いただけで、Cが3人、それ以外はそれ以下の者しか発見できていない。

 勿論、ミチルダは人類とカウントしないとして、今まで見てきた奴で、もっとも才能を秘めた存在である。

 称号で気になるモノがあったので、意識を向ける。

『悲しみを乗り越えたアルビノ。エルフのアルビノは、生活魔法以外の魔法が使えない変種なのです。その代わり、エルフでは考えられない程の身体能力を発揮するのです。敏捷は勿論、華奢な体から信じられないような力を発揮し、猛威を振るえるのです。辛い体験を乗り越えた事で、精神異常に対する耐性も上がっているのです』

 まったく、才能まで不器用で、真っ直ぐなヤツだな、と雄一は苦笑する。

 先程から表情がコロコロ変わる雄一を見て、不安そうに見つめるテツに、口の端を上げて、大きな笑顔で伝える。

「テツ、お前は本当に不器用なヤツだ。性格も才能も揃ってな」
「僕に、適性はないのですか? でも、僕は……」

 雄一は、テツの言葉に笑みを浮かべたままで、かぶり振る。

「お前は、万能型じゃない、特化、それも、超が付くほど、馬鹿と笑いたくなるほど、特化型だ」

 テツは、雄一を、目を大きく見開き、続きの言葉を待つように、唾を飲み込む。

「テツ、お前は、両手剣で、俺と一緒に最強を目指してみるか?」

 雄一の言葉を受けたテツは、目を大きく見開き、潤ませ、両拳を握り締め、

「はいっ! どこまでも、お伴させて頂きます!!」

 雄一は、テツの頭に手を置き、覗き込んで笑う。

「お前の得物を、今日、買いに行くか」

 テツは、嬉しそうに笑みを漏らして、雄一に頭を乱暴に撫でられるがままになりながら、はい!と答える。


 雄一は、生地発酵が良い塩梅だと気付いて、テツに、パン作りに戻るぞ、と言うと嬉しそうに雄一の後を追って着いてくる。

 ガス抜きを済ませ、切り分け、生地の包み方、丸め方を教えると、雄一は石窯へ行き、生活魔法で窯の温度を調節すると、テツの下へと戻り、仲良くパン作りに勤しんだ。


 そして、焼き上がり、良い匂いが広がるなか、出来栄えを見つめ、雄一とテツは笑みを交わし合う。

 すると、台所の入口に、シホーヌを先頭にみんながいるのを見て、空を見つめて、起きてくるには早い時間だと思っていると、シホーヌが口を開く。

「そんな、美味しそうな匂いをさせられたら、お腹が減って寝られないのですぅ!」

 雄一とテツはお互いの顔を見つめ合い、通じ合うように、同じ事を思い、溜息を吐きながら、同じ言葉を吐きだした。

「「理不尽だ……」」

 早い朝食を要求され、項垂れながら、雄一とテツは朝食の準備に駆りだされた。
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