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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

10章 DT、マリッジブルーを味わう

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269話 やっぱり親馬鹿のようでした

 今まで見た事がないほど追いこまれた顔をした雄一が腕をクロスして×を作る。

「駄目だっ! どこの馬の骨としれんヤツをパーティに入れるのは、お父さん許しませんっ!」
「ちゃんとしたヤツだって、ザガンで依頼を受けたソードダンスコミュニティの所の末っ子のヒース知ってるだろ!?」

 多少は雄一に反対される程度には理解していたアリア達であったが、雄一の反応は予想以上で、今もレイアが必死に訴えている最中であった。

 そう言うレイアに雄一はノースランドのとこの息子は長男と二男にしか会ってないとシラを切ってくる。

「そんな事ないだろ! 巴と戦ってる時に一緒にいたから見てただろ!」
「巴の件は後から話で聞いただけだぞ?」

 徹底的にシラを切ろうとする雄一に苛立ったレイアが巴との戦いに介入した事を口にしようとした時、ダンテに口を塞がれる。

「レイア、それを言っちゃ駄目だ。気持ちは分かるけど、公的にはユウイチさんがあの戦いに介入してない扱いじゃないと僕達は巴さんの試練を乗り越えてない事になる。そうなるとどうなるか分かる?」

 必死なダンテに若干押され気味のレイアは首を横に振る。

 溜息を吐くダンテに代わりスゥが言ってくる。

「何故、巴が私達に試練を与えたかを思い出すの。私達だけで活動する事を認める、認めないという話で始まったの。それが実は乗り越えてなかったのに今まで自由にしてたという話になれば……」
「間違いなく、巴さんが介入してくるよね? 良くて再試験で、悪ければ一生、冒険者をやらさせて貰えないという考えたくもない未来もあるんだよ?」

 スゥに説明され、ダンテに未来予想を聞かされて、さすがのレイアも事の面倒さを理解して仰け反る。

 良く見ると窓の所に腰をかけた巴が楽しげにキセルを咥えながらこちらを見ている。
 迂闊にレイアが口走ったらいつでも介入する気なのが見え隠れ、隠れてもないがヒシヒシと伝わる。

「再試験だとしても、次も調整はしてくれるかもしれないけど、油断は絶対ないよ? 司令塔として情けない話だけど、次があったとして及第点取れる自信はないからね?」
「あの野郎、ぐぬぬぅ!!」

 国を相手にしてもグゥの音を言えない状態に追い込んだ実績のある雄一が、本気を出せばレイアなど足下にも及ばない。

 悔しそうにするレイアを見て、勝ったと思っている、今、ダンガで一番大人げない人に君臨する雄一の背後にいる女性陣は一様に眉間に皺を寄せている。

「ユウイチ、気持ちは分かりますが、余りに酷いのではないでしょうか。アリア達が可愛くて心配なのは良く分かりますが……」
「そうです! 主が育てたアリア達はきっと良い人を見る目を養っています。信じてあげましょう」

 ダンテの姉のディータとメリーの世話に占める時間が減り、空いた時間は雄一にべったりなシャーロットの2人が脇を固めるようにして雄一を説得にかかる。

 雄一とてアリア達がそういう目を養い始めている事は理解はしている。

 だが、理解する事と受け入れる事とは別なのである。

 目に入れても痛いくないと豪語するアリア達にムシが付く恐れは全て薙ぎ払いたい、それが雄一の願望である。

 大人げないと分かっていても嫌なモノは嫌だ、とばかりに口をへの字にして明後日に顔を向ける。

 ディータとシャーロットは顔を見合わせると溜息を零す。

 そんな雄一の下にアリアがやってくる。

「ユウさん、本当にユウさんが正しいと思ってる?」
「も、勿論、お父さん自信ありだぞ?」

 どもる雄一をジッと見上げるアリアがボソッと言ってくる。

「ユウさん、迷ってる。ユウさんの心の色が夜の海の色」

 慌てる雄一が否定しかけるが、アリアには無駄かと思い、溜息を吐くだけに留まる。

「お願い、ユウさん。私達が学校以外で初めて作った友達がダンガに来る。その縁を切りたくない」

 アリアにそう言われると頭ごなしに駄目だと言えなくなった雄一は頭をガシガシと掻き毟る。

 そんな雄一を見て、今が攻め時だと思ったレイアが雄一を攻める。

「頼む、ヒースを目の敵にしないでくれよ。アタシで出来る事なら何でもするから!」
「はぁ、レイア、お前の言う『何でもする』という言葉が漏れる所が心配なんだからな? 良く覚えておけ、命が関わらないのに『何でもする』という言葉を平気に使う内は子供だという事な?」

 呆れた顔で見つめられたレイアは失敗した事を悟り、首を竦める。

 溜息を吐いた雄一が目を瞑り、腕組みをしながら考え込む。

「アリア達の気持ちは分かった。俺も譲歩しよう」
「本当か!? やったー!」

 雄一の言葉を聞いたレイアが諸手を挙げて喜ぶ。

 それを見た雄一が後悔を感じさせる表情をして溜息を吐くのを見たスゥがレイアの後頭部を叩く。

「イタッ、何すんだ、スゥ!」
「何すんだ、じゃないの! ユウ様が譲歩と言ったの。つまり見逃す代わりに条件を付けるという事を聞かずに喜ぶお馬鹿さんを叩いて何が悪いの?」

 口をパクパクさせて言い返せないレイアを呆れた顔で見つめた後、アリアとスゥとダンテは雄一に続きを促す。

「かなり心配になってきたが……自分の言葉を貫くというなら、ペーシア王国で自活をしてみせろ」
「なんだ、そんな事でいいのか? 学校出たヤツならみんなやってる事なら楽勝……」

 簡単だ、とばかりに返事しようとしたレイアをダンテが嫌な汗を掻きながら止める。

 困った顔をするスゥが止めるダンテに代わりに聞く。

「ただ、自活すればいいという話じゃ……ないの?」
「勿論だ。ここの学校を出た子達が使える特権を全部取り払う。まず、北川コミュニティを名乗るのを禁じる。当然のようにコミュニティからの恩恵はない。俺の名を使うのも含まれる。勝手にばれた場合は仕方がないが自分からばらした時点で冒険者の資格をどんな手を使おうとも返還させる」
「げぇ、それはキツイ……」

 北川コミュニティの恩恵を使えない事による不具合は数々あるが代表的なモノで一番大事だと思われるのは信頼である。

 何かあれば、責任を追及できる先があるというのとないのでは大きな違いがある。
 冒険者ギルドに信頼があれば受けれる依頼の幅が広がるだけでなく、身入りの良い仕事を得やすくなる。

 なのに、それを封じられるというは死活問題であった。しかも、異国の地、ペーシア王国だから余計に大変さが跳ね上がる。

「後、ミラーにペーシア王国の冒険者ギルドに話を通して、お前達に対する規則を厳しくして貰う。個人の裁量でこれぐらいはいいだろうを失くす程度だが意外と動き辛くなるぞ? 普通なら暗黙の了解で受けれてた自分の1個上の仕事が受けれなくなる」

 それを聞いたアリアとスゥ、ダンテの顔色が悪くなる。

 3人の顔色が変わったのを見たレイアとミュウは顔を見合わせるがどういう事か分からず首を傾げる。

「そんなに大変な事なのか?」
「大変とかのレベルじゃないかな……5の冒険者が本来受けれる依頼は報酬の安い雑用ばかり、とてもじゃないけど、宿や食事代が稼げるような仕事じゃないんだ」
「宿ない、外で寝る。ご飯、山、海に一杯」

 レイアに質問されたダンテが答え、ミュウが胸を張りながら自信ありげに答える。

 そんな答えを言うミュウに巴の傍の壁に凭れていたホーラが駄目だししてくる。

「それが駄目なのさ。冒険者といえど、住処がはっきりしてないと認められないさ。アタイがこの家に来た経緯、ミュウは忘れてそうだけど、アリアなら覚えてるんじゃない?」
「雑用でのお金では安宿ですら払えなくなって追いだされた時にユウさんと出会った」

 アリアの答えに頷いてみせるホーラ。

 いかに面倒な事が分かりだすレイアとミュウ。

 そこに申し訳なさそうに手を挙げて発言するシャーロットが追い打ちをかける。

「ミュウが言う海や山での狩猟による自活生活なんだが、海はいいんだが、山は今は国が管理して一般の者が狩猟できないようになっている」
「がぅぅ!? どうして?」

 ペーシア王国は元々、海鮮関係と鉱物絡みの特産品で潤っていた国であった。だが、2年前に発覚した無計画な採掘をした為、地盤がガタガタになる事件が起こるが雄一達のおかげでその危機は去った。

 しかし、もう地面は掘る事は不可能になり、鉱物絡みの特産品は消える事になった。

 そこで次なる特産品を求めて、毛皮や食料品で勝負しようと国を挙げて試行錯誤中であった為である。

 不安そうに顔を見合わせるアリア達に雄一は指を1本立てて見せる。

「約1年だ。誕生祭に間に合うように帰ってくる事は許可する。それをヒースという小僧も一緒に頑張ったら、それ以降は邪魔もしないし、北川コミュニティを名乗るのも恩恵を受けるのも許す」
「や、やってやんよ! 安い狩猟依頼でも数をこなせば……」
「レイア……5の依頼にはモンスターは勿論、動物を狩ってくる依頼はないんだ。あるとしたら魚釣りぐらいで……」

 ヤケッパチのように言おうとするレイアにダンテが水を差すように事実を伝える。

 口をパクパクさせるレイアは震える指先を雄一に突き付ける。

「あ、ああ、分かったよ。やってやる! 絶対に吠え面かかせてやる」

 雄一が吠え面かかされる状況には成り得ないが、レイアの中では売り言葉に買い言葉である。つまり必死なレイアだった。

 ノシノシと部屋から出ていくレイアを追うように雄一の傍に来たアリアとスゥが声をかけてくる。

「ユウさん、誕生祭の時の私達の生地を押さえておいて。1年後の成長は読めないから採寸できないから」
「えっと、礼服だから黒とかでいいのか?」

 すっ惚けるように言う雄一を半眼で見つめるスゥが滑舌良く言い含めるように言ってくる。

「当然、私達用のウェディングドレスなの!」

 スゥが私はピンクと言ってアリアが白と言うと雄一の返事を聞かずにレイアを追って出ていく。

「まだ諦めてなかったのか……」
「無駄に決まってるさ」
「そうですね、私達も11歳でこうと決めて一度もぶれませんでしたし?」

 ホーラとポプリが雄一の下に来ると遠回しに諦めろと言ってくる。

 溜息を吐く雄一にダンテが話しかける。

「そっち方面の話は僕はノータッチですが、今回のはさすがにもうちょっと手を緩めてくれても良かったんじゃないですか? ミラーさんが言ってましたよ? 『昨日、届いた』って?」

 溜息を吐くダンテもレイアを追うように部屋から出ていくが背中が疲れて見えた。

 ミュウは「ニク」と悲しそうに呟きながらダンテと一緒に出ていった。

 それを部屋の出口で見送ったテツが雄一に話しかける。

「ダンテにはある程度の意図は気付かれてるみたいですね?」
「うふふ、我が弟が賢く育ってる事は姉として誇りに感じます」

 ダンテが今回の雄一が提示された話は事前に打ち合わせがされた事だと理解していると匂わせた。

 そう、ダンテが思うように事前にミラーから手紙が来ていると聞かされた雄一がこっそりと『北川家大家族会議』が開催し、そこで今回のやり取りが決められていた。

 アリア達は冒険者の花形といえる討伐依頼やダンジョン探索といった事に関して言えば、同年代と比べたら相手が可哀想なレベルで飛び抜けている。

 だが、悪く言えば雄一が甘やかしたせいで叩き上げで這い上がってきた者の苦しみを知らない。

 この学校を卒業した子達は学校に来るまでの生活から底辺を知っており、その苦しみを忘れていない。

 だから、一芝居打つ事になった。つまり、ここにいるメンバーは全てがグルであった。

「私の見立てだとアリアとスゥも何か気付いてる風だったように見えましたけど?」

 テツと顔を見合わせて苦笑するティファーニア。

「ユウの迫真の演技、というより、かなりマジが入ってたさ?」

 ホーラに疑いの視線を向けられた雄一は視線を明後日に向ける。どうやら、本気でレイア達の心を折ってヒースをザガンに追い返すプランを考えていたようだ。

 そんな雄一の様子にクスリと笑うディータが話しかけてくる。

「ユウイチの本音がどうだったかはともかく、次はどうします?」
「そうだな、次は……ホーラ、ポプリ」
「イヤさ?」
「ダメです♪」

 復帰した雄一が早速とばかりに男前な表情でホーラとポプリに声をかけるが即答で断られる。

「あー、まだ何も言ってないんだが?」
「聞かなくても分かるさ? イヤさ」
「私も一旦、城に戻らないといけない用事もありますし?」

 話も聞いてくれない2人のやり取りに、クッと唸る雄一は大きな両手で自分を顔を覆うとイヤイヤするように体ごと横に振る。

「お願い、ホーラ、ポプリ……アリア達を様子を見ててくれない? 馬鹿やらないように?」
「で、でっかいナリして……」
「侮れないですわ、ユウイチさん!」

 滅多に見れない雄一の行動に何故か赤面するホーラとポプリ。

 というより、この場に女性陣が思ってしまった。


『可愛いじゃないか、ユウイチちゃん』


 この場に残る唯一のテツは何故か見てはいけないモノを見た気分になり沈痛そうに目を閉じる。

 赤面した自分を誤魔化すように声を大きくするホーラが不満タラタラに言う。

「もうぉ! 分かったさ、分かったからソレを止めるさ。向こうに行ったらコミュニティの仕事ができないの増えるフォローは任せたさ!」
「うふふ、私は城の仕事を終え次第、追いかけますので、それで納得する事でお願いしますね?」
「本当か! 助かる」

 手をどけると喜色を浮かべた雄一の顔が現れ、2人はやられたという顔をするが近寄ってきた雄一に抱き締められて目を白黒させる。

「アリア達を頼むな?」

 背中を優しく叩くと離れる雄一の笑顔を見て、少し得したと思うのは恋する少女なせいかもしれない。

 安堵したのか椅子に座り、両肘をテーブルに付けて組んだ両手に顎をあてる雄一はテツを見つめる。

「テツ、お前に頼みがある」
「ええ、良いですよ。ホーラ姉さんと同じでコミュニティの方を何とかして下さるなら?」

 そう言ってくるテツに雄一は被り振る。

 雄一から発する空気が先程のユウイチちゃんではなく、凄味を感じさせる。

 テツは緊張からゴクリと唾を飲み込むが、離れた所で見ていたシホーヌとアクアは駄目だこりゃ、といった表情を浮かべると女性陣に『お玉』を手分けして配る。

 受け取ったホーラ達は首を傾げて『お玉』を見つめるが雄一とテツのやり取りは進む。

「お前に頼むのはもっと重要な任務だ」
「じゅ、重要ですか?」

 ドキドキした表情を見せるテツに重々しく頷く雄一がおもむろに親指を立てる。

 そして、顎を逸らしたと思ったら自分の喉元を立てた親指で斬る素振りを見せてくる。

「アリア達に気付かれないようにヒースという小僧を屠れ!」


「「「「「「「結局、それかっ!!!!」」」」」」」


 ホーラ達は『お玉』の用途を間違わずに雄一の頭に叩きつけ、それを見ていた巴が噴き出してしまい、煙草でむせて咳き込みながらも笑い続けた。
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