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異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー 作者:バイブルさん

6章 DT、出番を奪われる?

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177話 失敗の苦味を知るようです

 ついに高校デビューのリメイクの序章分のお話が書けました。
 これが更新された1時間後の18時に更新しておりますので、お時間がありましたら是非、閲覧お願いします。

 双子の親は、80万文字突破したこの話で6章が終了です。
 いつも通りに幕間を挟んで、最後にいつもならないちょっとしたモノを挟んでるモノを更新しますので、良かったら閲覧してください。
 危険を排除した事をエリーゼを使いに出して、ダンガに向かってる最中の村人に連絡に寄こした。
 ポツポツと村人が帰ってきてるのを見つめているスゥが呟く。

「もっと上手に立ち回れると思ってたの。でも蓋を開けてみれば……」
「そ、それはしょうがないよ。依頼の内容を飛び越えたような大変な依頼だったし……」
「ダンテ、自分を騙しても駄目。ここにいる私達はみんな気付いてる。みんな、考えが足りず、自分を過大評価してた」

 ダンテの言葉、みんなを慰めるつもりで言ったセリフは今は不適切とばかりに斬ってみせるアリア。

 ミュウも悔しそうに頭を掻いている。
 頭を使う事は不得意でも、戦う事だけなら一人前のつもりでいた為である。

 確かに8~9歳の子供達のパーティでゴブリンキングを圧倒するというのは破格の評価である。

 何事も強さだけで物事が片付く訳ではない事を子供達は今回の事で身を持って理解した。

「僕達はどこから間違ってたんでしょうか?」
「勿論、ユウさんの言葉を無視して勝手に受けた事から問題といえば、問題だったけど、それを言い出したらお話が終わるから省く」
「うん、私達はシホーヌ達が持ってきたというだけで、依頼書に書かれてる内容だけを信じて下調べをしなかった事が問題だったと思うの」

 そう、アリア達はタイミング良く、かけだし冒険者が熟練冒険者にアドバイスを受けている現場を直前に見ていたのに活かせなかった。

 討伐依頼を受けるなら最低限の装備を言ってるのは何も身に着ける武器防具に限った話ではない。
 討伐する相手次第では罠なども必要になったりもする。そういうのを調べて用意するのが最低限の装備である。

 だから、アリア達の場合であれば、ミラーにこの村の事の情報がないかと問うか、顔見知りの冒険者から情報を得ようと動く事がその最低限の装備になったのである。

 情報とは武器なのだから。



 離れたところから、子供達が、ああでもない、こうでもない、とディスカッションする姿を雄一達は眺めていた。

 目を細めて見つめる雄一が笑みを浮かべる。

「ああいうのを見てると、ホーラとテツとポプリがいつもの訓練場所で座り込んで、騒いでたのを思い出すな。大抵、最後はテツが悪いという結論に落ち着いて2人に泣かされて終わるというのが定番だったが」

 最近は2人だから、そう思うと寂しいな、と雄一は思っているとテツが大袈裟に頷いてくる。

「そうなんですよ。議論してホーラ姉さんが悪くなろうが、ポプリさんが悪くなろうが結局は僕が悪い事にされるんですよ! でも、あの時は理不尽だと思ってましたけど、いないと思うと寂しいんですよね」
「へぇ――、いつアタイが人のせいにしたって? ちょっとテツじっくりとお話し合いしようさ。すぐ済むさ、ちょっとそこの木陰まで付き合え」

 背後から忍び寄られて気付いてなかったテツがホーラに肩を掴まれて顔を強張らせる。

 勿論、雄一は気付いていたが、何事も学習と巻き込まれるのを回避するようにテツに視線を向けない。

 ホーラに襟首を掴まれたテツが鼻声で雄一の名を呼びながら滝のような涙を流し、引きずられていくのを雄一はこっそりと合掌する。

 再び、あれこれと何が正解だったかと熱く議論する子供達であったが、その言葉をそれとなく拾ってる段階で、もどかしい衝動に襲われるが堪える。

 雄一に限らず、ホーラやテツが聞いていたとしても、空回り気味の子供達に苦笑を浮かべてムズ痒い思いに苛まされたであろう。


 そんなムズ痒さに苛まされている雄一に話しかける者がいた。

「失礼、ゼペットと言うもんじゃが、あの子達の関係者か?」

 髭を蓄えたマタギやキコリと言われたら納得の老人、ゼペットが雄一を見つめていた。

「ああ、あの子らの保護者だが?」
「んっ? そうか、なら聞いておきたい事があったんじゃ」

 雄一の見た目から実の父としては若すぎると思ったようだが、色々あるのだろうと飲み込んだ上で雄一に質問してくる。

「何故、あの子達だけで依頼に出した? 腕は立つようじゃが、まだ討伐依頼に出すのは早かったじゃろ?」

 そう言われた雄一はなかなか痛い所を突いてくる老人だと苦笑する。

「結果が出た後だから言い訳にしかならんが、本来は俺が同行して討伐依頼を受ける予定だった。だが、急ぎの用ができて、依頼を受けるのは今度と伝えたんだが、初めての討伐依頼に意気込んでたようで……」
「なるほどのぉ、親の目を盗んで討伐依頼を受けたと……道理で応援を呼ぶ事を勧めたが乗り気じゃなかった訳じゃ」

 雄一は迷惑かけたと頭を下げる。

 頭を下げる雄一に首を振ってみせるゼペットは故人を想うような瞳で明後日に視線を向ける。

「確かに拙い所もあったが、結果として解決に導く要因になり、そしてワシ個人としても親友を殺したヤツの炙り出しに成功した。どうやら仲間割れで殺されたようじゃが、それなりに満足しとるよ」

 戻ってきている村人を見つめながら、「人的被害も出ておらんしな」と笑うゼペットに雄一は感謝を告げる。

「そう言って貰えるとこちらも救われる。だが、アイツ等はまた鍛え直しだな。アイツ等もいい意味で伸びてた鼻が折れただろうしな」

 雄一の言葉に頷くゼペットであったが、真摯な瞳を向けて忠告をしてくる。

「老婆心が過ぎるかも知れんが、双子の嬢ちゃん達の心に巣食うもんには気付いておるか? 特に髪を結っとる嬢ちゃんのほうはかなり深刻じゃ」

 先程からみんなが熱く議論を交わしているのに、心ここに非ずといった感じで頷くぐらいしかしないレイアをゼペットは顎で示す。

 せいぜい1,2度会ったかどうかだろうと思うゼペットがそれに気付いた事に雄一は、年の甲とは伊達じゃないな、と苦笑する。

「ああ、目星は付いてる。本当ならあの子達から言ってくるのを待ちたかったが、そろそろ、そうも言ってられないと思ってた所だ。俺の下から巣立つのも時間の問題の今……有難う、爺さん」
「だったら、老婆心ついでに、お前さんに1つ忠告じゃ。モノ分かりの良い親より、モノ分かりの悪い親の方が良い時もある。覚えておいて損はないぞ?」

 そう言うと手を上げて、「頑張れ、若いの」と言うと雄一の下を去っていく。

 去りゆくゼペットに雄一は静かに頭を下げて見送った。



 村人の全員の帰還を確認した雄一達は、帰り支度を始めていた。

 そろそろ夕方になるから一晩泊る選択肢もなくはなかったが、ホーラ達は替わってくれた者の後詰に行く為に早めに帰る事になった。

 ホーラ達が乗ってきた馬車にはドラゴンの素材が積まれ、テツが一人でダンガに先に出発した。

 アリア達が乗ってきた馬車では正座させられているシホーヌとアクアが涙を流しながら知恵の輪をカチャカチャさせていた。

「ヒーン、外れないのですぅ! ユウイチは鬼なのですぅ!」
「しかも、全部終わるまで、おやつ抜きと遊ぶの禁止とか……折檻のほうがマシです!」

 2人の前には小山になった知恵の輪が置かれて、号泣しながら必死に手を動かしている。

 シホーヌは涙目で目の前にいる雄一が持つカミレットを見つめる。

「しかもカミレットまで押さえられたのですぅ。こっそりツマミ食いもできない……で、すぅ……」

 2人は抱き合って、アーンアーンと泣くのをホーラはコメカミから汗を流しながら呟く。

「この2人の堪えるポイントがさっぱり分からないさ……」

 そう呟くホーラの視界では子供達が馬車に乗り込もうとするのを見て、手で遮って止める。

 ホーラの行動が理解不能だった子供達が首を傾げる。

「まさか、お仕置きがあの2人だけだと思ったさ?」
「い、いえ、ないとは思ってないの……でも、乗るのを止めたのかが分から……理解したくないの」

 涙を浮かべてフルフルと首を振るスゥは一生懸命、この後起こるであろう最悪の結末を回避に専念する。

 残る子供達、ミュウですら不穏な空気を感じ取り、ジリジリと助けてくれる可能性の高い雄一にホーラに悟られないように移動を開始する。

 うんうん、と笑顔で頷くホーラから、恐怖しか感じない子供達は震えあがる。

「ちゃんと分かってるようで助かるさ。ああ、そうそう、ユウに助けを求めようとしても無駄さ。先に口を出さないと言質を取ってる」

 最後の砦である雄一を凝視すると雄一は手を合わせて、「スマン」と笑顔で言われる。

「ホーラの言い分のほうが正しいからな。潔く、罰を受けておけ」

 そういうと雄一は御者席に移動する。

 救いの神は存在しなかった。

 優しいけどホーラに対する決戦兵器としては非常に心許ないテツもいない。

 女神はいるが今は馬車で知恵の輪を涙ながらカチャカチャやっていて、役に……毎度の事ながら役に立たない。

「さて、覚悟も決まったところで、楽しい罰ゲームの発表さ」

 楽しいどころか死刑宣告に等しいホーラの言葉を固唾を飲みこんで聞く。

「走れ」
「へっ?」

 単純に一言しか言わないホーラの言葉にダンテが間抜けな声を上げる。

 説明をはしょり過ぎたと感じたホーラがもう一度口を開く。

「お前達の荷物を背負ったままダンガまで楽しいマラソンをするさ」

 ホーラの言葉に子供達は絶句する。

 馬車で半日かかる道を走れという鬼の姉ホーラに戦慄を感じずにはいられない。

「夜だからモンスターも出るかもしれないけど、街道ならゴブリンキングより強いのは出ないさ。やったね?」

 子供達は、「夜?」と口を揃える。

 それを聞いたホーラが頷く。

「明日の朝食に1人でも遅れたら、次の罰ゲームさ。終わるまで寝かさないさ……」

 ホーラの声のトーンがマジである事に気付いたシホーヌとアクアに迫る泣き方をしてホーラに縋り、許しを請う。
 だが、笑顔のホーラに手を弾かれる。

 そして、ホーラが馬車に乗り込むと御者席にいる雄一に声をかける。

「出すさ」
「はいよ」

 馬車を発進させると後ろから子供達のホーラに対する謝罪と許しを請う声、そしてホーラを鬼と叫ぶ勇者が現れる。

「ミュウっ! ちゃんと聞こえたさ、しっかり覚えておくさ!!」

 しっかりホーラも聞き分けたようである。

 雄一は御者席の隣に座るエリーゼに頼み込む。

「多分、問題は出ないだろうが、こっそりと子供達を監視しておいてくれないか? 命に関わらない限りは放置してくれていいから?」
「ん? ユウイチがして欲しいと言うなら、そうする」

 快諾してくれるエリーゼに感謝を告げる。

 頷いたエリーゼが空に飛び立つのを見送る雄一。

 徐々に声が聞こえなくなってくる子供達が離れていくのをチラっと振り返ると色々と課題が浮き彫りになった討伐依頼だった事を子供達は骨の髄まで理解する事になる未来をちょっとだけ可哀そうに思う雄一であった。

「ホーラ、この後の罰ゲームは程々に手を抜いてやれよ?」
「フンッ、やっぱりユウはあの子らには甘いさ」

 あの時からやっぱりちょっと機嫌の悪いホーラに久しぶりに大学芋を作ってご機嫌伺いするしかないな、と苦笑しながら雄一は馬車の操作に専念してダンガへと走らせた。



  6章   了
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