番外編 001
○山梨県 富士河口湖町 船津・全景(2月下旬・朝)
富士山と河口湖に挟まれた、雪の降る船津。
○河口湖駅・全景~ホーム
積雪10cmほどのホームに電車が到着。
電車から降りる立花 夏【たちばな なつ】(19)。
髪はポニーテール。
山梨学園大学空手道部の冬用ジャージ姿、背中にスポーツバッグ。
夏「へーくしょん!!」
――うーっと身震い。
○同・改札~構内
夏、駅員に切符を渡して改札を通る。
――閑散とした構内。
夏「(見渡して)何もこんな時に実家に呼び戻さなくっても……」
と、鞄をおろして。
駅員「足元が滑りますので、気をつけてください」
冬子「ありがとうございます」
と、改札を通る菅山 冬子【すがやま とうこ】(25)。
コート姿にトートバッグ。
鞄にはマタニティマーク。
駅員「(小声で)まるで冬の野に舞い降りた天使のようだ……」
と、笑顔で見送る。
夏「(大きなお腹を見て小声で)うわー、大変そうだなー」
――コートからスマホを取り出す冬子。
冬子「えーっと……バスの時間は」
と、スマホ画面を下から上にスライド。
が、勢いが良すぎてスマホを手から弾き飛ばす。
冬子「あ……」
夏「ええっ!?」
――スローモーションで宙を舞うスマホ。
手を伸ばす冬子。
夏「組手で勝つポイントーっ!! 常に先を予測する!!」
と、ダイブしてスマホをキャッチ。
夏「(掲げて)っしゃーっ!!」
が、冬子が背中に降ってくる。
夏「ムギュッ」