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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第一話 『ウチと彼女の約束事』
1/206

第一話 001

○山梨県 富士河口湖町 船津・全景(四月・朝)

   富士山と河口湖に挟まれた、船津の街並み。


○お花見女子高等学校・校門~体育館~武道場裏

   校門の看板には、『第34回 お花見女子高等学校 入学式』の文字。

   脇の桜はつぼみの状態。

   ――登校する生徒たち。

   長袖のセーラーブラウス。

   ネクタイの剣先と背中の襟は、桜の花びらの形。

   × × ×

   体育館に整列している生徒たち。

校長「えー、本校の制服は、入学式や卒業式に桜が見れるようにとの願いから、桜をモチーフにしております」

   と、演台から。

校長の声「しかし皆さんご存知の通り寒い地域ゆえ、今まで入学式や卒業式に桜の花が咲いたことは一度もございません――」

   武道場裏、生徒三人に迫られる立花 夏【たちばな なつ】(高一・16)。

   ふちメガネ姿。膝下スカート。

   夏の胸倉を掴み、壁に押し当てる鬼島 典子【きじま のりこ】(17)。

鬼島「だから払えって言ってるら?」

   苦痛に歪む夏の顔。

夏N「私、立花 夏。今日からいよいよ高校生……」

 N「口下手で暗い性格だったせいか、小学校・中学校ではいじめに合い、楽しい思い出は一つもなかった……」

不良B「鬼島様が諭吉一枚で勘弁して下さるっちゅうからよ、とっとと払えやいいじゃないか!?」

不良C「そうらそうらー!!」

   と、鬼島の後ろから。

夏N「でも小学校から習っていた空手で黒帯も取れたし……高校からはきっと変われる!!」

夏「そ、そちらからぶつかって来たんじゃ――」

鬼島「われん前を見てなかったからだわ!!」

   鬼島の制服に、ジュースのシミ。

夏「せ、洗濯して返しますので許してくだ――」

鬼島「バカヤロー!! あたしん家はしゃら高級な洗剤使ってんだ!!」

不良B「なんぼでも言ってないでとっとと払えや!?」

夏「――つっ!!」

   と、頭を抑えて。

   × × ×

夏「わ、私は――たんだ……」

   と、鬼島の腕を掴む。

鬼島「あ? 何だって?」

夏「私は黒帯を取って、変われたんだあああ!!」

   と、頭突き。

鬼島「(よろめいて)ぐはっ!?」

不良B・C「(寄って)きっ、鬼島様!!」

   鬼島、腕を広げて遮る。

鬼島「いい度胸だ……あたしを誰だと思っちゅー!?」

不良B「二年にしてこの学校を仕切られている番長!! 鬼島様と知ってるっちゅうかああ!?」

不良C「そうらそうらー!!」

夏「(据わった目で)新入生ですので全く知りません」

鬼島「おめー!! いっこ下の分際で……」

   「(殴りかかって)ちょびちょびしてんな素バカあああ!!」

夏「すっごく遅いです」

   と、顔の前で拳を掴み、押し返す。

鬼島「! お、おめえら、やっちめ――えふぇっ!?」

   夏、振り向こうとした鬼島の腹を、蹴り飛ばす。

不良B・C「(殴りかかって)ちょ、ちょびつくないっこ下があああ!!」

   夏、前に出て、二人の首を掴む。

不良B・C「あががが……」

鬼島「おめー!! ぶっ殺す!!」

   鬼島、起き上がり、殴りかかって。

   夏、二人から手を離し、鬼島に中段後ろ回し蹴り。

鬼島「えふぇっ!?」

   蹴り飛ばされ、うつ伏せに倒れる鬼島。

   夏の両脇にしゃがみ、むせる不良B・C。

   ――夏、鬼島の前まで歩き、しゃがんで。

夏「今どき番長だか何だかしりませんが、今後いっさい、私には関らないでくださいね?」

   × × ×

峰山「くうぉおーらお前らあああ!! なーにをやってるんだあああ!!」

   と、竹刀を振り上げ、猛ダッシュの峰山 真剣【みねやま しんけん】先生(28)。

   ジャージ姿。

夏「(振り向いて)えっ!?」

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