第8話:放課後の出会い
僕は今、近所のスーパーに来ている。
何故かというとそれは…、
「ねぇ夕生くん、今日の晩御飯何食べたい?」
晩御飯の材料を買うためだ。
無論、僕は作らない。
いや、作れない、と言ったほうがいいか。
というわけで作るのは無論、我が同居人、美里ちゃんだ。
「美里ちゃんの料理はどれもこれもおいしいからな〜。
別に僕は何でもいいよ。好きなのを作って」
僕は彼女にそう言った。
美里ちゃんの料理はおいしい。
いや、お世辞などではなく、本当に。
「おっけ〜。じゃあ今日はハンバーグだ〜♪」
彼女は笑顔で言ってきた。
美里ちゃんはハンバーグが大好物らしい。
同時に、1番の得意料理もそれみたいだ。
「それはいいね。楽しみだよ」
僕は彼女に言う。
彼女はもっと明るい笑顔で、
「うん、待っててね♪」
て言ってきた。
僕も思わず笑顔になる。
ん〜、至福のひと時〜、
「あっ。やっほ〜、美里」
誰かの声が聞こえた。
ハイ、またもや至福のひと時、終了しました。
一体どうして、いつもいつも僕の至福のひと時は遮られるのだろうか。
はっ、まさか僕は運から見放されたのか。
そして、神からも見放されたのか。
そうなのか、そうなのか。
ふん、どうせ僕はそんな人間さ。
いいもんいいもん。
どうせ僕なんか…。
「ゆ、夕生くん?」
「ほえっ?」
美里ちゃんからの声が聞こえ、意識が戻ってきた。
危ない危ない、すっかり現実逃避してしまってたよ。
美里ちゃん、ありがとう。
「えっと、君は…?」
僕は先ほど声をかけてきた女の子に訊ねた。
「私は橘 楓。美里の幼馴染みだよ。
気軽に名前で呼んでいいからね。私も名前で呼ばしてもらうから」
彼女がそう言ってきた。
「うん、わかった。よろしくね、楓ちゃん」
「こちらこそ。よろしく、夕生」
僕と楓ちゃんは、以前の僕と美里ちゃんの時みたいに握手を交わした。
「…と、で美里、こんなところで夕生くんと何してるの?」
自己紹介を終えた楓ちゃんは、
僕らの光景を笑顔で見ていた美里ちゃんにそう訊ねた。
「ん、言ってなかったっけ? 私の部屋に同居人が来るって」
「それは聞いたけど…、て、まさか夕生が?」
「そう、夕生くんが私の同居人」
その話を筆頭に、2人はどんどん話し始めた。
…何だか取り残されたような感じがした。
ひょっとして2人とも、僕のこと忘れてる?
「お〜い」
と声をかけてはみるが、
反応なし。無反応。
だめだこりゃ。
どこかの有名人の言葉を言いたくなった僕であった…。 |