第3話:彼女の理由は…
「ささ、こっちがリビングですよ」
僕は花梨さんに連れられ、家の中へ入る。
そして、リビングへと連れて行かれた。
「とりあえず、座ってください」
彼女の言葉に頷き、机の前に腰掛ける。
花梨さんは机をはさんだ向かい側に座った。
「それで、一体これはどういうことか、説明してくれますか?」
僕は思い切って気になっていたことを聞いてみた。
このままつっかえていたら、夜も眠れない…、
あ、嘘です。多分爆睡してます。
まあ、そんなことはおいといて、
僕の言葉に彼女は頷き、口を開く。
「それでは、お話しましょう。私は、知っているとは思いますが、女優、早乙女花梨です。
ですが、それは芸能人としての名前であって、本名ではないのです。
私の本名は、川西美里。あなたの聞いている同居人の名前と一致しますね?」
無言で頷く。
なるほど、早乙女花梨の本名が、ここの同居人の名前だったんだな。
普通、芸能人は本名で出ている人はそんなに多くない。
だから彼女がそうしたタレント名を使っていたとしても、別に不思議ではないのだ。
「ですから、私はこの部屋に居るというわけです」
「でも、何でまたこの一般的なアパートに?」
「それはですね…、どうしても滝之上高校に行きたかったからです♪」
笑顔で答える花梨さ…、いや、美里さん。
そ、そんな理由で? まあ、いいけど。
その時、僕はあることを思い出した。
「あ、そういえば僕、まだ自己紹介してませんでしたよね?
僕、井上夕生です。通う高校は美里さんと同じ、滝之上高校です」
言い終えると、美里さんは笑顔で首を振りながら言ってきた。
「私と夕生くんって同い年でしょ? だから敬語なんてやめようよ。
後、“さん”付けしなくていいよ。なんか堅苦しいし」
確かにそうだ。僕もなんか堅苦しい感じはした。
彼女の言葉に頷き、言った。
「わかったよ、美里ちゃん」
「うん、それでよし。じゃあ、よろしくね、夕生くん」
そう言って手を差し出してきた。握手の形だ。
僕はそれを見て微笑み、
「こちらこそ、よろしく、美里ちゃん」
美里ちゃんの手を握って、握手を交わすのだった。 |