第15話:僕のいい耳と、夏の予定
「夏休みの計画?」
僕は隼に尋ねた。
「そうだ。来週から夏休みに入るだろ?
だからさ、一度くらいは遊びに行こうかな、てわけだ」
「なるほど、そうだったのか。
で、どこ行くか決まったの?」
僕は隼に尋ねる。
…が、
「本当に何にも覚えてないんだね、夕生は。
まだ全然決まってないんだよね、これが」
答えたのは楓ちゃんだった。
何故にあなたが答える?
まあ、状況が分かったから別にいいけど。
その時だった。
プルルルルル………
プルルルルル………
「ん、電話…?」
電話が鳴った。
「うん、電話だ」
「電話だねぇ」
「電話だな」
オイオイ。気楽だな、皆。
しかしこの着信音は…。
「もしかして、鳴ってるのって、美里ちゃんのじゃないの?」
「えっ? あ、そうかも…」
そう言うと美里ちゃんはポケットに入れていた携帯を取り出す。
自宅で携帯をポケットに入れてるっていうのも何かおかしなことけど、
まあ、そこは気にしないでおこう、うん。
「あ、私のだ。ありがとう、夕生くん」
それで美里ちゃんは、
「ちょっとごめんね」と言って席をはずした。
「へぇ〜、夕生って耳いいんだね」
楓ちゃんが感心したように言った。
「ん、そう?」
「そうだよ。ね、隼」
「ん? ああ、そうだな。俺たちの携帯の着信音なんて似たようなんばっかだもんな」
「ふ〜ん、そうなのかな」
「「そうそう」」
何やら微妙な反応をしている僕だが、実は自覚している。
どこの誰だったかは忘れたが、
「君は絶対音感、またはそれに近いものを持っている」
と、言われたことがある。
まあ、それが誰だったかは、本当にわかんないけど。
自分でもそれはかなり問題だと思うけど、まあ、そこは気にしないでおこう。
それに、僕は学力に乏しいせいかおかげか、聴力、後、視力も何かいい。
視力なんて、ずっと2.0だし。
「ごめんねぇ〜」
そんな雑談をしていると、電話に出ていた美里ちゃんが帰ってきた。
「誰からだったの?」
楓ちゃんが尋ねる。
「春山さん」
美里ちゃんが答える。
春山さんといえば確か…、
あ、思い出した。
あの勉強を強制させたマネージャーさんか!
…違うな、うん。
「んで、お前のマネージャーさんが一体何の用だったんだ?」
「えとね…、夏休みに私、女優の仕事が入ったんだって」
「「「仕事?」」」
僕と隼と楓ちゃんの声が重なる。
「うん、仕事の内容は後日話す、て言ってたけど、とりあえずは、て」
「じゃ、じゃあ…、夏休みの計画はなくなるんじゃ…」
僕の発言に二人も頷く。
話を全然聞いてなかった上に、
わずかに聞いたこともキレイさっぱり忘れてしまった僕が言うのもなんだけれども、
その通りのはずだ。
この計画は4人で行くところを決めていたのだから、
そのうちの一人が欠けてしまえば、当然この計画はなくなる…、
「大丈夫!」
「「「えっ?」」」
ということは…、
「3人にもエキストラとして出演してもらうことになったから!」
なかった。
「え、嘘…」
「え、エキストラで…?」
二人が口々に呟く。
僕も同じような思いなので、あえて呟きません。
「大丈夫だって。セリフはないから」
「「「え、あ、そうっすか」」」
僕らの思いは一体、何だったんだ…。
まあ、彼女がそんなことわかってるはずもなく、
今後の予定を次々に語っていくのだった…。
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