第13話:彼女が“けっこう”秀才になったワケ〜後〜
「ちょ、ちょっと! ええっ!?」
私は、春山さんに言われたことに動揺し、
自分でも何を言っているのかわからない状態になった。
「別に上位に入れってわけじゃないんだ。今より少し成績を上げればいいんだから」
春山さんが、私にそう言う。
いや〜、だけどね〜、春山さん。
今授業の内容が全然わからないんですけど。
「今よりもう少し勉強すりゃあいいだけだ。簡単だろ?」
口で言うのは簡単だけどね。
「はああ…、どうしよう…」
その日の翌日の登校日、私は机に屈し、そうつぶやいていた。
春山さんに言われて勉強してはみたものの、全くわからず。
致命的だね、これは。
「美里」
そんな私の耳に、とても聞き慣れた声が届いた。
「か、楓〜…」
「うわ、どうしたその顔」
私の顔を見て、楓が驚きの声をあげる。
今の私の顔って…、
「そんなにひどい?」
「うん、ひどい」
ああ、そりゃあひどいな。
何を基準にそう判断したのか、自分でもわからないけど。
ああ、女優失格だよ、まったく…。
「で、どうしたの、美里」
おっと、話がそれてしまった。
いけないいけない、そのことを言うのがこの話の本題だったんだ。
「うん、実はね…」
私は楓に春山さんに言われたことを全て伝えた。
ちなみに、楓と春山さんは面識がある。
そりゃあ、楓は私にとって幼馴染みであり、親友であり、憧れでもある人だもん。
そんな人に、彼が会わないわけがない。
楓も二つ返事で承諾した。
まあ、そんなことはおいといて本題へ。
「なるほどね…」
事情をあらかた話し終えて、楓が呟く。
彼女は少し考えた後、
「…うん、そういうことなら私に任せなさい」
と、言った。
任せなさいって…、
「な、何を?」
「いや、だから勉強を」
………
おおっ、
それは願ってもないことだ。
もちろん、楓に指導されるだけで成績が上がる、なんて思ってはないけど、
今までより勉強がはかどるに違いない。
まあ、言うほど勉強した記憶なんて、ないけど。
「そ、それじゃあ、お願い、するよ…」
こうして私は、楓に勉強を指導してもらうことになった。
「違う違う、そこはそうじゃなくてこう」
「ここはこうやって、こうして、こうするの。わかった?」
「う〜ん、それはそうするよりこうしたほうがいいかな」
「そうそう、そういうことよ」
「うん、いい感じ」
「すごい、よくできたね」
最初は、何だか怒られてばかりだったけど、
だんだんその数は減り、褒められはじめた。
そして…、
そんな調子のまま迎えた…、
テスト当日。
「いよいよだね」
「う、うん」
楓が声をかけてくれるが、
私は心配を隠すことが出来ない。
今までよりも遥かに勉強してきたし、
楓に指導までしてもらったのだ。
絶対大丈夫。
な、筈なんだけど。
やっぱり心配だ。
「大丈夫。美里ならできるって」
だといいんだけどね。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
「はああ、終わったあ〜…」
これで全教科のテストが終わった。
どの教科もそれなりに手応えはあった。
よかった〜。
「…て、いうわけなの。わかった?」
美里ちゃんの話が終わった。
て、あれ?
「成績はどうなったの?」
僕は尋ねた。
今の話では、結局のところ、美里ちゃんが秀才なのかどうかがわからない。
だが、彼女から返ってきた言葉は、
「うん、忘れた♪」
だった。
わ、忘れたって…、美里ちゃん。
前編後編に分けて長々と話しといて、
オチはそれですかい!
まあ、そんなことを感じながらも、
勉強をするということはもっともなことなので、
少しは勉強に熱を注ごうかな、
と思った僕なのでした。
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