第10話:季節外れの… 〜後〜
「ぜぇ…、ぜぇ…」
トイレに行くのってこんなに辛いことだったんだ。
知らなかった…。
今までの僕の状況を説明すると、
あまりのだるさと睡魔で、
起きていられなくなった僕は、
つい先ほどまで寝ていたわけなのだが、
今度は尋常じゃないくらいトイレに行きたくなった。
なので行っていたのだけれど、
何せ風邪を引いているのだ。
異常なくらいのだるさが体中を駆け巡り、
とてもじゃないが、まっすぐ歩けたもんじゃない。
普段なら30秒もあれば余裕でたどり着けるところを、
5分以上もかかった。
かかったな、おい。
で、帰る時も同じくらいかかって、
恐ろしいくらいの疲労感を持ち帰ってきたというわけだ。
それにしてもお腹がすいた。
僕は時計を見る。
「1時13分…」
また微妙な時間だな。
だけどもう1時、昼か…。
そりゃお腹も減るか…。
ああ、ここで急に美里ちゃんが帰ってきてくれないかな…、
ガチッ
ガチャッ
「ただいま〜」
帰ってきた。
急に帰ってきた。
美里ちゃんが帰ってきた。
急に美里ちゃんが帰ってきた。
ってええええええ!?
「な、何で!?」
何で帰ってきたんだ、この子は。
「何でって、風邪引いてる夕生くんを看病するためだけど」
な、なんと。
美里ちゃんはそんな理由で帰ってきたのか。
し、しかし…。
「み、美里ちゃん。が、学校は?」
どうやって学校をすっぽかしてきたのか、
それが疑問だった。
「学校? それなら早退した。私特有の理由でね」
「美里ちゃん特有の理由?」
「そう。先生に、女優の仕事があるので早退させてください、
って言ったら、簡単に早退できた」
「………」
こ、この子、意外と腹黒いのかも…。
「あ、そうだ夕生くん。お昼食べてないでしょ。
私が作ってあげるから、ちょっと待ってて」
おお、助かるよ、美里ちゃん。
さっきの話聞いてなかったらもっと純粋に喜べた。
ていうかそのきっかけを作ったのは僕なんだけども。
そしてその10分後、
僕が美里ちゃんのありがたい食事にありつけたのは言うまでもない。 |