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新しい家族編
5歳:「転生者の告白(2)」
 
 
「あ~、魔法に関してなら、俺よりもシズネさんのほうが詳しいか?」
「あたしも専門家と言うわけじゃないけど、学院には通っていたからある程度はね」
「シズネ殿、説明をお願いしても?」
「あくまであたしが知っている範囲だけでの話だよ」
 
 
 そう前置きをして、シズネさんが語りだした。
 
 
「まず、【霊獣の加護】についてだけど、あたしみたいな【小獣の加護】持ちが1年で数人、【霊獣の加護】持ちの場合は数年に1人見つかるかどうかって所だね。
 【小獣の加護】持ちでさえ、加護を持っていることを国に申告して、その申告が正しいことが認められば、いくつかの優遇措置を受けれるくらいに貴重な人材さ。
 確か、今の王都にいる【霊獣の加護】持ちは11人、国内で20人程度かな?
 いずれも王国や何らかの組織で重用されている面子ばかりだね。王国の正式な保護下にある人口が3500万人、180万人に1人の才能と言えばどれだけ貴重かわかるかい?」
「はぁ……」
 
 
 やばい、凄いことなのは分かったんだけど、あまりに話が大き過ぎて、逆にピンとこない。
 
 
「それと〈発動具〉についてだっけ?
 そもそも、魔術自体は個人的に魔術師に弟子入りをするか、王国立の学院の門戸を叩くかして、習えばある程度使えるようになる。
 ただし、普通の魔術師は〈発動具〉を持っていないと魔術を使うことができない。
 その〈発動具〉は材料が貴重で高価だから、それを買えるだけの財力があるか、運良く〈発動具〉を手に入れでもしなければ、魔術を習う意味がないのさ。
 
 ああ、それと魔術師兵として軍隊に入るみたいな場合もあるね。魔術師兵として軍に所属すれば、国から〈発動具〉を貸与してもらえる。
 ただ、軍規で定められた以外で利用したりすると色々と処罰を受けたりするみたいだね。
 例外としては、エルフの高位魔術師や王都の宮廷魔術師のじぃさんは〈発動具〉なしで魔術を使えるらしいけど……」
「へぇ……?」
 
 
 けど、オレは、その〈発動具〉なしに魔術が使えてるんだけど?
 エルフということは【魔法適性】が〈発動具〉の代わりをしている?
 ただ【魔法適性】って単純に最大保有魔力量が成長しやすく、保有魔力の回復に必要な休憩時間が短くなるだけの魔導だったはずだよな。
 
 老練した魔術師も〈発動具〉なしで魔術が使えるというなら、どこかに抜け道がありそうだが……。
 
 
「結局、〈発動具〉とは、どんな形をしたもの何ですか?」
「杖、指輪や首飾りなどの装飾品なんかが一般的だね。
 そもそも、魔術を行使するのに本当に必要なのは、〈宝魔石ほうませき〉と呼ばれる宝石さ。〈宝魔石〉を嵌め込んだ道具のことを、便宜的に〈発動具〉と呼んでいるにすぎない。
 魔術も使える剣士とかだと、剣の柄などに〈宝魔石〉を付けて、剣そのものを〈発動具〉にする人もいるみたいだね。あたしの知人にも何人か独特な〈発動具〉を持っているやつがいるよ」
 
 
 〈宝魔石〉……確か、『グロリス・ワールド』だと魔力によって変質した宝石という説明だったかな? 補助系装備のマジックアイテムを作るのに必要となる材料だ。
 つまり、〈発動具〉っていうのは、補助系装備のマジックアイテムみたいなものか?
 あれ? もしかして……、
 
 
「……普通の宝石と〈宝魔石〉って、そんなに値段が違うんですか?」
「段違いだね。同じサイズの宝石と〈宝魔石〉なら、〈宝魔石〉の方が何十倍も高価だし、そもそもめったに市場に出回ってくる品でもない。ほとんどの〈宝魔石〉は、国が優先的に差し押さえちゃうからな」
「…………あの、私は多分、普通の宝石から〈宝魔石〉を作ることができると思うんですけど」
 
 
 『グロリス・ワールド』では、モンスターが落としたり、鉱山で採掘をすることで入手できる素材の中に「宝石」という分類があった。
 その宝石に特定の魔術を定期的にかけることで、〈宝魔石〉へと加工することができる。〈宝魔石〉への加工とマジックアイテムの作成を専門に楽しむプレイヤーも少なからずいた。
 
 
「本当にそんな技術があるのかい?」
「あくまで多分ですので、試してみないことには絶対とは言えませんが」
「もう何でもありだね……」
 
 
 呆れるシズネさんの横で、父親とロイズさんが難しい顔をしている。
 
 
「それで、ユリア……君の望みはなんなんだい?」
「望みですか?」
「ああ、到底とうていすぐには信じられないような話だけど、僕にはユリアの話が嘘だとは思えない。
 そして、僕たちにそれだけの真実を語ることで、僕たちに何を望むんだい?」
 
「何も……何かが欲しくて話そうとしたわけではありません。
 前世の私は、親に捨てられた孤児みなしごでした。ですから、お父様とお母様のような両親に憧れていたのです。
 
 前世の記憶に気づいた時から、ずっとそのことは黙っていようと決めていました。
 けれど、今回の件がなくても何時かは話していたと思います……単純に、お父様とお母様に、嘘をつき続けていることに耐え切れなかっただけです。
 
 ただ、あえて言うのでしたら……近いうちに旅に出ようと思いますので、多少の餞別せんべつをもらえると嬉しいですね」
 
 
 一気に自分の気持ちを吐露とろして、ストンと重しが外れ、オレのココロが軽くなったような気がした。
 
 
「ユリィちゃん、旅行に行きたいの?」
 
 
 そして、オレがこの部屋に入ってきて、初めて母親が口を開いた。
 
 
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