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気体から
作:晴天



楽園サローン


亜美は、結婚をして17年が過ぎ、あの時の授かった魂は、元気でハキハキした男勝りの高校生になっていた。

そして亜美は離婚していた。

アクマのオレとしては、亜美の魂を無駄に平穏にする、元夫とは離婚させ魂を騒がせねばならないのだ。そして、小さい魂を持った、まゆにも寂しさや悩みを与えたかった。

しかし、まゆは逞しいのか鈍感なのか、そんなことは関係なく高校生活を楽しんでいた。
一方、亜美は元夫の会社に勤務して、東京の支店を任されてバリバリと金貸し稼業の成績をあげ、いきいきと毎日を過ごしていた。

元夫も離婚の原因となった女らしい元部下と小学生になったばかりの男の子とのキャッチボールを至福の時間として暮らしている。仕事も順調に拡大していったのは、元夫の仕事への冷徹さと家庭での優しさの二面性によるところは大きい。
亜美が元夫の所に勤めることになったのも離婚後の生活を少しでも楽にしてあげたいと言う元夫の優しさである。

しかし、同じ職場では、妻になった元部下が納得しない。そこで、無理に東京に支店を作り責任者にした訳だが、赤字覚悟での出店で期待などさらさらしていなかったはずだが、今では競争の激しい東京で良心的な金貸しとして信用と利益を得る花形店にまでなった。
これは亜美の開けっ広げな性格が社員にも客にも受けたのが大きな理由であるが、少なからずオレの苦が貢献してはいるのは間違いない。

亜美の客は、返済能力のないフリーターや、既に他でも限度額まで借りている自己破産寸前のブランド買い漁り女など、歩く不良債権みたいな人間が多かった。そんな客を呼び込んでいるのは、オレなのだが。
亜美は、そんな客たちの話を飽きることなく聞くので、嘘八百を並べて金を借りようと来ていた客たちも最後には泣きながら自分の馬鹿さ加減を悔やみ始める。
そんな客に金を貸すのは、溝にすてるより愚かなことなのだが不思議と返済が滞ることは無かった。フリーターは借りた金でスーツを買い揃え無事就職し真面目に働き借金をせっせと返したし、ブランド女は、全てを質屋で金に代え借金の返済にあてた上に友人のブランド物をネット販売する事業を始め成功を収めた。

そんな評判が口伝えに広まり、再起を図る客が増えるのだから回収率も悪い訳が無い。中には人生相談だけをして帰る近所の主婦や商店主もいた。いつしか「薬園ローン」は近所では「楽園サローン」と呼ばれていた。














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