ハンタマ
2007年
この男性は、悲観的なのか楽観的なのか分からん。長年アクマ稼業をしているが扱いづらさから言えば、歴代100位以内じゃな。
この手の人間は苦を与えても気付かない場合があるから困るんじゃ。
「暑いな〜もうすぐ10月なのに、この暑さじゃ公園での昼寝も出来ないよ」勤めていた司法書士事務所が潰れた上に、事務所の連帯保証人として借金取りに追われている。
なのに春人は公園の木陰で横になって欠伸をしているのだから、苦を与えた甲斐がないと言うものじゃ。しかも、離婚して侘しいアパートで一人暮らしという事態にまでしてやっているのに。
「しかし、債権者の方々も業を煮やして、街金に債権を売るとはなぁ〜。債権者会議じゃなくて完全に借金取りに追われる身だな。社長は、どこに居るのかね?」まったく呑気なものじゃ。
「すいません。」
「見かけんアクマじゃな。」
「はい、臨時なもので」
「ほう、臨時と言うことは特命事項か。で、?」
「じつは、ここで欠伸をしている男をある女性と結びつけて、魂をひとつにしなければならないんです。」
「そうか、この冴えない中年男はハンタマなのか。どうりで、扱いづらい訳じゃ」
「ハンタマ?」
「半分の魂と言うことじゃ。なんでそうなったかは知らんが稀におるな。天国にも出来の悪い送り役がいるんじゃろう」
「あ、まあ、そうですね。」私は極力平静を装って答えました。
「で、その女は、どこの誰じや?」
「はい、東京に住む高校生のようです。」
「おー、これは腕がなる。借金取りに追われる男と女子高生のを結びつけるのか。難易度高い使命じゃあ。ワシも喜んで手伝おう。まずは、相手のアクマに挨拶に行かねば。な〜に、ワシも長老の一人じゃから、相手のアクマに嫌とは言わせん。」長老は意気揚々と、消えて行きました。
私も遅れないように付いていきます。 |