気体から(25/28)縦書き表示RDF


気体から
作:晴天



結合


「おはよう。」応接室のソファーでボンヤリしている春人に少し前に起きた亜美がコーヒーを持って来ました。
「ありがとう。ここから見える朝は穏やかだね。」春人は、応接室の窓からまだ薄暗い外の景色を見ていました。初めてここに来た時とは別人のような輝いた目をして。


二人は、公園での出来事から、一旦は仕事に戻り夜遅くに春人が亜美の会社を訪ねたのです。

「3年間、この会社のことは忘れたことは無かった。訪ねて皆さんにお礼も言わなくてはいけなかったのだけど、亜美さんの顔を見るのも照れくさくて3年も経ってしまった。」春人は亜美しか居なくなった事務所の入口から中を見回して言いました。

「待ってたんですよ。毎日。待っているうちに3年も経ってしまいました。」亜美が自分のデスクの前に立ち、言いました。

「すいません。」

「お待ちしてました。ずっと」

二人は、お互いに近づいて抱き合いました。
そして唇を重ねました。

長い長いキス。

3年間分のキス。

いえ、300年分のキス。

そのまま二人は初めて二人で話をした応接室に抱き合ったまま入って行きました。よろけながら、強く抱きしめあいながら。
そして崩れるようにソファーに倒れこみました。
「亜美」
「ハル」
自然と二人は見つめあいお互いの名前を呼びました。
春人は、ゆっくりと亜美のブラウスのボタンを空けゆっくりとスカートのファスナーを下げ、抱きしめたままでブラジャーのホックをはずし、キスをしたままパンテイーを降しました。

裸の亜美がソファーに横たわりました。

亜美は、両手をお腹の前に組み何も隠すことなく春人の前に自分自身を曝け出しました。

春人も亜美の前でゆっくりとシャツのボタンをを開き、ズボンとパンツを脱ぎ、
少し痩せた体で亜美の前に立ちました。

そして亜美と一体になるかのように体を重ねていきました。
そしてゆっくりと亜美の中に入っていきました。

その瞬間、二人の頭の中で記憶が少しずつ遡り始めました。
10年前、20年前、生まれた時、

そして経験のない記憶。

空襲の東京を逃げる亜美。

ナチスのガス室に向かう列に並ぶ春人

両替商の娘として好きではない男と祝言をあげる亜美

モンゴルの平原で倒れた母を弔う幼い男の子の春人

そして、二つに分かれた眩い光が飛び去る様


二人は何時間ひとつになっていたでしょう。
春人は何度も亜美を求め
亜美は何度も絶頂感に達し

そして重なり合い、まどろみの中に落ちて行きました。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう