答え
「お久しぶりです。」春人は、亜美を見つけると公園のベンチから立ち上がって会釈をしました。
「こんにちは」亜美は険しい顔で答えました。
「食べませんか?」公園のベンチに並んで腰掛けると、春人は紙袋からパンを二つと缶コーヒーを亜美に渡しました。
「いえ、結構です。」亜美はきっぱりと断りました。
「え?」不思議そうに春人は亜美の顔を見ました。
「まゆさんから、亜美さんにもいつものお昼をご馳走するように言われたんですが。」春人は困ったように言いました。
「なんですか、それ」亜美は怪訝な顔でたずねました。
「亜美さんから話があると電話を頂いた後で、まゆさんからも電話があって。」
「もしもし、ハル。さっきママから電話があったでしょう?なんだって?」
「話があるから会いたいって言われたけど。ちょっと怒ってたみたいだけど。」
「大丈夫、大丈夫。で、何処で会うの?」
「あんまり時間が無いから、いつもの公園に来てもらうことにしたよ。」
「いいね。それ。だったら、まゆがいつもご馳走になってるパンプキンパンとカレーパンをママにも食べさせてあげて。」
「いいけど。なんの話。」
「いい、良く聞いてね。」
「はい。」
「ママは3年前の答えを持って行くの。分かる?」
「へ!?」
「分かった?」
「いや、良く分からない。」
「ママが答え易いように、ハルの方から「答えを聞かせて頂けますか?」って言ってね。」
「無理だよ。言えないよ」
「言えなくても言うの。頑張ってね。」一方的に切られました。
「まゆがなんて言ったか知りませんが、まゆはまだ子供です。」
「そうですね。」春人は期待していたのでした。
「分かりました。答えは頂きました。」春人はうなだれてパンプキンパンを見つめました。
「え?何ですか答えって」まゆが不思議そうに聞き返しました。
「まゆさんに、からかわれたんですね僕。」春人は照れたように笑いながら、まゆとの今までのこと、まゆの電話の内容を掻い摘んで話しました。
「そうでしたか。確かにまゆの学校と秋本さんの事務所はすぐ近くですね。ここで、時々お昼をご馳走になっていただけなんですね。」
「すいません、あまり時間も無いのでパンぐらいしかご馳走出来なくて。本当はもっと美味しいものをご馳走しないといけないと思ってるのですが。忙しくて。」申し訳なさそうに春人は言いました。
「美味しいですね。このカレーパン」亜美はいつのまにかカレーパンを頬張っていました。
「そうですか、良かった。」春人は静かに言いました。
「聞いてくれないんですか?」亜美はカレーパンを飲み込むと言いました。
「何をです?」春人はバナナロールを袋から出しながら言いました。
「3年前の・・・」そこまで言って亜美は下を向きました。
「答えを聞かせて頂けますか?」
春人は、亜美の顔を下から覗き込んで尋ねました。
満面の笑みで。
「大好きです! ハル」
亜美はまるで、まゆのように春人に抱きつきました。
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