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気体から
作:晴天



分けられた魂


「そこの君、黄色がかった君だよ。君は修業の数が少ないみたいだけど、現世では、どんな暮らしをしていたんだい?」

「はあ、前回の暮らしは毎日が退屈なほどに何もなかった気がします。結婚もなく、子供が生まれることもなく。」

「しかし、人を好きになったりはしたんだろう?仕事もすれば、いろいろと苦しいこともあっただろうし」

「そうですね、好きになった女性は居たのですが、話をすることも無かったなあ。もっとも、好きになったのは全部アイドルでしたから。仕事は、アルバイトをいくつかしてたけど、長続きしなかった気がします」

「ふ〜ん、最期は、どうやって天国に来たの?」

「レコード屋のバイトの帰りに自転車で道を横切ろうとしたら、無免許運転の中学生が運転するバイクと接触して、電柱にぶつかったみたいですね。良くは分からないけど、肉体から魂が抜けた後に見回した感じから、たぶんそうだと思います」

「なるほど、君の前回の生涯に何の意味があったのかは私には分からないけど、意味のない生涯はないから、なんかあったんだろうね」

「はい、僕もそのことは気になっていて、死んでから49日間その意味を探してうろうろしたのですが、分かったのは、事故の後に現場に信号が付くことになったのと、事故を起こした中学生は不良仲間から離れた祖母のいる山間部の街に引っ越すことになったようです。」

「なるほど、それも大切な意味だったんだろうね。」

「でも、僕の事故現場には花束はありませんでした。」

「それだよ!君の次のテーマは人との関わり。たくさんの友人を作って傷ついたり悲しんだりしないと。それには、魂がひとつだと、知り合える機会も少ないだろうから、特別にふたつに分けて現世に送ってあげよう。」

「そうですか・・・・でも・・・・」

「さあ、準備はいいかい?二つに分けて送り出すよ。えい!」

私は、魂を二つに引きちぎり現世に投げ込みました。
これで、足りない2つの魂の送り出し、無事に今日の使命は完了したことになる訳です。

ここまで来て、私は重要なことをひとつ忘れていました。送り出す前には、天国のことを一切喋れないように口に栓をするのですが、魂が二つなので2回しなくてはいけない栓を慌てていて1回しかしなかったのです。人間の鼻の下には少し窪みがあるでしょう。あれは、私が指で栓をした証なのです。その窪みが深い人と浅い人が居るのは、私のような使命を持ったものの癖みたいなものですかね。

さて、後はのんびりと幸福な魂達を眺めながら次の送る魂を選びましょう。












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