第16章 〜組織の怖さ〜
「え、昨日来たのか?」
翌日、新一と蘭は学校に行く為に歩いていた。
「うん。もうすぐテストだから一緒に勉強しようかなって思って…。」
「そうか…、悪かったな。」
新一はそう言いながら蘭の方を見て謝った。
「新一が悪いんじゃないよ。私が急に来たから…。」
蘭は首を横に振りながら新一に言った。
「…事件、大変みたいなんだね。」
「あ、ああ…。」
新一は曖昧な返事をした。
「でも、もうすぐテストだったんだな。最近、忙しくて忘れてたな。」
新一は最近の事を思い出しながらそう答えた。
「事件で忙しかったからね。」
「じゃあ、今日はテスト勉強でもするか?」
新一は笑みを見せながら蘭に尋ねた。
「うん!」
蘭はにっこり笑顔を浮かべて元気良く答えた。
「いらっしゃいませ。」
由香が喫茶店のドアを開けると、店のマスターが声をかけた。由香はアイリスの姿を見つけて、笑顔を浮かべながらアイリスが座るテーブルに近付いた。
「おはよう、舞ちゃん。」
由香はアイリスに挨拶をしながら椅子に座った。
「おはよう…。」
「何になさいますか?」
アイリスが由香に挨拶を終えた直後にマスターが由香に尋ねた。
「アイスコーヒーお願いします。」
「かしこまりました。」
マスターはにっこり笑いながら戻って行った。
「どう?調査は順調?」
「なんとか…、順調。」
アイリスは一口コーヒー飲んでから答えた。
「そっかぁ…。」
「由香さんは…、組織で何をしてるんですか?」
アイリスは少し小さな声で尋ねた。
「私は取引とかしてるの。まぁ、取引がない時は普通に生活してるけどね。」
「そうなんですか。」
「…こんな事、聞いてはいけないと思うけど…、どうしてあの時…自殺を考えたの?」
「…………………。」
由香の言葉にアイリスは俯いて黙った。
「ごめんね。変な事を聞いちゃって…。」
「私は…組織が怖い。私は小さい頃から組織に育てられた。両親の姿も見た事がない。」
アイリスは黙っていた口をゆっくり動かして話し出した。
「両親は組織の人間なの?」
「たぶん…、そうだと思う。」
「組織が怖いって…?」
由香は次の質問をアイリスにぶつけた。
「組織は目的の為に人を殺す…。その様子をなんどか見た事がある。悲痛な叫びと怯える声…、助けを求めるうめき声…。」
アイリスは手を震わせながら一度、言葉を止めた。
「夢に…その様子が出て来る。何かを訴えるかの様に…。私はそれが耐えれなかった。闇に染まった自分をこの世から存在を無くす為に…私はあの場所に居たの。」
「舞ちゃんも辛い思いをしてるのね。」
由香は何かを感じ取って優しくアイリスに言った。
「ごめんなさい。変な話しで…。」
アイリスは心を落ち着かせながら謝った。
「そんな事ないよ。私だって…舞ちゃんと同じで組織が怖いから…。」
由香は少し悲しげな表情になり俯いた。
「…………………。」
アイリスは由香の悲しい表情を見て何も言えなかった。
「じゃあ、そろそろ行くね。」
由香は立ち上がり元気な声を出した。その表情は悲しみを我慢している様な表情だった。
「舞ちゃん、今度一緒に遊びに行こう?」
「え?」
アイリスは由香からの誘いに驚いた。今まで誰かに誘われた事がなかったアイリスは返答に困った。
「ダメかな?」
「いいえ。大丈夫です。」
アイリスがそう言うと、由香の表情が嬉しそうな顔に変わった。
「じゃあ、また連絡するね。」
由香は嬉しそうに手を振りながらアイリスから離れて行った。アイリスは少しだけ表情が和らげながら見ていた。
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