第12章 〜疑わしい人物〜
警視庁の地下駐車場には沢山の車が止まっている。一台の車の中に助手席には川奈、運転席には田神が座っている。
「緒川照治を見つけるんですか?」
助手席に座る川奈に尋ねた。川奈は目暮から渡された資料をじっくり見ている。
「ああ…、その二人を殺した最も疑わしい人物だ。」
「その資料は緒川照治のですか?」
田神は川奈が見ている資料が気になって尋ねた。
「そうだ…。緒川照治は三年前に横領を犯して行方不明になっている。被害者の二人が銀行を辞めたのは横領が発覚してからだ。」
「でも、どうして逃げたんですかね?」
「捕まるのが怖かっただげだろう。とにかく、千葉に向かえ。緒川照治は千葉で生まれたからな。」
川奈は資料を後部座席に投げた。
「分かりました!」
田神は勢いのある声を出しながら車のエンジンをかけた。田神はアクセルを踏み、地下駐車場の出口に向かって走って行った。
「…………………。」
高木は柱に隠れて車が出口に向かって走って行くのをじっと見ていた。
「行方不明の男、見つかりやすかね?」
ポルシェを運転するウォッカが助手席に座るジンに尋ねた。
「警察が緒川照治の行方を探りだした様だ。」
煙草を吸うジンは冷酷な表情をしている。
「警察が探りだしたらまずいですぜ。」
「警察の動きはアクアビットが監視してるから心配ねぇ…。」
ジンの表情は変わる事はなく、煙草から出る煙りを見つめていた。ウォッカは少し不安な顔をしながらポルシェを運転していた。