第9章 〜行方不明〜
新一、目暮、高木は教えて貰った横浜駅の近くの銀行に来ていた。
「…知ってますよ。野口雄太です。」
銀行員の今井忠司は目暮から野口雄太の写真を見ながら答えた。
「野口さんはこの銀行に勤めていたそうですが…。」
「はい。三年前までこの銀行に勤めていました。」
今井は写真を目暮に返しながら答えた。
「何故、辞めたかは分かりませんか?」
「余り大きな声では言えませんけど、三年前にこの銀行で横領事件があったんです。」
今井は辺りを警戒しながら小声で目暮達に伝えた。
「まさか、その横領事件の犯人って…。」
高木が自分の考えを話した。
「あ、いえ…、横領を起こした事件の犯人は野口ではありません。」
今井は高木の言葉をさらりと否定した。
「その犯人は分かったんですか?」
目暮の横に居た新一が話しの間に入り今井に尋ねた。
「緒川照治です。横領が発覚する前に辞めたみたいです。」
今井は少し言いにくいそうな表情をしながら話した。
「その緒川さんは見つかったんですか?」
「いえ…、今も行方不明です。」
今井は残念そうに答えた。
「野口さんはその横領事件が発生した後に辞められたんですか?」
「はい、そうです。確か…、益山も同じ時期に辞めましたよ。」
「益山って…、益山翔太さんの事かね?」
目暮は今井の言葉に敏感に反応した。
「そうですけど…。」
「目暮警部、どうやら横領事件に野口さん益山さんが何かを知ってたかも知れませんね。」
新一は今井に気付かれない様に目暮に話した。
「そうだな…。」
目暮は真剣に聞きながら頷いた。
「今井さん、その横領事件の犯人の緒川照治さんが行きそうな場所とか分かりませんかな?」
「さぁ、分かりませんね。」
「住所とか分かりませんか?」
高木が付け加える様に今井に尋ねた。
「一応、住所は分かりますけど…、行方不明になってるからそこに居ないと思いますが…。」
「念の為です。」
高木が今井にそう伝えた。
「でも、さっきも同じ事を尋ねて来た刑事が居たな…。」
今井は独り言の様に呟きながら口走った。
「え?刑事が此処に来たんですか?」
新一はその言葉を聞き逃さず、今井に尋ねた。
「え、ええ…。今みたいに同じ様な事を…。」
「どんな人か分かりますか?」
「女性でした。美人で若い女性でしたよ。」
「その女性の名前とか知りませんか?」
次に高木が今井に尋ねた。
「いえ…、名前は言ってません。野口雄太の事件を調べてる刑事としか…。」
「それだけですか?」
「はい。」
「…………………。」
高木はそれ以上は質問せずに黙った。今井は緒川照治の住所を調べに行く為に新一達から離れて行った。
新一達が今井と話している頃、アパートの一室のドアが開いてジンとウォッカが部屋に入って来た。
「此処が緒川照治の部屋ですぜ。」
ウォッカは横に居るジンに言った。ジンは何も答えず、部屋の中を一つ一つ集中しながら見回した。ウォッカもジンの後に続いて部屋を見回した。
「その男、行方不明だったな。」
ジンは近くにあった本を取ってページをめくった。
「三年前に勤めていた銀行で横領事件を起こしたみたいですぜ。」
「警察に捕まる前に逃げた訳か…。」
「あの男を殺したのも緒川って奴ですかね?」
「さぁな…。」
ジンは本を閉じて後ろに投げた。本は床に落ちた。
「ずらかるぞ。」
「了解。」
ジンがそう言い終えてウォッカが返事をした。
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