楽園〜私の居場所〜(14/36)PDFで表示縦書き表示RDF


楽園〜私の居場所〜
作:宝玉



第13話 呪文めく言葉


 深夜0時数分前。
 窓から見える景色は暗く、もう町のビルなどは薄っすらとしか見えない。星や月が地上を照らす。
『太陽ほどじゃねえが、月も明るいぜぇ』
 ノアはパンチョと並んで歩いていた。ここは明かりの付いていない、昼は太陽の、夜は月の明かりだけを頼りにして歩く、という廊下だった。
『そうね、綺麗だわ』
『オレ様はもう、綺麗なんて言う感情は忘れちまったな』
 パンチョの言葉に即答すると、ノアは月明かりのあたる地上とそれを照らす月を交互に見つめた。

『久しぶりに、綺麗なんて思っちまった』
『いつもこういう風に素直だと可愛いのにねぇ、フフフ』
 パンチョも月を見つめた。すると、ノアがパンチョに手招きをした。ノアはそっと窓を開け、外に出た。そして、座り込んだ。
『お前も座れ』
『うん』
 パンチョもノアの隣に座った。
 風は、前の季節、『冬』と比べてみると、暖かかった。今夜はあまり風は強くなかったが、それでも冷たく感じるのだから、風の強い日はもっと冷たいのだろうか。
『私たちの故郷、聖界せいかいには四季なんてなかったわね』
『だな。人間界はとてもと言っていいほど美しい。しかし、せっかくの自然を人間が壊そうとしているのはなぜだろうか?』

『少なくても、るい達じゃないわ』
『フ・・・お前は昔から人を信じ抜くタイプだったなぁ?』
 ノアは微笑みながら言うと、今度は目の前にあるカヌー場を見つめた。水面みなもに映り、揺らぐ月がひときわ輝いて見えた。
『お前にだけオレ様の秘密、ちっと教えてやろう』
『?』
 ノアはパンチョを近くに寄せ、そっと耳打ちをした。


『・・・まあ、喋り方とかをみれば男ね』
『つーかさ、守護霊の中でオレ様だけ男だと居辛いんだよな。だから、他のやつにはオレ様は女だと言っといてくれ』
 ノアはパンチョに手を合わせて頼んだ。その様子を見て、パンチョは快く頷いた。

 しばらく2人は水面を見ていた。


 突然パンチョはノアの手を引き、外に飛び出した。
『な、何だよパンチョ?? 急に』
『るいたちの部屋は二階よ。行くわ』
 二階の方面に向け、2人は飛び立った。



















 二階のセトたちの部屋は、寒いのに何故か窓が開いていた。風に純白のカーテンがなびいていた。るいたちが動く様子を見て、まだみんな起きている、とパンチョは感じた。
「パンチョ・・・?」
 るいが目覚めた。すると連鎖的にみんなも起きた。だが、何故かセトは起きない。それどころか動く気配すら感じられない。
「セトちゃんは熟睡なのさ?」
「だな。疲れが出たんじゃないか?」
「カヌーとか漕ぐのは疲れたなぁ、ははは・・・」
 ひのりたちは眠くないらしく、かなりの時間喋っていた。その声はかなりうるさかったが、セトは動かない。実は、そこにセトの姿はなかった。布団を丸めて、人間がいるように見せかけていた。

     ◎    ◎    ◎

 セトは青少年の家の外で、楓たちを待っていた。背伸びをしたりしながら、気楽に。
「や、やっぱりいるのね」
「如月セト」
「やっと来ましたかぁ。実は、お話ししたいんですよ〜」
 セトは、笑いながら2人の手を引いてカヌー場に腰掛けた。そして、楓の目を見つめた後にカナの目を見つめた。楓とカナに寒気が走った。

「仲良く、楽しく過ごせたら、どんなにいいかと思いませんか〜?」
「「・・・は?」」
 2人は声を合わせて言った。
「そりゃ、楽しく過ごせたらいいと思うよ」
「でも、何でかいつも悪口が・・・」
 言い終わった後、つい本音が出た2人は口を抑えた。セトはうんうんと頷いた。
「仲良しが一番。それはどんなに人間の心が闇に支配されようとも、変わらないことなのです。2人はとっても素直ですね〜」
 セトは天使のような笑みを浮かべた。その様子を見て、楓とカナもいつもより穏やかな顔になった。セトはもう一言付け加えた。

「いかなる時も、いかなる場合でも、友たちを信じ抜き、見捨てないことを私は願い続けます。やがて訪れるかもしれない朽ち果てた未来を覆す、第一歩の前進になるならば・・・」

 セトの言葉は、どこか呪文めいていた―――。


早く更新するといっていたわりには遅くなってしまい、申し訳ございません!!!!!!

次の更新は未定です(遅くなるか、早くなるかすら分かりません)。

では、読者様(いないと思いますが)。また!











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう