それぞれの風
任務から帰ってくると、大門のそばに人影があることに気づく。
女だった。
誰かを待っているのだろうか、両腕を組みながら門に寄りかかっている。
「…あら? あれって、テマリさんじゃない? テマリさ-----…」
いのが呼びかけるが、何も言わずに前へ進んで行くシカマルが目に入ると、
思わず叫ぶのを止めてしまった。
チョウジもいのの服を引っ張って、何故か止めに入っている。
「-----よう、そんな所で何してんだ? 今日来るなんて聞いてねーぞ」
シカマルの声に気が付いて、テマリが振り返る。
「待っていたんだ」
「何を…?」
キョトンとする少年の顔を見て、相変わらずな奴だなとテマリは微笑む。
「…風をだよ」
「風? んなもん、アンタのそれで一振りすれば簡単だろ…?」
はぁー……。
テマリが深いため息を漏らす。
明らかに呆れているようだが、シカマルには彼女が何を言いたいのか、
さっぱり皆目見当が付かない。
「その様子じゃ、まだ中忍のまんまかお前…?」
「るせ。それと何の関係があるって言うんだ」
小馬鹿にされながらも微笑んで言う彼女に、
シカマルもまた笑みを浮かべ言い返す。
テマリは軽く目を閉じフッと笑うと、腕を解いて歩き出した。
「何してる? 案内するんだろう? -----そしてはやく上忍になってみせろ」
いつまでも自分の後ろにいるなと言わんばかりの彼女に、
シカマルもヘッと笑って彼女に追いつき横に並ぶ。
そのまま追い越そうとしていたが、途端に速度を緩めた。
「お前、わざと並んで歩いてるだろ?」
テマリが気づいて横から言ってくる。
「オレが本気になったら、幾らアンタと言えども、差がドンドン開いちまうからな」
「だったらやってみせろ。 私はそれを待っているんだか-----…」
思わず出てしまったのか、テマリが立ち止まって口を押さえていた。
「アンタが待ってんのは、風…だろ?」
「……ああ、そうだ。その風がどこまで飛んで行くのか見てみたい」
それは、誰かのことを指して言っているのだろうか。
まるで自分を待っているとでも言っているかのような口ぶりに、
急にシカマルもぎこちなくなる。
「-----た、たくっ、めんどくせーなぁ。上忍らしい意見っつーか何つーか…」
指で頬をかきながら、先に歩き出す。
「さっさと行くぜ。付いて来な」
それを聞くと、気を取り直したのかテマリがズンズン向かってくる。
「まだ追いついてもいないくせに、先に行こうとするな! 生意気だ!」
「へいへい……」
ポケットに両手を入れたまま歩くシカマルの横を、
追いついたテマリが並んで歩く-----。
そんなどこから見ても恋人同士のような二人の後ろ姿を、
放置状態にされたいのとチョウジが見つめていた。
「----何か、お似合いよね…。私たちのことなんてまるで見えてないし。
ちょっぴり妬けるな…」
悔しいけど、恋は盲目とは言うけれど、本当なんだ…。
いのは、自分たちといる時とはどこか違うシカマルを見て、どこか寂しげに呟く。
「いの……?」
沈みかける少女に、そばにいるチョウジが声をかける。
「さ、私たちも行きましょ。あの二人にこれ以上差をつけられて、見せ付けられないように-----」
「ボクはここにいるよ。いののそばに…、ずぅーっといるから」
いのの目が、彼のまっすぐな目を捉える。
「や、やだー。今までだってずっといたんだから、当たり前じゃないー!」
「いの…」
不意に手を引かれた。
いつもと違うチョウジに、いのも一瞬戸惑うが・・・、
「ありがと、チョウジ…。アンタだけは、どこか遠くへ行っちゃったりしないでよね」
笑顔が向けられる。
「行かないよ、ボクは…。君の笑顔を一生見ていたいから」
まるで告白のようなその言葉に、いのの顔が赤くなる。
どこからか心地よい風が吹いてきて、
少女の長い白金の髪を滑るように柔らかに流れていった。
心の中で、何かの風向きが変わったように感じた。
それが何なのか、今の彼女には未だわからない……。
「おーい、お前ら何やってんだぁー? 置いていっちまうぞー」
遠くからシカマルの声が聞こえ、同時に掴んでいた手を、
チョウジがパッと振りほどく。
「なーによあいつ。 見えていないようで、ちゃんと見てるんじゃない」
そう言って呆れるとチョウジの目と合い、お互い吹き出した。
「ちょっと待ってよー!」
いのは、チョウジの手を取って走り出す。
− お わ り −
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突発的に書くから突発小話(小説)。
シカテマと思いきや、シカテマチョウいの。
・・・と思いきや、実はチョウいの?
カンテマ書きたくなってきた・・・とか言っといて、こう来たか(笑)。
今回は、風=シカマルにしてみました。
千の風になって・・・にならないことを祈ります(ぎゃ!)。
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