バレンタインでー・キッス☆
「はい! シカマル」
目の前に差し出された物体を目にして、ズボンから両手を出さずにオレは、
警戒したままそれをしばらく眺めていた。
ピンクのリボンが可愛らしく結んである。
いのが両手に持って、オレに受け取れと目で合図する。
-----ああ、そういえば今日は……
「毒なんて入ってないからはやく受け取ってよねー!」
「へいへい」
「ありがたく戴きなさいよね。どーせ誰にもチョコもらえないんでしょ!」
「うっせ。余計なお世話だ。それにオレは、甘い物はそんなに好きじゃねー…」
「あとは、チョウジとナルトとキバとリーさんに先生方…」
いのはまるで聞いちゃいなかった。
大きな袋を手にして、メモ用紙を読み上げる。
いのの奴、知り合いの男全員にあげるつもりか?
…ったく、めんどくせー奴。
そんなことを考えていると、
「…あ、カンクロウさんとテマリさん、こんにちわー」
いのの正面から、今朝着いたばかりの砂の使者たちが歩いて来た。
3日もかかるってのに、毎度毎度ご苦労なこって。
「よう、今日は何だか街中が賑やかじゃん?」
辺りを見回しながら、カンクロウが先に話しかけてきた。
「まぁ、そうらしいな…って、そう言うあんたの右手にあるそいつは何なんだよ」
オレは、カンクロウがリボンの付いた包みを2つ手にしているのに気が付いた。
「ああ、これか、サクラにもらったじゃん。んで、こっちがテマリからだ」
「…あんたたち、姉弟だろ」
「そんなのは関係ない。まぁ、気持ちだ」
テマリが横から口を挟んでくる。
「カンクロウさんにも…ハイどうぞ!」
「おお! 気が利くじゃん!」
「それじゃ、私は皆に配ってくるので…。ごゆっくりー!」
いのは笑顔で駆け出していった。
義理を配るのがそんなに楽しいのかぁ?
そう難しい顔をしていると、テマリがオレの手の箱を見つめていた。
「へぇ、意外にもてるんだな。良かったじゃないか」
「いのにだよ。アンタが弟さんにやったのと同じような意味でもらっただけだ」
「…そうか。じゃ、お前にもあげよう」
「え…?」
突如、テマリは胸元から何かを引っ張り出した。
この人…、そんなところに温めておいた物をオレにくれるつもりか…?
溶けている云々というよりも、どこから取り出したのかという方が問題だ。
「ほら、ありがたく食えよ」
「…おいおい、食いかけじゃねーか」
「いらないのか?」
そう言って再び懐にしまおうとするので、オレは思わず奪うかのように取り上げた。
「もらっといてやるよ。女に恥かかせるのは男のすることじゃねーからよ」
テマリの食べかけのチョコレートは、ある意味貴重かもしれない…。
そんなことを思ってしまった自分が、情けないようなおかしいような。
…ってか、どしたんだオレ!?
何でこんな食いかけのものをもらって嬉しいなんて思ってやがるんだオレは!?
「礼はないのか?」
腕組みをしたテマリが、返事を待っている。
オレは、赤くなった顔を見られないよう後ろを振り返って言った。
「実はオレは、甘い物はそんなに好きじゃねー」
「何だと? じゃあ返せ」
「でもあんたからのは別だ。不思議とおいしそうに見えた。だからもらっといてやるよ。
ありがとよ!」
そして片手を挙げると「じゃあな」と言って、オレは走り去った。
その後、あいつの唇が触れたであろうチョコレートを、オレが食べたかどうかは秘密だ。
チョコと同じで、余計なところまで溶けちまうと悪いから、教えてやんねー。
ただ言えることは、甘い味がしたかもしれないってことだけだ。
− 劇 終 −
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突発小話書いてみました。
“余計なところまで溶けちまうっ”て・・・、どこよ?(笑)
しかも、またお菓子ネタ・・・。酢昆布、飴玉、千代子・・・。
それから、テマリの懐から飛び出たチョコレート、
実はあれ・・・、カンクロウの食いかけ。ぷぷ。
「間接キスじゃん?」 by,カンちゃん
ヨカッタネ!
シカカン? カンシカ?
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