裏鹿太郎 2
※ 裏は裏でもちょっとはエロい・・・か?(笑)
ザザーン…ザザーン……
いい風と雲だった。
波打ち際の砂の上に寝転んで、鹿太郎は、流れゆく白い雲を見上げていた。
潮騒と磯の香りを運ぶ風が頬をかすめ、それが何とも心地良い。
このまま永遠に、時が止まってくれたらいい-----。
だがそれも束の間、何やら騒がしい子供たちの声が耳に入り込む。
その内聞こえなくなるだろうと無視しているが、なかなか止みそうにない。
鹿太郎は、声のする方向へ面倒臭そうに首を回す。
「こらこのバカ亀! 顔を出せ!」
「やーいやーい、こののろまー!」
大きな海亀が、ガキンチョ共にフルボッコされていた。
「…ったく」
鹿太郎は体を起こして、ガキンチョたちの方へ向かった。
「おいおい。それくらいじゃこいつはへこたれねぇんだよ。
こうやってだな特殊な薬品を直接ぶちまいてだな……」
男の異様な行動を察知したのだろう、ガキンチョたちは、「わー!」と言って逃げ出した。
「そろそろいいかな?」
鹿太郎は、自分の体とほぼ同じ大きさの亀の前にしゃがみこんだ。
「いえ、ご安心下さい。大丈夫です」
「……ちっ、強力な毒薬でもびくともしねぇか」
ニュッと突然目の前に現れた亀の顔は、サラサラ茶髪へアーのイケメンだった。
鹿太郎は笑顔でため息をつくと、その辺の流木をかき集めた。
そして火にくべると、人面亀を木にくくりつけ、丸焼きを始めた。
「やっぱりこれが一番だな」
「ノ------ッ!!」
「取り敢えず、助けていただいてありがとうございます。私の名は、亀梨よしおと申します」
「殺そうとしたし、あんたの名前も変わってるし」
元、ルー亀梨の下半身は、何だかビキニの海パンをはいていた。
「やだなぁ、気のせいですよ」
「…そうか、気のせいか。…その焦げてる頭も気のせいか」
鹿太郎は極力、亀梨から視線をそらして呟くが、チリチリ音がする方が気になって仕方がない。
ようやく亀梨は、自分の頭に火が着いていることに気づき、慌てて海に飛び込んだ。
「フー、さっぱりした。どうです? あなたもひとっぷろ浴びてきては? あ、クス。
面倒臭そうな顔してる。もう、突っ込む気にもなれねぇって感じですね? 無理もないです。
今はご覧の通り、しがないドン亀ですから。でも好きでこの格好をやってるわけではないんです。
こういうコスプレをしろという命令なんです」
「どう見てもオレの目には、好きでやっているようにしか見えねぇぞ。
で、それは、"おっとテマリひめ”の命令なんだろう?」
するとパンチパーマになった亀梨は、下を向いて無言になった。
それから、ふっふっふ……と、肩を振るわせ笑い出す。
「嫉妬ですね?」
「は?」
「あなた、本当はこの格好をしたかったんでしょう? すご〜くナウいですからね」
「絶対おかしいだろ? あんた、さっきの毒薬が効いてきたんじゃねぇの?」
「でもこれは私の為だけにあつらえられた戦闘服なので、きっと私にしか似合わないと思いますよ?
クスクスクス…」
「ああ、それは異議なしに認めてやるぜ。甲羅も亀にとっちゃ、敵から身を守る防御用の鎧でもあるしな。
ま、長生きしろよ」
鹿太郎は面倒なことになる前に、さっさとずらかるつもりだった。
だが亀梨が、突然うつ伏せから仰向けになった。
その後どうなるか知っている鹿太郎は、落胆して言った。
「オレはもうラブマシーンにゃ乗らねぇぜ。竜宮城もごめんこうむる」
「何を言うんですか!? 改良されグレードアップした最新式ですよ!?
ラブマシーン改め“ラブラブグレードマシーン”!! 略して『ラブシーン』!!
これに乗らずに何に乗ると言うのですか!? …私に乗るしかないですね?」
ポッ…と、そこで何故か亀梨が赤面してモジモジし出す。
「照れてんじゃねぇよ」
「そうと決まれば、さっさと乗って下さい! さぁ!」
「乗らねぇと決めている」
「乗って下さい!」
「遠慮する!」
「いらっしゃい!」
「断る!」
「おいでませ!」
「イヤだ!」
「いい子いるよ!!」
「魚くせぇっ!!」
亀梨は即座に、鹿太郎の足首を無理矢理掴んで引っ張った。
自然と鹿太郎が、亀梨の腹の方(甲羅・裏)の上に倒れこむ。
亀梨が咄嗟に鹿太郎を抱きしめた。
「優しくするから…」
鹿太郎が離れようともがき続けるが、亀梨の威力は相当なものだった。
そしてパカッと片方の甲羅が開いたかと思うと、亀梨の海パンがニュイ〜ンと伸びて天井のように二人を包み込み、
海パンの中に閉じ込められる形となった。
「ちょ…っ!! 破れる!! 見えてる!! どんだけ伸びんだよその海パン!!」
「あれれ? 申し訳ありません。ちょっとした誤作動ですが、すぐ戻りますよきっと」
バチ-----------ンッッ……!!
「おほ----------うっっ……v v」
亀梨の言うとおり、海パンはイイ音を響かせて、すぐに元のあるべき股間に戻された。
しかし、少しだけ鹿太郎が切なそうな顔をしている。
実は鹿太郎も二次被害を受け、海パンが当たっていたのだった。
鹿太郎は、涙目で痛みをこらえている。
「えー、大変長らくお待たせ致しました。それでは気を取り直しまして……」
パカッと片方の甲羅が開いたかと思うと、ニュイ〜ンと伸びて天井のように二人を包み込み、
今度こそ甲羅のカプセルの中に閉じ込められる形となった。
「どうです? 凄いでしょう? 伸縮可能なんですよ。硬いのにあ〜ら不思議。
これなら酸素ボンベがなくても安心ですよね」
「わかったから、いい加減離れろ!」
「…おや、何てことするんですか気持ち悪い。私たちは男同士ですよ?」
「ケンカ売ってんのか?」
亀梨の広くて硬い胸の中から解放され、身も心もボロボロな鹿太郎はようやく自由の身となった。
しかし、少しだけ亀梨が切なそうな顔をしている。
実はいつまでもそうしていたかったとでも言いたそうな、つぶらなその瞳で…。
そんな亀梨から視線をそらす努力を、鹿太郎は怠らない。
「それでは、快適ドライブをお楽しみ下さい。ウィ〜〜〜〜…、ウィ〜〜〜〜…」
「BGMも変わってんじゃねぇか」
「はい。でもで〜も、そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねボゴボゴ……」
安心だと自慢げに言っていた甲羅の中に、突如海水が流れ込んできた。
咄嗟に二人は口を手でふさいだ。
「おいおい、誤作動の次は水漏れかぁ!? 完全に不良品じゃねぇかよ!!」
「へたこいたー!」
だが亀梨よしおは、誇らしげにそれを口にした。
「でもご安心下さい。こんなこともあろうかと、酸素ボンベを常備させてあります」
「気転が利くじゃねぇか。はやくオレにもよこしてくれ」
「一つしかないです」
「え?」
「私専用が一つだけです」
「……」
スチャ! 亀梨は目にも留まらぬスピードでそれを装着した。
と同時に、海水が物凄い勢いで流れ込んできた。
もう駄目だった。
やがて息の続かなくなった鹿太郎は、そのまま気を失ってしまった-------。
海草がウヨウヨとうねっている。色とりどりの魚たちも優雅に泳いでいる。
目をうっすらと開けた鹿太郎は、美しい光景にしばし魅了されていた。
ここはあの世…? オレは死んだのか…?
鹿太郎は思わず、ハァー…っと深い息をつく。
思えば、やりたいこともほとんどやらずに終えてしまった儚い自分の人生…。
面倒臭がって寝てばかりいた、天才肌のAB型のオレ。
今思うと勿体無いことしたよなぁ〜…なんて考えてしまう。今更だが。
そして、不意に思い浮かぶあの女の顔…。
本当の自分を隠し、男を避けるかのように女をはべらせていたテマリ姫。
素直になれば可愛らしさが見えていたあの人…。
鹿太郎は、妙に彼女のことだけが気になって仕方がなかった。
男らしくも女らしいそのギャップをからかいたくて、魔がさしたあの時、唇をつい寄せてしまったが、
本当はその唇の感触を味わってみたいとさえ思っている。
「----フッ、今更もう遅いか…」
「何が今更なんです?」
「うぎゃあっ!」
突然の超ドアップの亀梨の顔に、驚いて悲鳴を上げる。
「意識を取り戻したようですね。あなた溺れて気を失ってたんですよ? 気を付けて下さい」
よく見ればそこは見覚えのある、かの有名な竜宮城だった。
「ったく、誰のせい……」
鹿太郎は嫌な予感がした。
「まさかあんた、人工呼吸…」
「ファーストキスは潮の味〜v キャッ…v 」
「オエエエエエ」
「ご安心下さい。私にとってはセカンドキスです」
「だから何だ!?」
「ファーストは、乙テマリ姫様です」
鹿太郎の思考が一瞬止まった。
顔も無表情になる。
「へぇー…」
「うらやましいでしょう?」
ニタァ〜、亀梨の不敵な笑みが向けられる。
「あの人、男嫌いだったんじゃねぇの?」
「本当は違うんです。トラウマがあるんですよ。実はその昔、ある男と私が乙テマリ姫様の奪い合いになりまして、
私が勝ったんです。それで勝利した私にキスを贈られたのですが……」
「それがトラウマになったって? 本当のようにも嘘のようにも聞こえるなぁ…」
「フッ……」
「何でそこで格好付ける?」
「誓いのキスと言った方がふさわしいですね。彼女と私は愛を誓い合った仲なんですよ…過去の話ですが…」
「何、作り話してるかぁ--------っ!!」
スパコ----ン!!
「おっぱっぴ---------ぃ…!!」
亀梨は、彼女が手にしていたハリセンで吹っ飛ばされ、壁を突き抜け、
深く深く海の底へ沈んで行った……。
「よく来たな。待っていたぞ」
テマリ姫が微笑んだ。
着ている服は、相変わらず白のスーツだった。
男の格好なのに、不思議と何故か眩しく見え、鹿太郎は一瞬クラッと眩暈を覚えた。
「オレを待っていたのか?」
「…ああ、そうだ」
他には誰もいないエントランスで、しばらく二人は見つめ合っていた。
微笑む彼女が眩しくて、はにかんだ鹿太郎も微笑む。
心の中に、くすぐったいような甘い何かがジワジワと膨らんでいくのがわかる。
やがてドキンドキン胸が高鳴っていく…。
テマリ姫の細くも白い手が差し出された。
鹿太郎もその手を受け止めようと自分の手を差し出す……が。
「100000両」 (※NARUTO界では、一両=10円らしい)
「は?」
「お前が海に投げ捨てた玉手箱に入ってただろ? 宴会での請求書」
「だーかーら、オレは何も口にしてねぇって」
「バカ言え。お前の為の歓迎会だったんだぞ?」
「ぼったくりかよ」
「振り込め詐欺と言って欲しいものだな」
「同じだろうが」
二人は再び睨み合った…もとい、見つめ合ったが、そこへ、
「やっと着いたぜ〜。おーい、テマリィ、何で女装する必要があんだよ?
しかも海ん中に店開くし。おかげでサメに追い掛け回されたじゃん?」
「ここではオスカル・フランソワ様と呼べーい!! 店ではなく私のハーレムだー!!」
スパコ----ン!!
「はぎゃあああああ------……」
女(?)は、ハリセンで吹っ飛ばされた。
オスカル・フランソワ様は、共に現れた赤毛の少女(?)を笑顔で迎える。
「おお、ガッキーよく来たな。ワンピースがよく似合っているぞ? ところで、カンクロコはどうした?」
「お前がたった今吹っ飛ばした」
「ああ、似合ってなかったものでな、つい」
「我愛羅!! 我愛羅じゃねぇか!! ひっさしぶりだってばよ〜。元気にしてたか?」
ポヨ〜ンと、ナっちがナルトの姿に戻って駆け寄る。
「男は寄るな!!」
スパコ----ン!!
「あ〜れぇ〜〜〜〜……」
テマリ姫のハリセンで吹っ飛ばされた。
ヤバイ…。
この分だと、自分も飛ばされるのは時間の問題だ。
鹿太郎は身震いするが、しかし何故、自分や亀梨はそばにいられるというのだろうか。
前回の宴会を、自分の歓迎会だと言っていた。
その上ここはテマリ姫のハーレムだとかナントカ…。
それも、女及び女装ばかりのレズビアン・ハーレム。
そうまでして男嫌いなのは何故なのか。
亀梨の言うとおり、男にトラウマでもあるというのだろうか。
----ヒラッペ…、今日もイイ尻尾してるね…
やだぁ…、恥かしい。アンタもイイ甲羅してるわ亀梨…
好きだよ。可愛いオレだけのヒラッペ…
アタシも大好き。素敵なアタシだけの亀梨…
もはや、二匹を阻むものは、何もなかった……。
--------------深海の中心で愛を叫ぶ--------------
「愛してるうううう!!! てるうううう!! るううう-------……」
「キモい夢なんか見てんじゃねぇよ!! このブタ野郎がぁあああ!!」
亀梨は、ヒラメの尻尾に往復ビンタを食らった。
「イタタタッ! 私はブタではなく亀…イタタタタタ…!!」
だがその顔は、とても喜んでいた。
「フーッ、フーッ」
「ヒラッペ…、深海に沈む私を助けに来てくれたのか?」
「ぐ、偶然よ! 偶然ここを通りかかっただけ!」
「フッ…、気を失う私を目覚めさせる為の往復ビンタ…、君の愛が痛いほど伝わったよ」
「亀梨……」
亀梨は、ヒラメの顔を両手で挟み込む。
「愛している…」
唇がヒラメのおちょぼ口に寄せられるが、
「ダメー!! ダメよ亀梨!! アタシにはオスカル・フランソワ様が……」
「目を覚ませ!!」
真剣なまなざしの亀梨が、ヒラメを抱きしめる。
「遊ばれているだけだ…。お前は遊ばれているだけなんだよ!! 何故気づかない!?」
「気づいていたわ…」
「じゃあ、何故!?」
「仕方がなかったのよ…。水も滴るイイ男だったから!!」
不意に亀梨が、自分の額にへばりついた前髪を掻き分けた。
「フッ…、当然だろ?」
「誰がアンタっつったぁ!?」
「ぐべほっ!!」
「ヒナたんお口あけてぇー。いっすぃー美味しいかい? テンティも食え食えー?」
テマリ姫が、見覚えのある女たちに餌付けしていた。
そこへ、サクラ似のサクラダイが寄って来た。
「おお、私の春風・ロザリー…、どうした浮かない顔して?」
「ナルト…いえ、ナっちがどこにもいないんです…」
「あんな奴のどこがいい?」
ロザリーを抱き寄せると、オスカルは彼女の耳たぶを甘噛みした。
「はうぅ! ダメェ〜…オスカル様ぁ〜」
「どうだ? 私の方がいいだろ?」
「はぁはぁ…、はい…(ごめんナルト、私、やっぱりここにいたい。 By,内なるサクラ)」
テマリ姫と女たちが酔っ払って楽しく宴会をしているのを、鹿太郎は遠くから眺めていた。
「触らぬ神にたたりなし(梨)」
「よ〜び〜ま〜し〜た〜か〜」
おたふくのように顔をはらした亀梨が、ヤマト隊長の如く怖い顔でヌッと現れた。
「…よし、戻ってきたな。お前を待っていたんだ」
「何か御用で?」
「オレを連れて逃げろ」
「は?」
「ここから抜け出すんだよ」
と、その時、誰かの視線を感じた。
テマリ姫だ。
酒によって目がすわった彼女の目と合う。
「あちゃー…」
しかしこの先の展開を知っているので、このまま流れに乗ることにする。
何故ならこの後、亀梨ごと吹っ飛ばされて上陸するのがオチだったからだ。
そして、彼女自ら寄って来た。
「飲め」
鹿太郎に杯を手渡すと、酒を注いだ。
「男嫌いなんだろ…?」
「お前、どの子が好みだ? 何ならお持ち帰りしてもいいぞ?」
「いいっす別に」
「何だコラァ? 可愛い子いねぇってか? それともお前ホモか?」
「あんた、男にトラウマがあるんだって? 案外純情なんだなぁ…」
テマリ姫は、その場で固まった。
殺される、こいつ絶対殺される…と、亀梨がニヤニヤする。
「誰に聞いた? …亀梨か?」
殺されるのは自分かー!? …と、殺気を感じた亀梨がアタフタする。
余裕の笑みを浮かべる鹿太郎は、テマリ姫の海のような瞳を間近で見据えている。
二人はしばらくそのまま目を離せなかった。
その内、彼女の顔が真っ赤になる。
「可愛いぜ…」
益々真っ赤になる。酔いのせいではない。
鹿太郎も、さっきまでとのギャップが面白くて、ついからかってしまう。
調子に乗って、彼女の頬に手を添え、唇を近づけかけた。
その時-----
「披露宴だ! 皆の者! 私は再びこの男から結婚を申し込まれた! 玉手箱持てーい!!」
すぐに、玉手箱が運び込まれてきた。
「約束の印だ。これを持って行け。おい、亀梨! とっととこいつとラブシーンをしろ!」
「…は?」
背後では、亀梨が赤面してモジモジしている。
テマリ姫と女たちが、キャーキャー言って見守っていた。
恥かしそうにしながらも、両手で真っ赤な顔を隠すヒナタは、指の隙間からこっそりこちらを見ていた。
「はやくしろっ!!」
一斉に女たちの形相が、般若顔になって向けられた。
「やれやれ仕方ないですねぇ。鹿太郎さん、とっとと終わらせましょう!」
「張り切って脱いでんじゃねぇよ! どさくさにまぎれて布団も敷いてんじゃねぇよ!」
「フッ…、これだからガキは…」
「ガキで悪かったな。てか、どうせやるならこういうのは、結婚を申し込んだ相手とするもんだろ?」
テマリ姫を見つめる。
彼女の顔がみるみる上気していく。
女たちが再びキャーキャー騒ぎ出す。
「ある日金太が歩いていると 美しいお姫様が逃げてきた
悪い人にネェ 今おわれているの
金太 守って 金太守って
キン○マ モッテ」 (※「きんたの大冒険」より)
亀梨が歌いだした。
「なんちゅう歌を捧げるかぁ------っっ!!」
スパ--------ン…!!
亀梨と鹿太郎は、ハリセンで吹っ飛ばされた。
「よっしゃー!! グッドタイミングだったぜ亀梨ゴボゴボ……」
…気が付くと、鹿太郎は渚に打ち上げられていた。
玉手箱も近くに落ちてあったが、そのまま放置することにした。
放っておけば砂に埋もれるか、海に流されていくことだろう。
「めでたしめでたし」
鹿太郎は深呼吸した。
「とっとと開けろーっ!」
どこからか乙テマリ姫の怒鳴り声が聞こえ辺りを見回すが、誰もいなかった。
「悪い夢でも見てたんだな」
「さっさと開けろやゴルァ?」
「やれやれ…」
鹿太郎が仕方なく玉手箱を拾い上げると、
【はやくあ・け・ろv】 と、しつこく表面に書いてあった。
開ければ、請求書が出てくることを知っているので開けたくはないのだが、
「二重の振り込め詐欺かよ」
箱の中を覗き込むと、そこには一枚の紙切れが入ってあった。
『バーカ! この私を落とそうなんて、亀梨とよしおが合体するより甘いんだよ! おとといきやがれ!』
「いや、合体しかけたのは亀梨とオレだし…」
「----お前、あの時本気だったろ?」
どこかでテマリ姫の声がする。
前回同様、一体どこから聞こえてるのか謎だったが、どこかに盗聴器か何かを仕掛けているのだろう。
「ああ、結構本気だったかもな。あんたとなら別にそうなったって構わねぇ…って、そう思ったかもな」
鹿太郎が微笑む。
「おおお前っ、そういうことを真顔で言うな!!」
「やっぱり純情なんだな…。男にでも騙されたのか?」
テマリ姫は答えない。
別に無理に答えなくてもいいと思った鹿太郎が、砂の上で背伸びをする。
今度いつ会えるのかはわからなかったが、また会えるようなそんな気がした。
だから、さよならは言わなかった。
「ま、なんだかんだ言っても楽しかったぜ。じゃ、またな」
「ま、待て!!」
ボワワ〜〜ン…と、玉手箱から煙が出て、テマリ姫が現れた。
その姿は、あの白のスーツ姿ではなく、ランジェリーみたいな全身スケスケのシースルーだった。
「ちょっ、ちょっと待てって!! 何でそんな格好で出てくんだよっ!?」
「さっきの続きをしようかと思って」
「こんな砂浜でか?」
「いけないか?」
「いや、ちょっとそれは……嫌いじゃないが…」
「私は昔ある男に遊ばれたんだ。そして、捨てられた。
その時死のうと思っていた私を救ってくれたのが、亀梨だったんだ」
「何だよ、見直したぜ亀梨の奴…」
「で、海の中に引きこもって、男以外の女だけで傷を癒すことにしたんだ」
「ふぅ〜ん。で、オレは何で?」
「命の恩人の亀梨が、このままではいけないと、お前を連れてきてくれたんだよ。
最初はこんなアホ面って思ってたけど、一緒にいる内に何だか居心地が良くなって…
お前は、空気みたいな存在だな」
「へっ、ほめられてんのか、けなされてんのかわかんねぇな」
鹿太郎はテマリ姫の顔を見つめ、微笑んだ。
テマリ姫も笑顔を咲かせた。
それは初めて目にする自然に浮かんだ太陽のようなまぶしさ------
ほつれて頬にかかった彼女の髪をそっと払いのけ、鹿太郎は彼女の唇に自分の唇をそっと重ねた。
彼女の唇は、甘い蜜のような味がした。
「これは結婚の約束なのか?」
「さぁな」
鹿太郎は照れているのかテマリ姫とは反対の方を向く。
だがそこですぐにテマリ姫の方を向き、彼女の手を引いて走り出した。
「おい、どこへ行く!?」
ひたすら鹿太郎は走り続ける。
「へーイ! そこのお二人さーん! デートですかーい? ヒューヒュー!」
「ちゃんと朝までには帰ってくんだぞー?」
亀梨がナルトたちを引き連れて、遠くからずっと二人の様子を眺めていたのだった。
無論、キスするところもばっちり見られていたに違いなかった。
走りながら鹿太郎は空を見上げた。
優しい風に吹かれて、雲が流されて行く。
それはまるで自分たち二人のようにも見え、鹿太郎はそっと微笑んだ----…。
めでたし めでたし めでたし
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亀梨・・・いい人(亀)説、急浮上!?
シースルーで朝までデートって・・・こりゃやるっきゃねぇな。ニヤ。
長いギャグでした。お疲れさん!
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