〜あいつに花束を〜
「----意中の女を振り向かせるには、花束を贈るといい。
メッセージ付きなら尚いいが、ないならなくてもかまわない。
花をもらって喜ばない女は、まずいないだろうからな…」
アスマがそんなことを言っていた。
オレ自身、花なんて買うようなタマじゃねぇのに、ったく、めんどくせぇ……。
面倒がりながらも、オレは店のドアを開けた。
「いらっしゃー……って、何だ、シカマルじゃない。何の用?」
エプロン姿のいのの表情から、笑顔がサッと消える。
「客に対してその言い草はねぇだろ」
「誰かのお見舞い?」
「そんなんじゃねぇよ」
オレは店内に並んだ花の数々を見回した。
「じゃあ、誰によ?」
「…やっぱり妥当な線で行くか。これを10本…いや、20本くれ」
質問には答えず、オレは真っ赤なバラの花を指差して、店番するいのに言った。
いのが、じっとオレを見ている。
「----何だよ、オレが買っちゃ悪いのかよ」
「べっつにぃ〜。ただ意外だなぁ〜…っと思って」
「あ、そ。じゃ、そういうことで頼むわ。こいつを早速、宅急便で送り届けてくれ」
「砂へ……でしょ?」
いのがにっこり微笑んで言う。
逆にオレの顔は引きつっている。
「----何で…、知ってんだ…?」
「ふっふっふ〜」
「…何だよ」
「ぐふふ」
「気味の悪い奴だな」
「メッセージは何て書いとく? どうせアンタのことだし書くつもりないんでしょ。
私が書いといてあげるわ」
「…いいって」
「ダメよー。メッセージがあるのとないのとでは、明らかに違うのよー」
アスマめ……。
明らかに違うと聞かされて、オレの繊細な心も揺れ動く。
かと言って、オレがそんな愛の言葉やらを書く性分でもないわけで…。
「ほんじゃ適当に頼むわ。言っとくが、本当に適当でいいぞ適当で」
「くすっ。アンタらしいわねー。わかってるわよー」
いのは笑いながらバラの花を抜き取って、それをくるみ始めた。
後は全てを任せ、オレは代金をテーブルに置いてその場を去ることにする。
「ったく、ガラにもねぇことしちまったぜ……」
----あいつ、喜んでくれるかな……?
そんな淡い期待を胸に抱きつつ、オレは山中花店を後にした。
この後、いのに任せたことを後悔することを知らずに……。
数日後------
砂隠れの里の風影の元に、一つの荷物が届けられていた。
「木ノ葉の奈良シカマル殿から、風影様宛とのことです。一体何でしょう…?」
「----開けろ」
怪訝な表情をする我愛羅の許可を得て、包みを開け始めた。
「バラの花束です! 何て素敵な-----」
秘書が花束についていたメッセージカードを目にした途端、蒼白な顔で無言になった。
「何だ? 何て書いてある?」
「読んでもよろしいのでしょうか?」
「かまわん、はやく読め」
「で、では…、コホン。『君はオレのバラだ! 太陽だ! 一生君だけを愛する。おお・・・、マイ・スウィート・ハニー!!』 …だそうです」
「捨てろ」
「え?」
「はやく捨てろ!」
「は、はい!!」
その数日後-----
シカマルの元へ、大量の砂が嫌がらせの如く届けられていた。
『殺ス』という脅迫状という名のメッセージ付きで。
シカマルはブルーになった。
そんなに自分は嫌われていたのかと、彼の落胆ぶりは尋常ではなかったという。
砂の彼女、風影の姉・テマリは知らないでいる。
勿論、間違って我愛羅の元へバラの花束が送られて来たことも、今尚聞かされないでいた。
二人……シカマルの恋の行方はどうなる…?
ああ、前途多難。
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またもや突発SS。
前半=シカマル一人称。 後半=三人称。 つまりMIX文体?
いのたん、わざと? 天然? それか風影に送ればテマリへ届くだろうと思って?
そろそろギャグを書きたい。 (あ、↑これもか?)
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