嫉妬 (シカ←いの疾風伝)
女の自分から見てもテマりさんは美しい人だと思った。
自分にはない落ちつき、気高さ、強さ、誇り、そして女の色香------
脱衣所で、髪をおろした瞬間も初めて見たけれど、あの姿が目に入ったら大抵の男はイチコロだろう。
徐々に、生まれたままの姿を衣服の合間から見せていくテマりさんは、とても色っぽくて、艶っぽくて--------
私は息を飲んで見とれてしまっていた。
砂漠の国の人だから、日に焼けているだろうと思っていたのに、予想に反してその素肌は、雪のような白さだった。
首筋から肩と背にかけるラインはとても滑らかで、くびれた細い腰と柔らかそうな豊かな胸。
そのどれもが、自分には持ち合わせていないもののように見えた。
こんな姿をあいつに見せたくない。
見てしまったら、あいつはきっと---------
「------我慢できない?」
思わず口にしてしまったのかと思って、私は反射的に口を手でふさいでしまう。
けれど、それは自分の口からではなく、バスタオルを体に巻きつけたサクラの口から出たものだった。
「あんたさっき、トイレはまだいいって言ってたじゃない。行って来れば?」
「って、違うわよー!」
気落ちしていた私に、サクラが紛らわしいことを口にしたので、まだほとんど服を脱ぎ終えていない私は、
やけになって素早く身につけている衣服を脱ぎ捨てた。
そして、テマリさんを一瞥し、サクラの後に続いて私も浴場へ入っていく。
髪と体を洗い終えて湯船につかっていると、テマリさんは髪を洗っていた。
いつもはきつく縛り上げていて、
彼女の強い意思を表しているかのように見える金の髪も、今は水に濡れてしっとりと肩まで垂れていた。流れるようにきらめく髪は、とても艶やかで綺麗だった。普段の彼女からは想像もつかない、うっとりするような女らしさが滲み出ていた。
思わず触りたくなるようなその髪を見て、不意にあいつが優しく手ですくう様子が目に浮かんでしまう。
------そう思えば思うほど、私の気持ちはどんどん深く沈んでいく。
「本当にさっきからどうしたの? 気分でも悪いの?」
隣りで湯につかるサクラに、再び心配そうに覗き込まれ、私はハッとした。
「いやぁー、ちょ、ちょっとのぼせちゃってー。でも大丈夫よー、あんたの貧乳が目に入ったら、元気になったー」
「貧乳で悪かったわね-----!! あんたもいい勝負でしょーがー!!」
「どこがよー!! 私の方がどう見ても豊満でしょー!! 小ささではあんたに負けるわー!!」
お互いを湯の中に頭ごと沈め合い、バシャンバシャンと音を立てさせて暴れた。
「おい! もうガキじゃないんだから、こんな所で騒ぐな!」
髪を洗いながら振り向くテマリさんに注意され、私たちはシュンと大人しくなった。
「はい…、ごめんなさい……」
それでも、お互いに「あんたのせいよ」と罪をなすりつけ合う。
「それにしてもテマリさんって綺麗よねー。しばらく見ない間に、一段と大人っぽくなったみたい」
サクラもため息をつく。
思うことは皆一緒なのだろうか。女の自分たちでさえそう思うのだから、男たちは尚更そう感じたりしているんじゃないかな…。
と、そこへ…
「わぁー、広いわねー!」
テンテンとヒナタが入ってきた。
二人もなかなかいい体つきだけど、特にヒナタなんて、胸の部分で『綱手様2号』って感じだった。
ここまで来ると、もう自分が、そんじょそこらのスケベ親父のようにさえ見えてきてしまう。
私は、変なところでサクラと意気投合し、ヒソヒソ話し合い、湯をかぶるヒナタの側まで近づく。
「ヒナタ〜ぁ、あなたどうしてそんなに大きくなれたのー?」
「そーよそーよ、秘訣は何なのー?」
「え…、どうしてって、秘訣って…、え、えと…、そ、それは…、自然に……」
「えー? 本当なのー? 誰かにもまれて大きくなったとかじゃないのー?」
ヒナタは真っ赤になって、そのまま意識を失ってしまった。
「え!? ちょっと、ヒナタ!?」
「…これってどっちの意味だろ?」
「図星だったりしてー」
「お前ら…、いつまでそんなくだらん話をしている…?」
そう言いながら、テマリさんはようやく湯の中に入ってきた。
ほんのり上気した顔に、蔑みの白い目線が送られる。
「大きかろうが小さかろうが、そんなことはどうだっていいだろう?
大きけりゃいいってものでもない。肩は張るわ、邪魔くさいわ、…それに、男共の視線がうっとうしい」
------それってシカマルのこと?
あいつの視線も向けられているの…?
私の被害妄想はどんどん膨らんでいく。
「でも男は大きい方が好きなんじゃないんですか?」
「男のために女の胸があるわけじゃないだろ」
「そ、それはそうですけど…、やっぱり気にしてしまうと言うかー…」
「そんなに気にすることのほどでもないだろう? いの…と言ったか? お前だって充分魅力的だ。
そんなに可愛いんだから----自然なその可愛らしさは、私にはないものよ」
一見、きついそのまなざしがフッと和らぐ。
口調も語尾だけが、少しだけ女っぽく柔らかくなる。
そのギャップに私は目を大きくする。
-----そうか、これなんだ…。
冷たさと温かさが同居するこの人の最大の魅力は。
私は、そう気付いてしまった。
あいつがこの人に惹かれたわけを。
<おまけ> 男風呂にて。
「今入っている女たちの中で、一番胸がでかいのは誰だと思うってばよ!?」
「ヒナタじゃねーの? なー、赤丸?」 「ワンッ!」
「めんどくせー、適当でいいや。テマリ」
「えー、ボクは、いのだと思うな」
「そんなのテンテンに決まってますよ!」
「…まぁ、最下位がサクラちゃんだってのは、わかるってばよ!」
そう言いながらナルトが女風呂をのぞこうとすると、
「しゃーんなろ-----------っっ!!」
ナルトはサクラに吹っ飛ばされてしまった。
「シャ…クラ…ちゃんってば、地獄…耳……」
<おまけ終>
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・・・何じゃこりゃ。
赤丸も温泉に入っちゃってるし(笑)。
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