間章:とある議事録の抜粋
「おや、これだけ集まるのは久しぶりですね」
「そうじゃのう、近頃はとみに忙しいようじゃしのう」
「貴様らは雑談をしに集まったのか? ならば俺は帰らせてもらおう」
「いやいや、ちょっと待ってくださいよ。もちろん、今回の趣旨は雑談ではありませんから」
「ならば早く本題に入るんだな。俺も暇なわけではない」
「相変わらずせっかちですねえ……。まあいいですけど」
「それで、コロッセウムでの1件じゃったかな?」
「その通りです。まさか本当に魔王様本人がじきじきにお出ましになるとは、思ってもいませんでしたよ。やはり行動に移すべきでしたかねえ」
「じゃが、全ては魔王の手の平の上だったしのう。余計な手出しをせんで正解じゃて」
「ふん。聞けば主な護衛は、青二才と“幻躁士”だけだったという話ではないか。その場にいれば俺が切り捨ててやったものを」
「いやいや、そう見せかけてどんな隠し玉が居たものか、分かったものではないですよ。もしかしたら、所在のつかめない“狂虎”などがいたかもしれませんし」
「それこそ、俺の望むところだ。戦争の英雄どもと決着がつけられる」
「やれやれ、相変わらず血の気の多い」
「隠し玉といえば、あやつらが注目しておった退魔士はどうなったのじゃ?」
「どうやら、魔王達と一緒にオリジンに向かったようです。和解したと見るべきでしょうか」
「ふむ、この世界に退魔士が現れることはなかったはずなのじゃが。そやつが特別ということか?」
「確かに、並の力では“パンドラ”は越えられません。招かれない限りは。しかし……」
「何か気になることでもあるのか?」
「その退魔士、“葉上”と言うらしいです」
「……まさか、“理を超えるもの”の血族か?」
「確証は得られていません。もう少し調査の必要があります」
「……おもしろい。それが本当ならば、闇の世界にその名を轟かせる“人外製造機関”製の化物と戦えるというわけか」
「確かに、本物であればうちでも上位クラスでなければ歯が立たないかも知れませんね」
「そ奴の情報も最優先で集めさせるか。思いもかけないところで足をすくわれでもすれば、目も当てられんしの」
「ではそのように。後は“器”ですが、こちらは順調のようです」
「ならば、そろそろということじゃの」
「ええ、後数ヶ月で」
「いよいよか、3年ぶりの戦だ」
「他の者達にも伝えておかねばならぬの。これから更に忙しくなりそうじゃて」
「では、各自準備を怠らぬように。もうすぐ、雌伏の時も終わりです。万事抜かり無く」
「我らの王を迎えるために」 |