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episode.0 -The Magician-
episode.0-1「契約」
眼前には、自分と兄を抱きかかえるようにして倒れこむ両親。


その徐々に冷たくなる体の隙間から見えるのは、恐怖を具現化したような巨大な存在。


そしてそれに立ち向かう一人の少女。


瞬く閃光が辺りを覆った次の瞬間、湊は気を失った。






















episode.0-1「契約」






















「久しぶりだね」

ここは月光館学園の学生寮である、巌戸台分寮。
何故か灯りがついていないこの建物。
その玄関に入ると、一人の子供が待ち構えていた。

「ああ、10年ぶり?いや、違うね。お前はずっと僕の中にいたんだ。久しぶりというには語弊がある」

まあ姿を見るのは確かに10年ぶりだから、間違ってはいないかもしれないが。
そう、10年前のあの事件のとき以来の再会だ。

「いいじゃない、感動の再会なんだから。もっとも、僕が姿を現したことにはちゃんと意味があるんだけどね」
「意味?」

クスリと笑いながらファルロス――その子供――が続ける。

「うん。君に契約をしてもらうことさ。契約といっても大層なものじゃない。自分の行動には責任をもつっていうあたりまえのことだから」

ファルロスが指をならすと、目の前にノートのようなものがあらわれた。

「この先に進みたいのなら、ここに署名を」
「この先、ね」

ファルロスがいうこの先。
別に寮に用意されている自分の部屋というわけではないのだろう。

先とは、自分が運命と戦わなければならない未来。
過去の清算をしなければならない未来。
更に先の未来を守るための未来。

――僕は、大切なものを守らなければならない。

そのノートに、有坂湊の名を走らせる。

「確かに、時はすべての物に結末を運んでくる。たとえ目と耳を塞いでいてもね」

意味深な言葉を告げるファルロスに対して、湊は聞く。

「お前が現われたということは・・・兄ちゃんの望みが叶いつつある、ということか?」
「それは僕にはわからない。これから大いなる変化があることは間違いないのだろうけれど・・・さぁ、始まるよ」

その一言と同時に、ファルロスから光が発し―――見えなくなった。
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