こんにちは、羽沢将吾です。
いつも自分の作品をご愛読下さいましてありがとうございます。
ひょんな切っ掛けで出逢った一組のカップルにインスパイアされてこんなん出来ました(笑)
少々はちゃけ気味ですが、楽しんで頂ければ幸いです。
一応、上・中・下の三部作の予定です。
本編はBL要素を含みます。苦手な方はご注意下さい。
上
しとしと、と言った風情で雨が降っている。
「一雨ごとに暖かくなる、か……」
俺は、さっきまで一緒に飲んで居た部長の言葉を繰り返してみた。
それにしても、だ……
なんで俺には彼女が出来ねぇんだろ?
自嘲的に微笑みながら駅を目指して歩き出す。
今日は、今までしょっちゅう一緒にドライブしたり飲みに行く
会社の後輩の朋美ちゃんに告白してフラれた俺の慰め会だった。
俺をフッた当の本人である朋美ちゃんが出席したのにはひっくり返ったが……
俺は身長も体重も人並み。
顔はまあ、良い方じゃないだろうがとんでもないってワケじゃないし、
高校時代にはそれなりに憧れている下級生も居たらしいと聞く。
女友達は多く、遊びに行く事も多いし、先日のバレンタインで
頂いた義理チョコは二桁を数えたんだが……
なぜか告白する度にフラれるんだよな。
とすれば、だ。
やっぱ、悪いのは性格なのか……?
自分じゃ解らないが、この性格が悪いのか?
春の気配は段々と高まってきてはいるが、俺自身の春はまだまだ遠そうだ。
「おー、良い天気!」
窓から差し込む日の光に起こされカーテンをシャっと開けると、
昨晩の雨はどこへやら、の青空が目に眩しい。
さて、これだけ良い天気だと、せっかくの週末を寝て過ごすには勿体無いな。
山の方には雪が有るみたいだからバイクは無理だが、車だったら楽しめそうだ。
「よし、久々に一人ドライブに行くかな!」
時刻を見れば午前七時ジャスト、俺はシャワーを浴び、
三泊分の荷物をボストンバッグに詰め込むと愛車の鍵を握って駐車場へ向かう。
「よしよし、良いコで待っててくれたか」
俺は愛車・フィアットパンダ4×4の少しヤレたイタリアンレッドのボディを
ポンポンと叩き、ドアを開けて乗り込んだ。
数回アクセルを踏み込み、ガソリンをキャブからエンジンに送り込んでからセルを廻す。
クゥクゥクゥ…バロン!!
1000ccF・I・R・Eエンジンが軽やかな音と共に目を覚まし、不安定なアイドリングを始める。
こいつとの付き合いももう五年になり、既にポンコツに片足を踏み入れてはいるが
すっかり体に馴染んでしまって手放せなくなっちまった。
俺はアクセルを調整しながら暖気し、水温計が少し動き出すのを確認してパンダをスタートさせた。
「さて、西に行こうか東にしよか?」
高揚してくる気分を感じながらアクセルを開けていくと、
昨晩の陰鬱とした気分が少しずつ晴れてくるのを感じる。
ま、俺は一人の方が性に合ってるのかもな。
そんな事を思い苦笑しつつ、信号待ちで地図を開いて行き先を考える。
今週は月曜まで有給休暇を取っているから、少し足を伸ばしてみようか。
そう考えた俺はウインカーを出し、東名高速道路方面へとハンドルを切った。
インターの手前のコンビニで朝飯を買うついでにどこへ向かうか考えながら
旅行情報誌を立ち読みしていると、美しい雪景色に彩られた山の写真が目に留まる。
「雪山、か。そうだな……」
コンビニの駐車場でおにぎりを頬張りながら地図を確認し、
「よーし、信州の温泉&スキー場巡りでもしようか!」
もちろん、今回スキーはしないがスキー場の有る山なら冬季閉鎖もされていないし
雪もたっぷりあって、パンダの四駆も生かして楽しく走れそうだ。
リアシートには車中泊用に毛布と布団、寝袋にキャンプ用の炊事道具も放り込んで有る。
「よっしゃ、こりゃ楽しくなりそうだ!」
俺は東名高速には乗らず、更に北にある中央道を目指してパンダを発進させた。
二時間後、中央道に乗り、西へと向かってクルージングする。
途中、意外と道が混んでしまい時間が掛かっちまったな。
これから諏訪まで高速を走り、諏訪で温泉入った後に霧が峰へ向かうか……
ひたすら高速を100km/hで走り、諏訪インターチェンジで高速を出てから諏訪湖半へと向かう。湖畔に有る片倉館、というかつて紡績工場の女工さんの
福利施設として建てられた百人は優に入れそうな浴槽を持つ温泉施設の
駐車場へパンダを滑り込ませ様とした時。
「きゃ!」
「うおっ!」
少し気が逸っていたからだろうか、歩道を走ってきた少年に気付くのが遅れ、
ブレーキを掛けたが間に合わずバンパーを軽く少年に当ててしまった。
「やべ!やっちまった!?」
俺は急いでパンダを停め、少年に駆け寄る。
「ごめん!大丈夫かい!?」
しゃがみ込んだ少年を抱き起こした。
「あ…」
少年が小さく呻き、つん、と饐えた臭いが鼻を突く。
「っと、こりゃ……」
俺は臭いに顔をしかめながら、マジマジと少年を見詰めた。
抱き起こした少年は酷く垢じみた顔をしており、更に服はボロボロだ。
だが、女の子と間違えそうな程の美少年で、その瞳には深い知性の輝きが見えた。
「どこか痛い所は無いか?近所の子かい?」
臭いに閉口しながらも少年を立たせ、ざっと全体を確認する。
うん、目立った外傷は無いし、頭は打ってないから大丈夫そうだ。
だが、一応警察と病院には連れてかないとな。
まずは、少年の家族に連絡しないと……
「とりあえず、病院に行こう。君はこの近くの子かい?お家はどこ?」
もう一度少年に尋ねると、首をふるふると振りながら
「え……か、体は大丈夫。家は、無いの……」
と震える声で答える。
「家が無い?お父さんやお母さんは?」
俺の言葉にびくっと体を震わせ、ぽろぽろと涙を零し始める。
「どこか痛いのかい?」
「お父さんもお母さんも居ないよ……」
「……はぁ?」
少年から帰ってきた答えに戸惑う俺。
「じゃあ、キミはどこから来たんだ?」
と再び俺が聞いた途端、少年の腹がぐうう、と鳴った。
「……お腹、減ってるのか?」
俺の問いにこくんと頷く少年。
これは、何かワケ有りだな……
「とにかく病院と警察に行こう。ご飯はその後食べさせて上げるから」
立ち上がりながら少年に向かって優しく言った俺の声を聞いて
少年がビクッと振るえ、ぶんぶかと首を振りながら半泣きになる。
こりゃ、家出か……?
俺は厄介事を抱え込んじまった事を実感しながら、大きく溜息をついた。
一時間後、近所のファミレスでまさに欠食児童そのものの勢いで
カレーとハンバーグ定食をガツガツと掻き込んだ少年を連れ、
コンビニで子供用の下着を買い込む。
「サイズはMでいいね」
俺が少年に聞くと、コクンと頷きながら嬉しそうに俺を見詰める。
その可愛らしい笑顔に思わずドキっと胸が鳴り、
慌てて首を振りつつ自分を叱咤する。
おいおい、なにトキメいてんだよ俺は!
確かに、見れば見るほど驚くような美少年だが……
つぶらな大きな黒瞳はくるくると良く動き、青ざめていた顔は満腹してから
赤みが差してきて健康的な雰囲気を強く感じさせる。
つん、と尖った鼻に小さな薄い唇、優雅なカーブを描く顎のライン……
だ、ダメだ。見れば見るほど可愛らしくてドキドキする。
ヤバイ、ヤバイぞ俺。そんな趣味は無い筈だ!
とにかく俺も風呂に入りたいんだから、もう一度片倉館に行こう。
この子をどうするかは、風呂で相談しながら考えよう……
そう言えば、まだ名前も聞いてなかったな。
「なあ、キミはなんて言う名前なんだ?
俺は甲。神坂甲だ」
「甲……」
おいおい、呼び捨てかよ。まあ、良いけどね……
「ボクは、桜って言うの」
サクラ?佐倉?ああ、苗字か。
「サクラ?それは苗字だね。名前は?」
「え…?あのね、桜が名前」
ありゃ、名前か。花の桜なのか。
「じゃあ、苗字は?」
俺が再び尋ねると、桜はピクッと体を震わせて泣きそうな表情になる。
「あー、ま、いいや。気が向いたら聞かせてくれ」
俺は桜の頭を優しく撫ぜてから、下着と靴下を持ってレジへ向かった。
大正ロマンを強く感じさせる片倉館の男湯の広い脱衣所。
まだ時間的に早い所為か、また観光シーズンから
完全に外れている所為か、俺達以外は誰も居ない。
その脱衣所で、俺は服を脱いだ桜の垢じみた肢体に目を奪われてしまった。
細くしなやかな肢体のアチコチに赤く浮かび上がるみみず腫れが有り、
所々に軽い火傷の痕、少し膨らんだ女の子の様な胸には、引っ掻かれた様な爪痕も見られる。
それにしても、これくらいの歳の男の子に時折見られる女性ホルモンの分泌過多に拠る
乳房の膨らみは、少女の様な顔と合わせ、股間の男の子の印を確認しなければ
そのまま女の子と思い込んでもおかしくはない、不可思議な、まるで妖精の如き雰囲気を漂わせていた。
俺も、桜がこんなに汚れて居なければ普通に女の子だと思っただろう。
思わず見惚れていた俺の視線に気付き、俺を見詰め返す桜のつぶらな瞳。
「甲、どうしたの……?」
不思議そうな顔で尋ねる桜の肉体は、まるで少女の様な儚さと少年の瑞々しさを
併せ持っていて、何とも言えない仄かな色香を俺の瞳に焼き付けた。
少し膨らんだ柔らかそうな胸の先には名前の通りの桜色が色づき、
アバラが透けて見える程薄い脂肪のお腹に下には……!
ハッと気付くと、桜が俺の顔を心配そうに覗き込んでいる。
「い、いや!なんでもない!」
なんでもないことは無ぇよ!と思いつつもワザとらしい笑顔で誤魔化す。
「お風呂、入ろ」
にっこりと微笑む愛らしい顔と無邪気な態度に俺の胸が様々な意味でドキドキと脈打つ。
いかんいかん!俺は頭をぶんぶんと振り邪念を払って、
「ああ、そうだね」
と答えて、手を絡めてくる桜に引っ張られて千人風呂、と呼ばれる広い浴場へ向かった。
「わあ……凄いね」
桜がだだっ広い浴槽を見て歓声を上げる。
片倉館の浴槽はかなり深く水深一メートル以上有り、底には玉砂利が敷かれている。
俺は、掛け湯もせずに浴槽に飛び込もうとした桜を抑え、
「まずは体を洗ってからだ!」
と言いながら浴槽の右手の壁の向こうに有る洗い場に連行した。
「ほら、目を瞑って」
まずはボサボサになっている髪の毛からだ。
俺はシャワーで充分湿らせた後、シャンプーをたっぷりかけてワシャワシャと髪を掻き回す。
「やん!自分で洗えるもん」
そう言いながら俺の前で身を捩る桜のしなやかな背中が俺に押し付けられ、思わず心臓の鼓動が早くなる。
「じゃあ、頭は自分で洗え。俺は体を洗ってやる」
体だって自分で洗わせれば良いものを、なぜ俺はそんな事を言ってしまうのだろうか。
「うん」
素直に頷き、一生懸命頭を洗い出した桜の肩口にボディソープを掛け、
俺はタオルを使わず手で直接、瑞々しい桜の肉体を洗い始めた。
「あん、くすぐったいよぅ」
俺の手が桜の脇の下に触れると、妙に色っぽい声を上げながら桜が悶える。
「我慢しなさい!綺麗にしなきゃダメだからな」
厳しげな声を出しながら、俺は手に感じる滑らかな桜の肌の感触に夢中になっていた。
「あっ、ああん!こそばぁい……」
桜の声に少しづつ、くすぐったさだけでは無い何かが篭っていくのをはっきり感じる。
俺の両手は、いつの間にか、仄かに膨らんだ胸の辺りを上下に往復していた。
手の平に少し硬く勃起してきている突起物の感触を感じる度、
「はぅん……」
と熱っぽい溜息を桜が吐き出す。
俺は桜の背中に自分の胸と腹をピタリと着け、桜の耳元に唇を近付け呼吸を荒げてしまっていた。
「甲、ボク、なんだかヘンなのぉ……」
肩越しに俺を振り返り呟く桜。
「何が、ヘンなんだ?」
必死で呼吸を鎮めながら、平静を装いつつ聞き返す俺。
「あのね、あのね……おっきく、なっちゃったの」
「え……」
桜の肩越しに下方向を覗くと、そこには可愛らしいものがちょこん、と上を向いていた。
「こら、桜……ダメじゃないか」
全く説得力に掛ける声を上げるが、迫力も何も有ったもんじゃない。
「でも、でもぅ……甲だって、おっきくなってるよ……?」
少し瞳を潤ませながら桜が俺を見詰める。
「!俺はもともとコレくらいなんだよ」
とんでもない嘘をつく俺。
「うそ……さっきよりも、大きくんむ!……」
桜の非難がましい眼つきと口調から逃れる為、俺は思わず桜の唇に自分のそれを重ねてしまった。
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