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Zero of the Beowolf
作:T・K



第二章:プロローグ 狼、怒りの咆哮


(あれ……なに、ここ……?)
 ルイズは黒に、星らしき光が埋め尽くしている空間に浮かんでいた。ルイズは知らないが、そこは宇宙空間という、地球の外にある空間であった。
 ルイズは何故自分がこんなところにいるのか分からず、呆とした思考のまま首を回してみる。すると太陽と月と、そして、
(! うわぁ……すごい……!)
 とても大きく、蒼い綺麗な球体がそこにはあった。
 その球体は蒼い部分が大部分を占めており、それに茶色や緑色の部分が混じり、その上を白いもやのような物が覆っている。それらが混ざり合い、とても美しいコントラストを作り出していた。
 しばしその美しさに見とれて呆けていると、突然近くで光が起こった。
 ルイズは驚き、慌ててそちらのほうを向く。そして、更なる驚愕に包まれることとなった。
(こ、これって……!?)
 視線を向けた場所には、彼女の使い魔であるキョウスケ・ナンブが見せた巨人達が激しい戦いを繰り広げていた。羽らしきものを背中に生やした白い巨人など、ルイズの知っているものも多くいたが、知らないものもかなりいる。その中でも、人の形を取っていないオレンジ色の鳥らしきものや白い虫らしきもの、人型であってもルイズが知っているものとはまるで種類が違うように思える緑色の巨人や、ずんぐりと潰れているような形状をしている黄色の巨人は異彩を放っていた。
 巨人達が争う。光や銃火が飛び交い、爆発が視界を埋める。
 ルイズはこのような光景にあっても定まらない思考に、そして突然このような戦闘に巻き込まれたことに戸惑いながらその光景を見ていると、視界にあるものが飛び込んできた。それを見た途端、ルイズは息を呑んだ。
(『アルトアイゼン』……!?)
 間違いがなかった。かなり形は違っているものの、特徴となっている角や肥大化した肩部、小さいものの杭打ち機もしっかりと右腕についている。
 しかし、これらを見てルイズは一層混乱してしまう。
(……な、なんで……何で私こんな戦いに巻き込まれてんの……しかも『アルトアイゼン』みたいな鉄の巨人が、こんなにいるなんて、もしかしてここって……わ……)
 ルイズの近くで光が爆ぜる。何とかしなくてはと思うのだが、頭も体も動いてくれない。だが近くで爆発が起こってもルイズには何の影響もなかったことだけは働いていない頭でも分かった。
 どうやら自分はこの戦いで被害を受けることは無いらしい。そのことには安堵するものの、体が動かない以上何もできない。しばらくどうするか考えていたが、ルイズは被害が無いならということで割り切り、戸惑いながらも戦いを見続けることにした。
 やがて戦いは鳥や虫、緑や黄色の巨人の方が劣勢になっていった。このまま『アルトアイゼン』の側の勝利になる、そうルイズが考えたときだった。何もなかった空間から、多くの緑と黄色の巨人が現れたのである。
 『シャドウミラー』の件やあまり頭が働いていないせいもあってか、驚きはしたがさほど動揺せずにすんだ。しかし、何もなかった空間から現れたことよりもルイズの気を引いたのは、それらの奥にいる巨人である。緑や黄色の巨人と違い、どことなくキョウスケたちの側の巨人に似た形状をした、ライトブルーとホワイト、所々に配された赤のボディカラーとシャープなラインを持っていた。
 それはR−GUNと呼ばれた機体であり、キョウスケたちを裏切ったある男が駆る機体であった。
 ルイズは無論そんなことは知らなかったが、その巨人から漂ってくる雰囲気が尋常ではないことだけは彼女にも分かった。
(何よ……この、威圧感……)
 ただ対面しているだけだというのに、胸が苦しくなってしまうほどの危険な気配をその巨人は纏っていた。見れば、『アルトアイゼン』側の巨人達も動きを一旦止め、注意をそれに向けている。
『久しぶりだな……まだ生きていたのか』
 その時、渋い男の声が声がルイズの耳に響いた。きょろきょろとルイズは首を回すも、近くに人の姿は無い。だが、その男の言葉に答えるかのような、別の声も耳に聞こえて来た。どういう理屈かは分からないが、あの巨人と、『アルトアイゼン』に乗っている者たちの会話がルイズには聞こえるらしい。緊迫し、張り詰めている雰囲気がルイズに直接襲い掛かってくる。
 その会話を聞いていると、青い巨人の隣に、大きな槍のようなものを持っている白い巨人が寄り添うように現れた。
『エクセレンッ!』
 そこで彼女の使い魔、キョウスケの声がした。しかし、いつものような淡々としている声ではあるのだが……
(……どっか、感じが違うような……? それに『エクセレン』って……?)
 ルイズはいぶかしむ。しかし、どこがどう違うのか、そして『エクセレン』の意味も分からない。その後に続く会話もどこか遠くに聞こえるようで、良く理解できなかった。だが会話が終わり、全体が再び動き始めたときになって、初めてキョウスケの感じが違うことの意味に気付く。……いや、気付かざるを得なかった。
(ひ!?)
 『アルトアイゼン』が発する気配が、先程までとまったく違う。凄まじいまでの気迫と殺気に、思わずルイズは悲鳴を上げかけたほどだ。それはあの時、初めて部屋に来たときに見せたものとは比べ物にならないほどの……!
 そうこうしている間に戦闘が進む。白い巨人がなぜか途中から『アルトアイゼン』側にたって緑の巨人達と戦っていたが、そんなことなどまったく気にならない。怖いと思っていても、ルイズは恐ろしい気迫で戦場を駆ける『アルトアイゼン』から目を離せないでいた。そして、ついに青い巨人が『アルトアイゼン』側の機体の一機に打ち倒された。このまま戦いが終わるのかと、ルイズが思った時である。
 青い巨人が爆発的な光を放ち、光が収まった後には先程までの巨人の二倍近くにも及ぶ大きさの巨人がそこにはいたのである。しかも形も変わり、紫色のボディカラーや背に生やしている翼らしき突起など、全体的に不気味なフォルムとなっており、より一層危険な雰囲気をかもし出していた。
『この機体は……お前達のデータを基にして造り上げた、R−GUNリヴァーレだ』
 再びあの男の声が響く。その声はどこか嘲りのような、人を見下した感触があり、神経をざらつかせてくる。そして男が更に言葉を口にしようとした、その直後。

『しゃべるな』

 ルイズがキョウスケの言葉を聞いたと思った時には、『アルトアイゼン』は巨人に肉薄しており、

『イングラム……お前は潰す……!』

 その右腕は、巨人を撃ち抜いていた。


通称、ブチキレウルフです。この見事なまでのかっこよさにほれてしまい、私はキョウスケファンになってしまいました。少しでも原作の雰囲気が出ていれば幸いです。











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