〆S31 消えた遺体
■PHASE1■
ドナテロが生きてるだって?そんな馬鹿な話があるわけない。
だってドナテロはあの時……
あれは首落としみたいなトリックでも何でもない。
一人の人間の……れっきとした死だった。
■PHASE2■
「誰からそんな話を……」
ロザリータの話に動揺を隠せなかった僕らは拠家を飛び出し、再びクーロンさんの元を訪れていた。
「ロザリータって女からだよ」
クーロンさんは苦い顔でフェザの言葉に俯いた。
「実は君達に話していなかった事が一つあるんだ」
クーロンは静かにそう告げた。
「あの時、ギルドは君達の報告を受けて、検証に向った」
僕らは黙ってその話を聞いていた。
「現場には荒れた後があり、そこには……被害者の方の無残な姿が並んでいた。そして犯人の遺体もね」
思い出したくもない。惨劇の日の記憶が甦る。クーロンはそこで思い返すように、考え込み始めた。
「そう、確かにあったんだ」
クーロンはそう呟いた。
「何が……あったんです?」
僕は込み上げてくる気持ちを必死に抑えながら必死に尋ねた。
「犯人の遺体さ」
クーロンの言葉の意味がよく分からなかった。
「消えたんだよ、遺体が」
クーロンの言葉に背筋が一瞬凍りついた。
「そんな馬鹿な!」
フェザがそう言って立ち上がった。僕も想いは一緒だった。ただ足が竦んで動けなかった。
「ドナテロが、生きてるって言うんですか?」
僕の問いにクーロンさんは静かに首を横に振った。
「それは、わからない。ただ事実として遺体が消えた。それから必死に捜索はしてるんだけれども、一体どんな方法で、突然遺体が消えたのか。全くわからないんだ」
クーロンの話を聞きながら、僕は必死にある言葉を反復していた。
――ドナテロが――生きている――
ドナテロがもし生きているなら、僕達の事を恨んでいるだろうか?
もしかすると、今もどこかで僕達の命を狙っているのかもしれない。
「どうして、そんな重大な情報教えてくれなかったんだ!」
フェザの怒声。
「すまない、君達の不安を煽ってしまっては思って伏せていたんだけど、やはり言うべきだった。申し訳ない」
そう言ってクーロンは深く頭を下げた。
「じゃあ、街の外れでドナテロを見たってロザリータの言葉は……」
「可能性はある、くそ!」
フェザはそう言って再び腰を落とした。
それから僕らは一言も口を聞かなかった。
ドナテロが生きているかもしれない。
その事だけで、僕の頭は一杯だった。
死者が甦る、そんな事がこの世の中にあるんだろうか?
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