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バカコウ
作:常煮一人



笑うなっ


 俺と親父を乗せた3tトラックは慎重に車庫に入る。てか、車庫と家の高さが同じくらいてどんだけだよ。
 
 もちろん一階部分には駄菓子屋を設け、俺はそこからポテトスナックと錬り飴を頂き、自分の部屋へ向かった。
 
 意外と儲かるんだよな、駄菓子屋。大人買いする奴とかたまにいるし。
 
 窓を開けると、ジャスコが見える。家はジャスコに程近い。徒歩二分ぐらいだ。
 
 潰れるな…。ここ。
 
「うひゃひゃ…近くにじゃすぐぎゃああああああ!!へべれけ、へべれけうひょーーー!!!!」
 
 奥から親父の狂った声。
 
 ああ…、母さん。
 
 なんで、あんな人と結婚したのですか…。
 
 
「へべれけ…」
 
 急に親父が静かになった。俺は死んだのか?と思ったが、急に俺の部屋のドアが開いたため、ホッと安心したのと、チッと残念な気分になったのが混じった。
 
「功太…」
「ノックしろよ」
 
 親父はコクリと頷き、部屋に入ってからドアをコンコンと叩いた。
 
 意味ねー…。
 
「それよりだ功太、お前学校はどうするんだ」
 
 忘れていました。
 悪いですか?
 
 色々あって学校の事なんか忘れていたぜ。
 
「忘れてた。なんか近くの学校無いのか」
「ここはどうだ?」
 
 親父が広辞苑並みの厚さの本を取り出した。
 ぶあつっ!!!!
 
「馬ヶ鹿高校。個人的な名前だろ?」
 
 馬ヶ鹿…馬鹿高じゃないか。
 
「それって…徒歩何分?」
「徒歩二分」
 
 近すぎだろ…。いわば隣じゃねーか。
 
 広辞苑並みのパンフレットを覗いてみると、クーラーが教室に一台あったり、男子校だったりとなかなかいい学校だった。
 
「いいの見つけたな。親父。ここに決めたわ」
「そうかっ!やっぱりな!そうかと思ってもう電話したんだ!」
 
 気が利く女子みたいな事をしたが、俺が気に入らなきゃどうしてたんだろう。
 とりあえず高校の参考書を開いて、勉強を始めた。
 
「功太」
「だからノックしろって」
「編入試験…明日だよ」
「……」
「……」
「早く言えよクソ親父ぃいいいいいい!!!!!!!!!!!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 眠れなかった。
 俺は治まらぬ眠気を缶コーヒーで無理矢理消し去り、指定された場所へ向かう。
 
 役所の部屋を借りたようだ。学校でやると転校生だと勘違いするかもしれないからか?
 
 部屋の名前を確認して、コンコンとノックする。何も返事は無い。おかしいな、もう時間過ぎてるのに…。
 
 そっと部屋のドアを開けた。
 
「ほらもっと腰振れよー」
 
「舐めるのうまーい。超きもちい…」
 
「いーなー」
 
「気持ちよさそう…濡れてきた」
 
 バタン。
 
 18禁!!18禁だよー!!
 
 俺は泣き声とも思えない悲鳴を上げた。もうちょっと成長してから見たかった。
 
 そしてまた開けると、三人が椅子に腰を掛け、長机に置いてある書類を見ている。部屋の真ん中には机と椅子が誰かを待っていた。
 
 あれは、僕の希望だったのか。夢なのか。誰もしらない。
 書類に目を通していた三人が一斉に俺を見た。俺はびっくりして後ずさりをするが、三人はそんな俺に向けて、優しい笑顔を見せていた。
 
「大倉くんですね。お待ちしておりました。さあどうぞこちらに」
「はっ、はい。失礼します」
 
 俺はぎこちない歩き方で自分の席へと向かう。
 
「ではこれから編入試験を始めるね。今から問題を配るから」
 
 若い女の方が一枚の紙を机の上に置く。俺はその間に鞄から筆箱を出す。親父がこっそり入れた干し梅が手にまとわりついてウザイから取る。そして若い女の方がその干し梅を食べていた。
 
「では始め」
 
 俺は意外と頭いい。たった数時間の勉強でも頭には入った。掛かってこ…。
 
 問題。
 あなたの名前を書きなさい。そして笑わないでください。(所有時間50分)
 
 名前だけ?笑うな?
 
 俺の頭は混乱していく。だが、一つだけやらなければいけない。
 
 俺はシャーペンの芯を押し出し、大倉功太と力強く書いた。後は笑うなって…一体なんだ?
 
 俺が考えていると、コンコンと窓を叩く音がする。振り向くと、坂田利夫が満面の笑みで手を振っていた。
 なぬう!?
 
 坂田利夫が満面の笑み。知り合いいるのかよ。遊園地のメリーゴーランドに乗りながら親に手を振っている子供かよっ!!
 
 俺は笑いを耐えようとわざとらしく咳をして三人を見ると、左のハゲの親父が絵の具を使い、ドラえもんに変装している。
 
 に、似てる!
 
 なるほど…笑うなってこうゆう事か…。
 
 するとまたコンコンと窓ガラスを叩く音。また坂田利夫か?
 
 振り向くと…村上ジョージが満面の笑みで手を振っている。
 
 利夫あれだけかよー!!
 
 そして三人を見ると、若い女の方がのび太へと変身している。
 
 こっちはこっちで似てねー!!
 
 そして、またコンコンと窓ガラスを叩く音。
 
 次は誰だよと思って振り返ると、親父が満面の笑みで手を振っている。
 
 いきなりお前かよー!!素人じゃねえか。
 
 親父はさらりと無視して三人を見ると、おばさんが何かに変身している。ドラえもんキャラだと思うが…。
 
 こ、これは…まさか…。
 
 
 
 
 
 
 
 スネツグ?
 
 
 素晴らしい脇役をよくチョイスしてくれたー。
 
 
 
「おめでとうございます。あなたは今日から馬ヶ鹿高校の生徒です」
「は…はいっ!ありがとうござい…ますっ」
 
 俺は疲れた表情でこう言った。
 
 ありえなかった。こんな試験あるのか?
 
 それでは今までの事を箇条書きで教えよう。
 
・ドラえもんが本当に現われる
・カバ夫が現れ、腹が減ったと嘆く
・ドラえもんの頭を食べさせる
・意外に美味らしい
 
・親父も面接官に仲間入り
・俺の悪口を延々に話し大爆笑を生む
・親父が駄菓子を広げ、みんなで食べる
・村上ジョージと坂田利夫も食べる
 
・その間、アンパンマンが窓ガラスをコンコンと叩いている
 
 俺は常に咳をしながら笑いを耐えていた。
 
 その結果、俺は馬ヶ鹿高校の生徒になった。
 
 そして…俺の学園生活が幕を開けた。


次回からついに馬ヶ鹿高校の生活が始まります。











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