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女王と若者

コメディー風を目指して書きました。

楽しんで頂ければ良いのですが…

「あの人はいつも私を忘れてしまうっ!!」


この国に春が来なくなってしまった。それは冬の女王が塔から出ないからだという。困った、王は国にお触れを出した。


「冬の女王を塔から出せた者には褒美を出そう」


皆、冬の女王を塔から出そうと老若男女問わず頑張った。ある者は物で出そうと、ある者は音楽で出そうと…。しかし、女王は一向に出てこなかった。皆、失敗したのだった。


さて、国の中には、特別貧しい村があった。そこは元々、冬が来れば植物も育たず、周りを山に囲まれて雪がとても良く降るために近くの村や街と外交もできないほどだった。その村は、そんな悪条件の中暮らしていくため強かに、また、結束を深めていった。そんな村の中に一人の若者がいた。その若者は、背が高く、優しく、健康で力も強いとても快い青年であった。


「あぁ、女王様っ!!」


ただ、1つ、女王様崇拝主義というには、行き過ぎた物を持っていなければ……。


「女王様、今日もお美しい…私は女王様が健康でいてくださっているだけで満足ですぅぅぅうううう!」


「おーい、まぁたあいつの発作が出たぞー。今日は何があったんだー?」


「今日は春の女王様のお姿の絵が新聞に載ってたんだと。最新の女王様が見られて舞い上がってるんだよ…。」


「あぁ、なるほどな。…しかし、本当にあいつは女王様崇拝主義者だよな。確かに女王様方はお美しく、また、お優しくあるがどうしてあんなに女王様方を尊敬しているんだ?」


「それはですね!!」


何故か遠くにいたはずの若者が隣にいたことに男達は驚愕を隠せないでいた…。


「うぉっ!?びっくりするじゃねえかよ!というかさっきまでもう少し先にいなかったか!?なんでここにいやがるんだよ」


「そんなこと貴方達が女王様の話をされていたからに決まっているじゃありませんか!何を当たり前のことを仰っているのですか?」


「いや、当たり前って言ってもなぁ!?」


「まぁまぁ、いいじゃねえか!それで?何でそんなに女王様方がお好きなんだ?」


「それはですね…!!」


「おう、それは?」


「私が女王様方にお会いしたことがあるからです!!」


「……は?それだけか?」


「むっ!それだけとはなんですか!それだけとは!」


「いや、だってよー、こんだけ女王様、女王様言っているんだから何かしら女王様に特別な感情を抱いているからとかよぉ。」


「いえいえ、私なんかが女王様に邪な感情を抱くなんてあるわけないじゃないですかー。女王様は私のオアシスであり、尊敬する方々歴代No.1なのですよ!!」


「おぉう…そうかよ」


「はい!!」


とまぁこんな風に話していると…何やら村の中心に有る広場が騒がしくなってきた。


そこには掲示板が有り、王から出されたお触れが貼ってあった。


「冬の女王を塔から出せた者には褒美を出そう」


それを見た人々は若者を呼び出し、


「ちょっと女王様にお話をしてこい!!」


と、満場一致でお城へ出発させた。その理由は、ちょっと女王様に会わせたらあいつの嬢王様至上主義も大人しくなるかもという考えがあったのだが…


若者はそんなことはつゆともしらず


「喜んで行って参りましょう!!」


と、意気揚々と出掛けていきました。









さてさてお城へついた若者は門番に話しかけます。


「女王様にお会いしたいのですが、入れてもらえませんか?」


すると門番は


「お前みたいなやつに女王様がお会いになるはずがないがまぁいいだろう」


と中へ入れてくれました。


そんなこんなで女王様の部屋の前についた若者は当たり前のことながら緊張していました。


10分経ち…20分経ち…ようやく中へ入ろうとノックをしようとした時


「いつまでそこにいるつもりなの?入ってらっしゃいなさいな」


とお声が部屋の中から聞こえてきました。

若者は女王様からお声を掛けていただき天にも登る心で自分の出せる一番の声で返事をしました。


「ひゃ、びゃい!!」


実際にはとても弱々しく、小さな声で舌をかんでしまったのでとても情けない声になってしまったのですがね…


中へ入った若者を迎えた女王様は銀のお髪に銀の瞳、雪のように真っ白なドレスを身に纏っていました。

中へ入った若者に女王様は


「それで?なんの御用かしら」


と聞きました。若者は、国王様からお触れが出ていることを伝え、何故塔から出てこないのかを訪ねました。すると女王は、ため息をついて言いました。


「あの方はね私のことをいつも忘れてしまうのよ…」


若者はどういうことか分からずに頭に疑問を浮かべていました。女王はそれを見て少し笑いをこぼし、教えてくれました。


私はあの方の幼なじみで一番最初の妃なのよ?

けれどあの方は王だから、国民のことを第一に考えるのは当たり前なのよね。私は冬を司っているから早急に他の方を妃に迎えなければならなかった。


それに私はいつもあの方に王らしく、国民のことを思い過ごしてくださいといつも口喧しく、あの方を思い言っていたのだけど…


私は他の方々よりも地味で冷たい印象を与えてしまって…あの方は次第に他の方々の方ばかり行ってしまわれたのよ…


「わかってはいたのだけどね…」


と女王様は少し寂しそうにおっしゃつていました。

だから少しばかり意地悪をしてみたのだと、あの方にあと一度でもいいから振り向いてくれないかと。


「けれど駄目ね…国民の皆にも迷惑をかけてしまったわ。明日から外に出るから、安心してね」


女王様は寂しそうに少しだけ悲しそうに笑って言いました。それを聞いた若者は


「あなたに寂しい顔を似合いません。少し王と話をさせていただいてきます。」


と言い、王の部屋に突撃しに行きました。普通は王の部屋には入れないはずなのですが、説得と言う名の物理のお話を繰り返し、謁見する機会をもぎ取りました。


若者が部屋に入るとびっくりしました。何故なら、王は部屋の隅に座り込み丸くなっていたからです!

何かを小さく呟いては床に″の″の字を書いていたのです。若者は(何をしているのだろうかこの方は…?)と思いましたが、


「あの…陛下?お初にお目にかかります。」


と声を掛けました。すると王はこちらを向きましたがその顔は涙に濡れ、びっくりするほど青白かったものだったため、この人は王ではないのかもしれないと思うほどでした。


「あぁ、何のようだ。余は、もう生きていけないのでな手短に頼むぞ」


と言われたために若者は、王だと思われる方の口からそのような言葉が出るとは思っていなかったので不敬であるとは分かっていたのですがついつい敬語も忘れ


「どういうことだよ!!」


と言ってしまいました。

しかし、王は気に留めた様子はなく


「余はもう生きていけない…あれに嫌われたのでは生きていけない…何故だ何故なんだ…」


と言い俯いてしまいました。若者は王の言うあれは何かと考えた末に


「あぁ!!冬の女王様ですか!!」


答えにたどり着きました。王は


「冬のに会ったのか?」


と訪ねました。曰く王には全く会わないようなのです


若者は、王と女王の間にすれ違いが起きていると考え女王の言葉を王に伝えました。王はその言葉を聞くないなや大急ぎで部屋を飛び出していきました。


向かった先は勿論女王のいる塔です。そして部屋の前で土下座をしながら


「冬のよ!どうやら儂とお前との間にすれ違いが起きているようなのだ!!どうか儂の話を聞いてはくれまいか!!」


ととても大きな声で言いました。すると部屋の中から


「あなた?あなたがなぜここにいるのかしら?」


と声が聞こえた瞬間王は部屋を蹴破り中へ入っていきました。それから王の泣き声、女王の怒り声の後に2人の笑い声が聞こえてきたため、若者は塔を出ていき門番に帰る旨を伝えました。


門番はそれ見たことかと笑いながら若者を城から出しました。






それから数日経った日、若者は村に帰り着きました。

若者が帰ったことを知った村の住民は塔から女王様を出すことが出来たのかと聞きに来ましたが若者は


「私にはやはり無理でした。あの方は私には尊すぎます。」


と言ったために残念だという気持ちとこれで少しは大人しくなるだろうと思っていました。


しかし


「はぁぁぁぁぁああああっ!!今日も麗しいです!!女王様方!!」


という声若者の家からが聞こえてきたのであいつの嬢王様至上主義は治らなかったかと村人達は何だか落ち込むような笑いたくなるようななんとも不思議な気持ちを味わっていました。


今日のお写真は女王様全員の写ったものと冬の女王様と王が仲良く笑っている物でした。

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