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第1章

「…信じられない…」

わたしは頭から足の爪先まで青ざめながら呟いた。

事の発端は1通の手紙。

わたし、ルイーゼの住んでいるこの国では10年に1度だけ姫巫女を決める習わしがある。

姫巫女とは10年間、月詠みの力でこの国に繁栄をもたらせる巫女様の事。

姫巫女になる資格は若い未婚女性で月詠みの力が優れている以外にはなく、農民の娘から貴族の娘まで身分は関係ない。

だから…わたしの家(貧乏貴族)も一応、姫巫女の一次試験には参加した。

わたしとアヴィス、ミルネの妹2人。

そして一次試験結果が今日この家に届いた。

そう…それが問題の手紙。

自慢にもならないけどわたしは容姿も月詠みの力もかなり人並み。

案の定、わたしは見事落選。

姫巫女に興味なんてないからわたしはとても安心した。

だけど…妹、アヴィスがなんと姫巫女候補になってしまったの。

「わたしが…姫巫女候補…?信じられないわ…!」

アヴィスは可愛らし顔を真っ赤にしながら喜んだ。

この国の女の子にとって姫巫女になるのは夢。

姫巫女になったらどんな贅沢も思いのままで10年頑張ればどんなお相手とでも結婚出来るって言うオマケ付き。

わたしだったらいくら贅沢三昧でも10年なんて絶対ご免だけどね…。

「アヴィス、よかったわね」

わたしは真っ赤な顔で喜んでいるアヴィスに満面の笑みでそう言った。

「ルイーゼ姉様、ありがとう!でも、わたし…とても不安なの…」

真っ赤にしていた顔を急にアヴィスは曇らせた。

「…?どうして?」

「だって…姫巫女候補になったら遠くにある王宮に行って厳しい試練があるんですもの…わたし1人きりで厳しい試練に耐えられるかどうか…」

確かにここは国の最果てにあるので、王宮に行くには最速でも2日もかかる。

しかも姫巫女の試練の期間は1ヶ月。

屋敷で慎ましく暮らしてきたアヴィスにはちょっと厳しいかもしれない…。

そんな不安顔のアヴィスにお父様はとんでもない言葉を発した。

「アヴィス、心配はいらない。姫巫女の試練の間ルイーゼにお前の世話をしてもらうからね」

「なっっっ!?」

「本当?お父様」

お父様の言葉にわたしは言葉を失い、アヴィスはパッと顔を輝かせる。

「ああ、本当だとも、ルイーゼも勿論行ってくれるだろう?」

「…お父様…わたしイヤです!」

当然の事の様に言うお父様に青ざめた顔でわたしは言った。

「何を言うんだ。お前の可愛い妹の為だよ?」

確かにアヴィスはわたしの可愛い妹、ミルネと2人わたしを慕ってくれてる。

でも、それとこれとは全く話が別だわ。

「…でも!」

「ルイーゼ落ち着きなさい。何も10年間ずっと世話をしろと言っているわけじゃない。試練の1ヶ月間だけだよ」

尚も抗議しようとするわたしにお父様は静か言った。

「……」

「わかったね?お前も王宮に行きアヴィスを支えてあげなさい」

黙り込んだわたしにお父様はそう言うと早速、近くにいた侍女たちに王宮へ行く準備を指示し始めた。

頭から足の爪先まで青ざめたわたしはただ、ただ、お父様を見つめる事しか出来なかった…。







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