鬼刃伝(1/3)縦書き表示RDF


鬼刃伝
作:otomaru



鬼刃伝 序ノ壱


登場人物紹介

 影邨カゲムラ……鬼
 
 朝宮紅葉アサミヤ・クレハ……異世界人
 朝宮椿アサミヤ・ツバキ……異世界人
 朝宮春アサミヤ・ハジメ……異世界人

 春日春日カスガ・ハルヒ……朝宮紅葉

 愚涜グトク……愚人
 
 清胤セイイン……陽炎
 棗斐子ナツメ・ヒコ……少年

 無異色首織ムイシキ・クビオリ……謎
 凶神興月マガガミ・キョウツキ……四神一凶
 歪神呪怨ユガミ・ジュオン……四神一凶
 火影焔ホカゲ・ホムラ……覇王
  序

 二人、だった。
 そのどこか奇妙な風体をした二人組は――いきなり、豪銅雷破(ごうどうらいは)の前に現れた。
「何をやっている、人間」
 二人のうちの一人が――その屈強な両手に血塗れの若い女子の死体を持った状態の雷破に、問う。その亡霊の様な声は、既に野盗として数えきれないほどの人間を殺してきた雷破の身さえ竦ませるような、底知れない怖気を感じさせていた。
 その人物は、まるで死装束の如く白い着物をその女子のような身体に纏っており、若草色の艶やかな長髪を爆風に靡かせている。草履を履き、左腕にはぐるぐると、汚れた包帯の様な物を満遍なく巻いていた。声と風貌から察するに、少年と言って良い年齢かもしれない。――もっとも、それは目の前の人物が、少年が持つに相応しくないものを二つ、所持していなければの話であるが。
 焼けた鉄のように真っ赤な、鬼の面。
 そして――今正に彼が雷破の喉元に突きつけている、白銀の刃。
 その道の人間でない雷破でさえ、一目で分かる。
 その剣が、何人もの人々の血を吸い、何人もの人々を地獄に陥れてきたかを。
 ……千人はくだらないだろう。
 そう。
 少年のそれは正しく、妖刀と呼べる代物であった。
「……聞こえなかったのか? もう一度言う。答えろ、人間。貴様は今、他の者の家に土足で踏み込んで、何をやっている」
 黙したまま自分の様子を観察する雷破に痺れを切らしたのか、少年は一層強く、刃の切っ先を雷破の喉に突き付けた。
 仕方なく、雷破は女の死体を二つとも床に落とし、両手を挙げて武器を持っていないことを示す。そもそも武器など、最初から所持していなかった。
「何をやっているかだと? 随分と素っ頓狂なことを言ってくれるな、若造。野盗連中が人様の村に上がりこんでやることなんて、決まっているだろう」
 喋りながら、雷破はさりげなく、左の拳を固める。
 そして隙を突いて、一気に、力強く、振りかぶった。
「こういうことだっ!」
「……ふん」
 だが、目の前に迫ってくる岩のような拳を前にしても――少年のその奇警な鬼の顔は、決して歪むことなく、禍々しいほどに、(まが)ったままだ。
 そして。
「馬鹿が」 
 少年が、忌々しげにそう呟いた時、
 雷破の左腕が消えた。












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




TOP | NEXT


小説家になろう